vexillographer − 旗を作る人

好きなことを職業にできる人は幸福だと言われます。

しかしそのように言うとき念頭に置かれているのは、例えばサッカー選手やパティシエなど既存の職業であることがほとんど。

好きなことと言っても、どら焼きを食べることや、あやとりをすることが念頭に置かれている訳ではありません。

しかし数は少ないかもしれませんが、この世界には職業を「発明」した人もいるはずです。

既存の枠組みにとらわれず、情熱の赴くままに人生の舵を切った人々の通った後に、現在の職業という道があるのかもしれません。

オーストラリアの日刊紙『The Daily Telegraph』のホームページによると、なんと旗を作ることを職業にした人がいるとのこと。

After 40 years, John Vaughan has successfully had vexillographer listed in the dictionary | Local NSW News | thetelegraph.com.au

Mr Vaughan is a vexillographer, someone who studies the history of flags and designs them, with more than 5000 flags in his collection. Next year, the words vexillographer and vexillography will be added to the Macquarie Dictionary.

(Vaughan氏は、旗の歴史を学び、旗をデザインする「旗作家」である。彼は5,000以上の旗をコレクションしている。来年、旗作家(vexillographer) と旗学(vexillography)という単語はマッコーリー辞書に加わる予定である。)

vexillographer に「旗作家」という訳語がふさわしいのかどうかはあまり自信がありません。

「写真家」や「画家」に対して「旗家」でもよいのかもしれませんが、これだと字面を見ても何をする人なのかよくわかりませんね。

あるいは旗を作る人がぐんと増えれば「旗家」を定着させることができるかもしれませんが、この世界がそれほど多くの旗を必要としているようにも思えません。

いずれにしてもこの世界にはさまざまなことに情熱を燃やす人がいるもの。

好きなことを仕事にし、なおかつその仕事が辞書の項目になるというのは、歴史に名を残すのと同じくらい名誉なことではないでしょうか。