フィンランド語学習記 vol.182 − リーサの家、シベリウスのサウナ

photo credit: Kimmo Räisänen via photopin cc

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本日はふたたびフィンランド語の語形変化の話。

まずは下記をご覧ください。

Liisa(リーサ)
Liisan talo(リーサ家)

フィンランド語では、単語の末尾に[-n]を付けると「〜の」の意味になります。

これは簡単。

それでは「シベリウスのサウナ」と言いたいときには、どのようなフィンランド語になるでしょうか?

Sibelius(シベリウス)
                     sauna(シベリウスのサウナ)

さきほどと同じように Sibelius-n としたいところですが、さすがにフィンランドが誇る大作曲家シベリウス。一筋縄ではいきません。

正解はこちら。

Sibelius(シベリウス)
Sibeliuksen sauna(シベリウスサウナ)

??

何だか変わった形になりました。

Sibelius のように語末が[-us][-ys][-Os]で終わる単語は、格変化の際に語幹が[-s]から[-kse]に変化することがあります。

なお Sibelius の属格を作る際のプロセスを細かく追跡すると次のとおり。

Sibelius 語幹をもとめる Sibeliukse
Sibeliukse [k, p, t]の変化なし Sibeliukse
Sibeliukse 格語尾[-n]を付ける Sibeliuksen

 

これはもちろん人名だけではなく、一般的な単語にも当てはまります。

[主格]kysymys(質問)
[属格]kysymyksen(質問の)

やや複雑ですが、とにかく語尾が[-us][-ys][-Os]の単語に注意しておけば大丈夫!

。。。と思っていたら、手元の『フィンランド語文法ハンドブック』に次のような記述が。

ananas「パイナップル」、lihas「筋肉」、teräs「鋼鉄」、aines「材料、資料」、vihannes「野菜」、jänis「ウサギ」、tennis「テニス」などのように、-as,  -äs,  -es,  -is で終わる語の中にも -s が -kse に変化するものがあります。

『フィンランド語文法ハンドブック』 P.56

こうしてみると、よく使う単語の中に[-kse]の仲間は意外と多いのかも。

そして tennis の属格は tenniksen(テンニクセン)になるのですね。これも何だか奥深し。