フィンランド語学習記 vol.95− 動詞の活用と語幹の変化(タイプ2〜4)
フィンランド語教室40週目のレポート。
今期もいよいよ最終回。
以前のエントリーでまとめたタイプ1の動詞の活用に続いて、他のタイプの動詞の活用を学習しました。
タイプ1 | 2つの母音で終わる動詞 |
---|---|
タイプ2 | [dA]で終わる動詞 |
タイプ3 | [lA, nA, rA, stA]で終わる動詞 |
タイプ4 | [AtA, OtA, utA]で終わる動詞 |
タイプ5 | [itA]で終わる動詞 |
タイプ6 | [etA]で終わる動詞 |
今回はタイプ2〜4の動詞の活用をまとめてみたいと思います。
タイプ2の動詞
タイプ2は語末が[-da/-dä]で終わる動詞です。
ここでは saada(得る)という動詞を例に活用形の作り方を見てみましょう。
2−1)語末の[-da/-dä]を外す
まずは語末の[-da/-dä]を外します。
2−2)kpt 交替のチェック
語幹末尾の子音変化(kpt交替)をチェックします。。。が、タイプ2の場合、変化は起こらないので考慮しなくてよいとのこと。
これはラッキー!
2−3)人称ごとの活用語尾を付ける
タイプ2の動詞の活用形は、次のような語尾を付けることによって作ります。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | -n | -mme |
二人称 | -t | -tte |
三人称 | なし | -vat/-vät |
ここにさきほどの saa を入れてみましょう。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | saan | saamme |
二人称 | saat | saatte |
三人称 | saa | saavat |
これでできあがり。簡単!
2−4)タイプ2の例外
[-da/-dä]で終わる動詞の中で、下記の2つは例外的な活用をするとのこと。
tehdä(つくる)
もともとは tekeä という綴りだったので、2つの母音で終わる動詞=タイプ1の動詞として活用形を作ります。
途中過程は省略しますが、次のような形に。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | teen | teemme |
二人称 | teet | teette |
三人称 | tekee | tekevät |
nähdä(見る)
もともとは näkeä という綴りだったので、2つの母音で終わる動詞=タイプ1の動詞として活用形を作ります。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | näen | näemme |
二人称 | näet | näette |
三人称 | näkee | näkevät |
タイプ3の動詞
タイプ3は語末が[-la/-lä][-na/-nä][-ra/-rä][-sta/-stä]で終わる動詞です。
ここでは ajatella(考える)、mennä(行く)、purra(かじる)、nousta(上がる)という動詞の活用を見ていきましょう。
3−1)語末の[-la/-lä][-na/-nä][-ra/-rä][-ta/-tä]を外す
mennä → men
purra → pur
nousta → nous
3−2)語末に[-e]を添える
men → mene
pur → pure
nous → nouse
3−3)kpt 交替のチェック
語幹末尾の子音変化(kpt交替)をチェックします。まずは変化表を見てみましょう。
kk | ←→ | k |
k | ←→ | × |
uku | ←→ | uvu |
yky | ←→ | yvy |
nk | ←→ | ng |
lke | ←→ | lje |
rke | ←→ | rje |
hke | ←→ | hje |
pp | ←→ | p |
p | ←→ | v |
mp | ←→ | mm |
tt | ←→ | t |
t | ←→ | d |
nt | ←→ | nn |
lt | ←→ | ll |
rt | ←→ | rr |
タイプ1の動詞では左から右へ子音が変化しましたが、それ以外のタイプでは逆に右から左へ子音が変化するとのこと。
つまりタイプ1の動詞の活用を考えるときは、語幹末尾の音節に[k, p, t]が含まれていたら、子音の変化が起こる可能性があると覚えていましたが、タイプ3の動詞ではその他の文字から[k, p, t]に変化するケースも考慮しなければなりません。
ここでは ajatele, mene, pure, nouse を表に当てはめてみましょう。
すると下から5番目に[tt ← t]という変化があるので、
となります。その他の動詞に子音の変化はありません。
3−4)人称ごとの活用語尾を付ける
タイプ3の動詞の活用形は、次のような語尾を付けることによって作ります。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | -n | -mme |
二人称 | -t | -tte |
三人称 | 母音を重ねる | -vat/-vät |
ここにさきほどの ajattele, mene, pure, nouse を入れてみましょう。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | ajattelen | ajattelemme |
