ミカ・カウリスマキ監督『旅人は夢を奏でる』@イメージフォーラム
渋谷のシアター・イメージフォーラムでミカ・カウリスマキの新作『旅人は夢を奏でる』を見てきました。
フィンランド映画祭2013でも上映されていたのですが、そのときはぐずぐずしていたらチケットが売り切れに。今回ようやく見ることができました。
映画の主人公は30代後半のピアニスト、ティモ。ある日、コンサートを終えて帰宅すると、35年前に家を出て行ったきりの父親レオがドアの前に座り込んでおり。。。
映画はそこから始まる親子二人の旅を描いていきます。
母親違いの姉ミンナの家を訪ねたり、養護施設に入っている祖母に会いに行ったり、そして旅の最後には。。。という出会いと別れのロードムービー。
映画の原題『Tie Pohjoiseen』は「北への道」という意味。
フィン | 英 | 日 |
---|---|---|
tie | road | 道 |
pohjoinen | north | 北 |
原題の pohjoiseen は「北」を意味する pohjoinen の入格の形。
[入格]pohjoiseen(北へ)
入格は「〜の中へ」という意味を表す格変化。
実際、映画の中で親子二人はティモが住むヘルシンキから、車で北へ北へと移動していきます。
地図で見るとヘルシンキからロヴァニエミ(映画の中でティモの奥さんと娘さんが住んでいる)は、600km以上あるんですねー。遠い!
街から街へと移動する際に出てくるフィンランドの自然は、荒涼としていながら、どこかなつかしいような感じもします。
こちらも車の振動に揺られている気分がしてきて、久しぶりに長距離のドライブをしたくなりました。
またこの映画で一番印象に残ったのは、親子二人を演じる役者さん。
父親役のヴェサ・マッティ・ロイリ(Vesa-Matti Loiri)、息子役のサムリ・エデルマン(Samuli Edelmann)は二人ともフィンランドでは有名なミュージシャン&俳優なのだとか。
いい加減で人たらしの父親と生真面目で神経質な息子というコントラストもおもしろく、息の合った名コンビだったと思います。
ロードムービーが好きな方、フィンランドが好きな方、人生で本当に大切なものを考えたい方におすすめの一本です。
1月 18, 2014 @ 15:17:35
こんにちは
私も先日見ました。
車の走る田舎道は,40年前には,家畜の餌として冬に備えるため,緩やかに波打つ畑にheinäseiväsを立てて干し草を作っている農家風景が延々と続いていましたが,今や全く見られません。(http://www.flickr.com/photos/24578558@N03/7416858362/)
時代の流れですね。
また,小津安二郎監督から影響を受けたというKaurismäkiのKaurismäkiらしからぬ早いカット展開はアメリカ映画を見ているようで少し興ざめでした。Aki Kaurismäki on Ozu, https://www.youtube.com/watch?v=7ZPpnd4hTVw
(この動画の1:49辺りに「おはよう 」1959年(昭和34年)で演技を付ける小津監督と子役の横に私の家が写ってます。私はこの映画を68年頃,フィンランドで見ました。)
主演の2人の歌は,素晴らしい。(タイトルをクリックするとYou Tubeから曲が流れます)
http://www9.plala.or.jp/Jussih/suomalaiset_laulut/tuomittuna_kulkemaan.htm
1月 18, 2014 @ 23:39:55
Jussiさん
コメントありがとうございます。
昔の干し草の山は何だか味がありますね。そして小津監督の演技指導の横に家が写っているというのはすごい!
『お早よう』は学生のころに見たことがあります。小津作品の中ではコミカルで楽しい映画ですよね。しかしフィンランドで上映していたというのはびっくりです。
また『旅人は夢を奏でる』の主演二人の歌はいいですねー。早く聞いて歌詞がわかるようになりたいものです。
1月 20, 2014 @ 21:27:10
Iltaa,
Tässä on “Kuolleet lehdet”, jota Vesa-matti ja Samuli lauloivat elokuvissa.
http://www9.plala.or.jp/Jussih/suomalaiset_laulut/kuolleet_lehdet.htm
Heippa!
1月 22, 2014 @ 22:57:48
Kuolleet lehdet は「枯れ葉」ですね。この演奏シーンはよかったですよね。Kiitos!
3月 06, 2014 @ 15:20:54
この映画やっと今年の2月になって関西でも上映されてさっそく見に行ってきました!
運転席と助手席に二人並んで、斜め縞模様のMarianneを同じように片手で持ってガシッと歯ですくい食べるシーンに思わずくすっとなりました。
あのケミのホテルでの歌、素晴らしかったですね!
Jos olisin kuullut sen paikan päällä,olisin vapissut liikutuksesta!
3月 07, 2014 @ 11:42:47
おお! 関西では上映が遅かったんですね。
ホテルでの演奏シーンは、とてもよかったですよね。主演の二人はミュージシャンでもあるということなので、フィンランドにいたら生演奏を聞くチャンスもあるのでしょうか。
*最後の文は「その場で聴いたら、震えてしまう」みたいな意味でしょうか?
たしかに! 違っていたらすみません。。。
こういう映画が大ヒットする国というのは、素晴らしいなと思います。日本でももっとフィンランドの映画が見られるようになるといいですね。