body politic(国家)はなぜ「名詞+形容詞」の語順なのか?
英語の一般的な語順は「形容詞+名詞」。
I have a black cat.
しかしさまざまな文章を読んでいると、まれに「名詞+形容詞」という語順に出会うこともあります。
いくつか例を挙げてみましょう。
英 | 日 |
---|---|
attorney general | (米)司法長官、(英)法務長官 |
body politic | 国家 |
court martial | 軍法会議 |
from time immemorial | 大昔から |
heir apparent | 法定相続人 |
poet laureate | 桂冠詩人 |
これらは現代英語の源流であるアングロ・ノルマン語(Anglo-Norman language)に由来する表現。
英語史をすこし紐解いてみましょう。
- 古英語(アングロ=サクソン語)の時代
- ノルマン・コンクエスト(1066)によって、北フランスからイングランドにノルマン語が流入
- アングロ=ノルマン語と中英語の時代
英語はもともと「形容詞+名詞」の言語。そこにノルマン語の「名詞+形容詞」の表現が流入した際、その多くは英語の語順に修正されました。
しかしいくつかの慣用表現(特に法律用語)はもとのまま残ったということのようです。
これらの表現は古風ではありますが、舌の上で転がしていると、どことなく高尚な響きがあるような気がしませんか?