フィンランド語学習記 vol.171 − 命令文の目的語

Brass Doorknob

最近のエントリーで、フィンランド語の命令文について扱いました。

フィンランド語学習記 vol.169 − 命令文(二人称単数) | Fragments

フィンランド語学習記 vol.170 − 命令文(二人称複数) | Fragments

命令文を作る際に注意しなければならないのは、実は動詞の形だけではないようです。

先日のフィンランド語教室ではこんな例文も扱いました。

1)Voitko avata oven?(戸を開けてくれませんか。)
2)Avaa ovi!(戸を開けなさい。)
3)Älä avaa ovea!(戸を開けるな。)
*avata(開ける)、ovi(戸)

1は疑問文、2と3は命令文ですね。

動詞 avata の変化はさておき、注目してほしいのが目的語 ovi の形。何と1〜3の全てが異なっています。

1→[対格]oven
2→[主格]ovi
3→[分格]ovea

何でこうなるかなあーという感じですが、落ち着いてルールを検証していきましょう。

一つ・二つと数えられる目的語の全体を表すときは対格
1)Voitko avata oven?(戸を開けてくれませんか。)

「戸」というのは一枚・二枚と数えることができます。

また戸を開けてほしいということは、戸全体を開けることにつながるので、ここでは全体を表す対格を用います。

命令文の目的語は主格
2)Avaa ovi!(戸を開けなさい。)

これについて、ロジカルな説明をひねり出そうとしてみたものの、どうにも思い付かず。

とにかく命令文の目的語は主格!と覚えておくほかなさそうです。

否定文の目的語は分格
3)Älä avaa ovea!(戸を開けるな。)

戸を開けないでほしいということは、(あたりまえですが)戸全体を開けることにはつながらないので、ここでは全体を表す対格ではなく、部分を表す分格を用います。

これらの用法はなかなか複雑。

相手の言うことを理解するだけならともかく、自分が話すときにきちんと使い分けるのはかなり高いハードルだと思います。

それでもコツコツと練習していきましょう(涙)。