フィンランド語学習記 vol.91 − フィンランド映画祭2013で上映される映画の原題を読み解いてみる
フィンランド語教室39週目のレポート。
この日は、先生がフィンランド映画祭の話をしていました。
前々から楽しみにしていたこのイベント。公式ホームページでタイムテーブルも発表されたようです。
フィンランド映画祭
ホームページに映画の邦題と原題・英題がのっています。
日 | フィン | 英 |
---|---|---|
旅人は夢を奏でる | Tie Pohjoiseen | Road North |
ミス・ジーンズ・フィンランド | Miss Farkku-Suomi | Miss Blue Jeans |
結婚をダメにする21の習慣 | 21 Tapaa Pilata Avioliitto | 21 Ways To Ruin A Marriage |
灯台守の少年 | Lärjungen | The Disciple |
すべては愛のために | Kaikella Rakkaudella | Things We Do For Love |
フィンランド語の原題がどんな意味なのか、可能な範囲で調べてみました。
旅人は夢を奏でる(Tie Pohjoiseen)
tie | 道 |
pohjoinen | 北 |
タイトルの pohjoiseen は、pohjoinen が格変化した形。
[入格]pohjoiseen(北へ)
Tie Pohjoiseen で「北への道」となります。邦題とぜんぜん違いますね。
ミス・ジーンズ・フィンランド(Miss Farkku-Suomi)
farkut | ジーンズ |
Suomi | フィンランド |
タイトルの farkku は、farkut の単数形。
[複数主格]farkut
ジーンズは足が二本なので、英語の jeans と同じく複数形が基本なのでしょう。
ここで単数になっているのは、形容詞的に使っているからでしょうか? そのあたりはどうもよくわからず。
結婚をダメにする21の習慣(21 Tapaa Pilata Avioliitto)
tapa | 習慣 |
pilata | ダメにする |
avioliitto | 結婚 |
タイトルの tapaa は、tapa が格変化した形。
[分格]tapaa
2以上の数詞の後ろに置く名詞は分格の形になります。
[参考]フィンランド語学習記 vol.55 − 分格のつくり方 | Fragments
pilata は辞書形のA不定詞。A不定詞は、直前の名詞を修飾する働きがあります。
21 tapaa | pilata avioliitto |
21の習慣 | 結婚をダメにする |
後半部分(pilata avioliitto)が、前半部分(21 tapaa)を修飾しています。「習慣は習慣でもどんな習慣かというと、結婚をダメにする習慣」という具合。
灯台守の少年(Lärjungen)
これは。。。スウェーデン語!
Google Translate にタイトルを入れてみると「弟子」と変換されました。
Wiktionary によると、
lärjungen
definite singular of lärjunge
lärjunge
a disciple, a (male) student, a pupil
調べたところ、スウェーデン語では、定冠詞(definite article)の働きを語末の接辞で表すのだとか。さまざまなルールがあるものです!
すべては愛のために(Kaikella Rakkaudella)
kaikki | 全て |
rakkaus | 愛 |
表題の Kaikella Rakkaudella は、kaikki と rakkaus が格変化した形。
[接格]kaikella
[主格]rakkaus
[接格]rakkaudella
さて、問題はなぜここで接格を用いるのかということ。『フィンランド語文法ハンドブック』で接格の用法を再確認してみました。
「〜の表面で/に」という静止点を表わす接格の語尾は -lla/-llä です。
Koira nukkuu lattialla. 犬は床の上で眠っている(nukkua)。
(中略)
接格には「〜で、〜を使って」という道具や手段を表わす重要な働きもあります。
Menen kouluun bussilla. 私はバスで学校(koulu)へ行く。
『フィンランド語文法ハンドブック』P.38
「愛の上に」と言っているのか「愛によって」と言っているのか、どちらなのでしょう? それとも全然違う意味なのか、今の知識ではよくわからず。
まとめ
以上、フィンランド映画祭2013で上映される映画の原題を初心者なりに読み解いてみました。
ミカ・カウリスマキの新作「旅人は夢を奏でる」は絶対見たいと思っていますが、その他の映画もいくつか見に行けたらと思っています。
10月5日が楽しみですね!