群青

photo credit: kern.justin via photopin cc
子どもの頃使っていた色鉛筆やクレヨンの中では「ぐんじょういろ」がお気に入りでした。
普通の青よりも、どこか力強さを感じていたのだと思います。
ぐんじょう【群青】
①岩群青(いわぐんじょう)の略。
②(ultramarine)青金石(lazurite)という鉱物から作る青色の顔料。ラピス−ラズリ(lapis lazuli)とも呼び、古来アフガニスタン産のものが有名。18世紀にヨーロッパで、粘土・炭酸ナトリウム・木炭・石英・硫黄の混合物を加熱して、天然産と同じものをつくった。現在はこの人造石(ウルトラマリン−ブルー)を主に使用。
『広辞苑 第五版』
青が群れると書いて群青(ぐんじょう)。
群青というのはもともと天然の顔料の名前なんですね。
また語義の中に ultramarine と lapis lazuli という二つの英単語が出てきました。
どこか神秘的なこれらの単語の由来を見てみましょう。
ultramarine (n.)
1590s, “blue pigment made from lapis lazuli,” from Medieval Latin ultramarinus, literally “beyond the sea,” from ultra- “beyond” + marinus “of the sea” (see marine (adj.)). Said to be so called because the mineral was imported from Asia.
『Online Etymology Dictionary』
ultramarine は beyond the sea「海を越えて」の意味。ラテン語に由来しています。
海を越えてやってくる貴重な顔料だったということなのでしょう。
lapis lazuli (n.)
early 15c., from Middle Latin lapis lazuli, literally “stone of azure,” from Latin lapis “stone” + Medieval Latin lazuli, genitive of lazulum, from Arabic lazuward
『Online Etymology Dictionary』
lapis lazuli は stone of azure「空色の石」の意味。こちらもラテン語に由来しています。
空色の石を最初に見つけた人はきっと感動したことでしょう。
なお厳密には、lapis lazuli というのは天然の鉱石の名前、ultramarine というのはそこから造られる顔料の名前なのだとか。
しかし ultramarine の訳語には「群青色」、lapis lazuli の訳語には「瑠璃色」という別の色名が当てられることも。
ぐんじょういろ【群青色】
群青のような鮮麗な藍青色
るりいろ【瑠璃色】
①紫色を帯びた紺色
②襲(かさね)の色目。浅葱(あさぎ)色の異称。
『広辞苑 第五版』
この二つの色はなかなか見分けるのが難しいですが、日本工業規格の「JIS慣用色名」では次のようなカラーコードが指定されています。
群青色 | 000000000000 |
瑠璃色 | 000000000000 |
瑠璃色の方が少し淡いのかなという印象がありますね。
冒頭の話に戻ると、子どもの頃使っていた色鉛筆やクレヨンに「るりいろ」があったのかどうかはまったく思い出せません。
あったのかもしれないし、なかったのかもしれない。
今となってはすっかり忘却の彼方になってしまいました。