将棋の駒を英語で言ってみる

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将棋の駒といえば「王将・玉将」「飛車」「角行」「金将」「銀将」「桂馬」「香車」「歩兵」の八種類。
一文字駒ではそれぞれ「王・玉」「飛」「角」「金」「銀」「桂」「香」「歩」と表記されます。
もしこれらの駒の名前を英訳するとしたら、いったいどのような英語になるでしょうか?
さまざまな見解があるところだとは思いますが、Wikipedia には次のような名称が掲載されています。
駒の名前 | 英訳 | その日本語訳 |
---|---|---|
王将・玉将 | king | 王様 |
飛車 | rook | 城 |
角行 | bishop | 司教、僧正 |
金将 | gold general | 金大将 |
銀将 | silver general | 銀大将 |
桂馬 | knight | 騎士 |
香車 | lance | 槍 |
歩兵 | pawn | 歩兵 |
*Wikipedia「shogi」より
「王将・玉将」は king、「飛車」は rook、「角行」は bishop。
これらは全く同じ動きをするチェスの駒の名前をそのまま使っています。
「金将」は gold general、「銀将」は silver general。
これは日本語の直訳ですね。
「桂馬」は knight。
これは似たような動きをするチェスの駒の名前をそのまま使っています。
ただしチェスの knight が8方向に移動できるのに対して、将棋の桂馬は2方向にしか移動できません。
「香車」は lance。
こちらは香車の俗称「槍」の直訳。
羽生善治さんの『直感力』という本に、将棋というのは交易のメタファーであるという話が出てきます。
金銀の財宝はわかるとして、香車・桂馬というのは香辛料のことなのだとか(桂馬の桂はシナモン)。
これは面白い視点だなあと唸ったのを覚えています。
そうだとすると「香車」の英訳は spice でもよかったのかもしれません。
最後に「歩兵」は pawn。
これも(ほぼ)同じ動きをするチェスの駒の名前をそのまま使っています。
こうしてみると、八つの駒のうち五つはチェスの駒からの引用。残りの三つはオリジナルの命名となっています。
将棋を海外に紹介する際、駒の英語訳をどのようにするかについてはさまざまな議論があるようです。
わかりやすさを優先すればチェスからの引用になりますし、将棋が日本固有の文化であるということを重視すればそのままの名前(kin, gin, etc.)を用いるべきという意見もあるでしょう。
このような選択は、日本文化を海外に発信する際、常につきまとう難しい問題なのだと思います。