Polaris − 北極星のはなし

photo credit: Kristofer Williams via photopin cc

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冬は一年でもっとも星がきれいな季節。

ふと空を見上げれば、吸い込まれるような星空が広がっていることもあるでしょう。

そんな中、反時計回りに夜空を回転する星たちの中心に位置するのが北極星。

北極星は、英語で pole star(polestar)と言います。

A pole star is a visible star, preferably a prominent one, that is approximately aligned with the Earth’s axis of rotation; that is, a star whose apparent position is close to one of the celestial poles, and which lies approximately directly overhead when viewed from the Earth’s North Pole or South Pole.

(pole star とは、おおよそ地球の自転軸上にあり、肉眼で見ることができて、望ましくは目立つ星のこと。すなわち、天の極の片方に近い場所にあり、地球の北極点か南極点から見ると、およそ真上に来る星のことである。)

Wikipedia「pole star」より

この定義だと polestar というのは、北極星だけでなく、南極星も含むことになりますね。

実際、南極点の真上にも星はあるのですが、北極星よりもずっと暗いため、観察されることも少ないようです。

日本語の北極星のように、北の星であることを明確にするなら、North Star という表現を使った方がよいかもしれません。

現在の北極星は、こぐま座のポラリス(Polaris)という恒星。

英語圏では、pole star ではなく Polaris という固有名で呼ばれることも多いのだそうです。

なおさきほど「現在の北極星」と言ったのは、北極星に当たる星は、地球の歳差運動(自転軸の首振り運動)のせいで時代により異なるため。

現在の英和辞典には、北極星の訳語の一つとして Polaris がのっていますが、おそらく2,000年後の英和辞典からは消えてしまうことでしょう。

こんな理由で語義が入れ替わってしまうのも、翻訳の不思議の一つと言えます。