「おざなり」と「なおざり」の違いとは?

紛らわしい日本語は多々ありますが、おざなりとなおざりの使い分けは、その最たるものではないでしょうか。わかっているようでわからない、いつも混乱してしまいます。

このあたりでもう一度、しっかりと用法を確認しておくことにしました。

まずは辞書の語義から。

おざなり【お座なり】

当座をつくろうこと。その場のがれにいいかげんに物事をするさま。「ーの計画」「ーにする」「ーを言う」

『広辞苑』

おざなりの計画というのは、行き当たりばったりで、完成度の低い計画ということになるのでしょう。

なお和英辞典で「おざなり」を引くと、careless, slapdash, perfunctory などの訳語が出てきます。

なおざり【等閑】

1 あまり注意を払わないさま。いい加減にするさま。かりそめ。おろそか。ゆるがせ。「規則をーにする」「ーな態度」

2 あっさりしていること。

『広辞苑』

規則をなおざりにするというのは、つまり規則を守らないということですね。

和英辞典で「なおざり」を引くと、neglect, disregard などの訳語が出てきます。

こうして見ると、おざなりとなおざり両方の語義に「いいかげん」という言葉が含まれているため、両者の違いが非常にわかりにくくなっています。

そこで一旦、語義から離れて頭の中で用例を思い浮かべてみると、おざなりは適当なりに行動をしているものの、なおざりはそもそもほったらかしというイメージが浮かんできました。

検索してみると、NHKアナウンスルームのホームページにそのあたりの解説がのっていました。

<前略>

『おざなり』はいい加減でも”何かする”。『なおざり』はいい加減で”何もしない”。この点が違うのです。

なるほど。つまり両者には以下のような違いがあると言えそうです。

おざなりに宿題をする。
→たいして集中もせずに、ダラダラと宿題をこなす。

宿題をなおざりにする。
→遊びに夢中になって、宿題に手を付けない。

こうしてみると宿題の場合は、「なおざり」より「おざなり」の方がまだましと言えそうです。

あるいは気が乗らないことはいっそ「なおざり」にできる方が大物と言えるのかもしれません。さてどちらが良いでしょうか?