フィンランド語学習記 vol.14 − ウムラウトの憂鬱
ある日のフィンランド語クラスで、先生がこんなことを話しておりました。
学生の一人がノートにフィンランド語の作文を書いているのを見ていると、何とウムラウトの点(ä, ö などの点)がまったく書かれていません。不思議に思って理由を聞いてみると、その学生さんは「点は書かないことにしてるんです」とさらっと一言。
当然、先生は[ä]と[a]はまったく違う音なのに!と怒っておりました。
それはひどい話だなあと思いつつ、一方ではこんなことも思ってしまったのです。
その学生さんの気持ちわかる。
というのは、たしかにウムラウトを書くのはめんどうなのです。特にディクテーションなど速記をしているときに Hyvää päivää. なんて出てくると、もう身悶えしたくなってしまいます。とりあえず点は後で書く!ごめん!という感じで。
大変なのはノートに書くときだけではなく、例えばこのブログ。Macで書いているのですが、ウムラウト文字は、
[option]+[u]+[a]=[ä]
[option]+[u]+[o]=[ö]
と入力しなければなりません。[ä]や[ö]一文字を入力するのにキーボードを3回も叩かなければならないのです。
そんなこともあり、なんだか非効率な文字だなあと思っていたのでした。
しかしある日突然気付いてしまったのです。実は日本語にもあるのですね。このウムラウトが。
先生 「きみ、このかっこうって何?」
生徒 「あ、それはがっこうですね。」
先生 「すると、このハスってのは。。。」
生徒 「それはバスです。」
先生 「何で(゛)を書かないの?」
生徒 「点は書かないことにしてるんです。」
先生 (怒)
生徒 「あ、それはがっこうですね。」
先生 「すると、このハスってのは。。。」
生徒 「それはバスです。」
先生 「何で(゛)を書かないの?」
生徒 「点は書かないことにしてるんです。」
先生 (怒)
という訳で日本語に置き換えて考えてみると、先生の気持ちがよくわかったのでした。
結論:ウムラウトはきちんと書きましょう。
12月 21, 2012 @ 11:15:54
Whitebearさん,こんにちは。
フィンランド人にしてみると「l」と「r」が違うように「a」と「ä」はまったく別物です。(どれも日本人の苦手なものですネ。)
「がっこう」と書く時,私たちは「か」に点々を打ってから「っこう」と続けますが,フィンランド語の書法ではpäivääと書く時はpaivaaと書いてから最後に点々,点々,点々と3回打ちます。(かっこう,ハスの比喩は「イイネ!」)
で,この「ä」はフィンランドでは「a ウムラウト」とは言いません。ウムラウトというのはドイツ語の表記の中で出てくるもので,「ä」はあくまで[ää]です。
赤ちゃんが最初に発する音は[aa]より[ää]が先で,成長と共に[aa]の発音が出来るようになるのではないかと思います。お母さん(äiti)が aiti でなく,äiti なのも原初の音が生活に残っているためではないでしょうか。
話は横道にそれましたが,フィンランド語は複数の文字で1音を表したり,その言語独特の(記号のような)文字を使う言語でなくて幸いと胸をなでおろす日々です。
Terveisin,
Jussi
12月 23, 2012 @ 01:05:03
Jussiさん
コメントありがとうございます。そういえばフィンランド語教室の先生も点々をまとめて打っていたような気がします。おそらく英語の筆記体みたいな感覚なのでしょうか。(i の点や t の横棒を最後にまとめて書くということで)
なるほど「点々」はフィンランド語ではウムラウトとは呼ばないのですね。点の部分に何か名前があってほしいような気もしますが、考えてみると英語の[i]や[j]で点の部分に名前が付いている訳でもないので、まあ仕方ないのでしょうか。
それから赤ちゃんが[aa]よりも[ää]の方を先に覚えるというのはすごく面白い話ですね。私の感覚だと[ää]の音はやや寝ぼけたような音にも聞こえるのですが、赤ちゃんの音と考えるとなんだか納得です。