フィンランド語学習記 vol.170 − 命令文(二人称複数)

photo credit: One From RM via photopin cc

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きのうのエントリーの続き。

フィンランド語学習記 vol.169 − 命令文(二人称単数) | Fragments

フィンランド語の命令形は、相手が単数のときと複数のときで形が変わります。

今回は相手が複数の場合を見ていきましょう。

きのうのエントリーと同じ4つの動詞を例に用いますが、相手が複数の場合は、動詞のタイプによってやや作り方が異なります。

タイプ1 2つの母音で終わる動詞 例、lukea(読む)
タイプ2 [dA]で終わる動詞 例、syödä(食べる)
タイプ3 [lA, nA, rA, stA]で終わる動詞 例、ajatella(考える)
タイプ4 [AtA, OtA, utA]で終わる動詞 例、vastata(答える)

 

そこで場合分けをしながら、以下に命令文の作り方を見ていきたいと思います。

 

命令文(二人称複数)の作り方、肯定形(動詞タイプ1・2)

手順1)語幹をもとめる

タイプ1の動詞では、語末の[-a/-ä]を外した形が語幹になります。

lukea → luke

タイプ2の動詞では、語末の[-da/-dä]を外した形が語幹になります。

syödä → syö

 

手順2)語尾に[-kaa/-kää]を付ける

語幹に[a, o, u]が含まれているときには[-kaa]、含まれていないときには[-kää]を付けます。

luke → lukekaa
syö → syökää

これでできあがり。

Lukekaa!(読みなさい。)
Syökää!(食べなさい。)

相手が単数のときには語幹 luke に[k→×]という k, p, t の変化を適用していましたが、相手が複数のときには適用しません。

[単数]Lue!
[複数]Lukekaa!

このルールはやや複雑ですねー。

 

命令文(二人称複数)の作り方、肯定形(動詞タイプ3・4)

手順1)子音語幹をもとめる

タイプ3・4の動詞には、母音語幹と子音語幹があります。

タイプ3の動詞では、語末の[-lA, -nA, -rA, -tA]を外した形が子音語幹、そこへ[-e]を付けた形が母音語幹になります。

ajatella
→[子音語幹]ajatel
→[母音語幹]ajattele
*母音語幹は強形の[-tt-]になるので注意

タイプ4の動詞では、語末の[-A]を外した形が子音語幹、語末から二文字目の[-t-]を外した形が母音語幹になります。

vastata
→[子音語幹]vastat
→[母音語幹]vastaa

これまで動詞の活用を求めるときには母音語幹を使ってきましたが、相手が複数の命令形を作るときには子音語幹(ajatel, vastat)を用います。

 

手順2)語尾に[-kaa/-kää]を付ける

ここからはタイプ1・2の動詞と同じです。

ajatel → ajatelkaa
vastat → vastatkaa

これでできあがり。

Ajatelkaa!(考えなさい。)
Vastatkaa!(答えなさい。)

単数のときと同様、ここまでできていれば、否定形を作るのは簡単。

 

命令文(二人称複数)の作り方、否定形

手順3)文頭に Älkää を置き、語尾に[-ko/-kö]を付ける

相手が単数のときには文頭に Älä を置いて否定形を作りましたが、複数のときには代わりに Älkää を置きます。

また語尾にはさきほどの[-kaa/-kää]の代わりに[-ko/-kö]を付けます。

Älkää lukeko!(読むな。)
Älkää syökö!(食べるな。)
Älkää ajatelko!(考えるな。)
Älkää vastatko!(答えるな。)

以上。

最後にもう一度、単数・複数それぞれの肯定形・否定形をまとめておきます。

単数肯定 単数否定 複数肯定 複数否定
T1 Lue! Älä lue! Lukekaa! Älkää lukeko!
T2 Syö! Älä syö! Syökää! Älkää syökö!
T3 Ajattele! Älä ajattele! Ajatelkaa! Älkää ajatelko!
T4 Vastaa! Älä vastaa! Vastatkaa! Älkää vastatko!

 

また k, p, t 交替の起こり方をまとめると次のように。

単数 複数
T1 強形→弱形 なし
T2 なし なし
T3 強形←弱形 なし
T4 強形←弱形 なし

 

強形と弱形のリストは次のとおり。

強形 弱形
kk ←→ k
k ←→ ×
uku ←→ uvu
yky ←→ yvy
nk ←→ ng
lke ←→ lje
rke ←→ rje
hke ←→ hje
pp ←→ p
p ←→ v
mp ←→ mm
tt ←→ t
t ←→ d
nt ←→ nn
lt ←→ ll
rt ←→ rr

 

以上、今回のエントリーでは、相手が複数のときの命令文の作り方についてまとめてみました。

ところでお気付きの方もいるかもしれませんが、このエントリーのタイトルは命令文(b>二人称複数)となっています。

英語の感覚からすると、命令文なんだから二人称に決まっているだろうと思うところですが、何とフィンランド語には一人称・三人称の命令形もあるのだとか。

??

何だか非常に不思議な感じがします。

しかしそれについてはまだ習っていないので、またの機会に。

とりあえずは二人称だけでも、お腹いっぱいな感じです。