『スフィンクスか、ロボットか』レーナ・クルーン著

フィンランド語のクラスで先生がすすめてくれたレーナ・クルーン著「スフィンクスか、ロボットか」という本を読みました。

スフィンクスか、ロボットか (はじめて出逢う世界のおはなし)

一冊の中に「スフィンクスか、ロボットか」「太陽の子どもたち」「明かりのもとで」という3編が収録されています。

表題作「スフィンクスか、ロボットか」はリディアという女の子が、ちょっと風変わりなお父さんやスレヴィという友達とこの世界の成り立ちについて様々な対話をしながら進んで行く、SF的・哲学的(?)な物語。

いやSF的とか哲学的という言葉を使ったものの、正直に言ってどんな形容詞がふさわしいのかよくわからない不思議な小説です。

物語の中には、かきまぜていると渦巻きが発生して飲み込まれてしまうスープや、庭ごと空中に浮かび上がる家など、奇想天外なエピソードがたくさん出てきます。

「太陽の子どもたち」では、スミレという女の子が、花屋のお使いで様々な人たちに花を届けます。その過程でかいま見る大人の世界を子どもの視点から描いています。

「明かりのもとで」は、ルスという女の子を中心に小さな村の暮らしを描いています。子どもたちは学校でクラスメイトの病気を通して人の生死を学んだり、45年後の2,000年を想像しながら未来の夢を語ったり。

3編を通して強く印象に残るのは子どもたちのまなざしです。私たちが、子どもの頃どういう風にこの世界を見ていたのか、深く眠っていた記憶をこれらの物語が呼び起こしてくれるようです。

そして当たり前のように受け取っているこの世界の現実を、もっと豊かなものとして受け取るためのきっかけを与えてくれます。どこかなつかしい場所に連れて行ってくれるこの小説、おすすめです。

 

スフィンクスか、ロボットか (はじめて出逢う世界のおはなし)
レーナ クルーン
東宣出版
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