二人称 | ajattelet | ajattelette |
三人称 | ajattelee | ajattelevat |
タイプ1の動詞では、三人称の活用に kpt 交替が反映されないというルールがありましたが、タイプ3にはそのルールはないそうです。
よって、ajattelee、ajattelevat と[t]は重ねたままでOK。
その他の動詞は以下のようになります。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | menen | menemme |
二人称 | menet | menette |
三人称 | menee | menevät |
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | puren | puremme |
二人称 | puret | purette |
三人称 | puree | purevat |
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | nousen | nousemme |
二人称 | nouset | nousette |
三人称 | nousee | nousevat |
タイプ4の動詞
タイプ4は語末が[-ata/-atä][-ota/-otä][-uta/-utä]で終わる動詞です。
ここでは tykätä(〜が好き)、pudota(落ちる)、haluta(〜が欲しい)という動詞の活用を見ていきましょう。
4−1)語末の[t]を外す
pudota → pudoa
haluta → halua
4−2)kpt 交替のチェック
語幹末尾の子音変化(kpt交替)をチェックします。ふたたび変化表を見てみましょう。
kk | ←→ | k |
k | ←→ | × |
uku | ←→ | uvu |
yky | ←→ | yvy |
nk | ←→ | ng |
lke | ←→ | lje |
rke | ←→ | rje |
hke | ←→ | hje |
pp | ←→ | p |
p | ←→ | v |
mp | ←→ | mm |
tt | ←→ | t |
t | ←→ | d |
nt | ←→ | nn |
lt | ←→ | ll |
rt | ←→ | rr |
このタイプでも、子音は右から左へ変化します。
一番上に[kk ← k]、下から4番目に[t ← d]という変化があるので、
putoa ← pudoa
4−3)人称ごとの活用語尾を付ける
タイプ4の動詞の活用形は、次のような語尾を付けることによって作ります。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | -n | -mme |
二人称 | -t | -tte |
三人称 | 母音を重ねる | -vat/-vät |
ここにさきほどの tykkää、putoa、halua を入れてみましょう。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | tykkään | tykkäämme |
二人称 | tykkäät | tykkäätte |
三人称 | tykkää | tykkäävat |
三人称単数形で母音を重ねていないのは、フィンランド語では三重母音が禁止されているというルールによるもの。よって tykkäää とはなりません。
またタイプ3と同様、三人称における kpt 交替なしというルールはありません。よって tykkää と[k]を重ねたままにしておきましょう。
その他の動詞は以下のようになります。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | putoan | putoamme |
二人称 | putoat | putoatte |
三人称 | putoaa | putoavat |
ついさきほど三重母音は禁止!と言ったばかりなのに、三人称単数形が putoaa となっています。この場合は[o/aa]と音節が切れるからOKなのだとか。これは複雑。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | haluan | haluamme |
二人称 | haluat | haluatte |
三人称 | haluaa | haluavat |
ここでも三人称単数形が haluaa となっていますが、[u/aa]と音節が切れるためOK。
まとめ
以上、フィンランド語のタイプ2〜4の動詞の活用をまとめてみました。
タイプ1 | 2つの母音で終わる動詞 |
---|---|
タイプ2 | [dA]で終わる動詞 |
タイプ3 | [lA, nA, rA, stA]で終わる動詞 |
タイプ4 | [AtA, OtA, utA]で終わる動詞 |
タイプ5 | [itA]で終わる動詞 |
タイプ6 | [etA]で終わる動詞 |
フィンランド語の動詞の80%はタイプ1に含まれるため、タイプ2〜6の動詞の数はそれほど多くないようです。とはいえ、日常よく使う基本動詞も含まれているため、スキップする訳にもいきません。
こういった活用形の作り方を考えるのは、パズルのようで楽しいのですが、会話で瞬間的に出てくるようにするのはなかなか大変そうです。コツコツと練習してきましょう!