フィンランド語学習記 vol.11 − Yes/Noがない?
フィンランド語教室6週目のレポート。
今回のおもしろい発見は、フィンランド語にはいわゆる「Yes/No」に相当する単語がないということ。
どういうことか説明するために、まずは文の基本形を確認しましょう。
[平叙文]Hän on Liisa.(彼女はリーサです)
[否定文]Hän ei ole Liisa.(彼女はリーサではありません)
[疑問文]Onko hän Liisa?(彼女はリーサですか?)
[否定文]Hän ei ole Liisa.(彼女はリーサではありません)
[疑問文]Onko hän Liisa?(彼女はリーサですか?)
フィンランド語の否定文は動詞(on)の前に否定動詞(ei)を置いて作ります。*on は語幹の ole という形に変化。
一方、疑問文は動詞(on)を文頭に出して、疑問の接辞[-ko]をくっつけます。このあたりのルールは、英語のbe動詞の文に近いものがありますね。
そして疑問文への答えは下記のとおり。
On, hän on Liisa.(はい、彼女はリーサです)
Ei, hän ei ole Liisa.(いいえ、彼女はリーサではありません)
Ei, hän ei ole Liisa.(いいえ、彼女はリーサではありません)
この場合、動詞の on と否定動詞の ei が、それぞれ「はい」「いいえ」の役割をすることになります。
しかしこの on や ei は主語によって語形変化をしますし、on(原形=olla)以外の動詞を使った文であれば、その動詞が「はい」の意味になります。
すなわち、英語の「Yes/No」や日本語の「はい/いいえ」に一対一の対応をする単語は、フィンランド語には存在しないようなのです。
なるほど、こんな言語のしくみもあるのか、といたく感心。とはいえフィンランド語の入門書の中には、
Kyllä(はい)
Ei(いいえ)
Ei(いいえ)
と書いてあるものも少なくありません。しかし kyllä という語はどちらかというと英語の I agree のような意味で、あなたの言うことに賛成しますというニュアンスが強いそうです。
もっとも入門書で「はい/いいえ」を説明しようとして、いちいち上のような説明をする訳にもいかないでしょうから、わかった上での妥協案なのでしょう。
新しい言葉を学んでいると日々発見があります。