フィンランド旅行記⑤ − 湖畔の街ハメーンリンナへ
9月1日から六日間フィンランドを旅行してきました。その5日目と最終日の記録です。
フィンランド旅行記① − はるばる森と湖の国へ | Fragments
フィンランド旅行記② − ヘルシンキどたばた観光編 | Fragments
フィンランド旅行記③ − 中世の街タリンへ | Fragments
フィンランド旅行記④ − ヘルシンキのんびり観光編 | Fragments
この日は日帰りで湖畔の街ハメーンリンナへ行ってみることにしました。
ヘルシンキ中央駅に行ってみると、ちょっと味気ないですが、自動券売機でチケットが買えるんですね。
11時6分ヘルシンキ発、12時9分ハメーンリンナ着のインターシティの切符が取れました。
(この時点ではわかっていませんでしたが、インターシティというのはフィンランドの主要都市間を結ぶ特急電車のこと。)
出発まで30分以上あるので、駅の構内をあちこち歩いてみます。
そこでふと思い出したのが、ここはアキ・カウリスマキ監督の映画『過去のない男』に出てきた場所だということ。
暴漢に襲われた主人公がふらふらの足取りで駅の構内に入ってくるシーンは、おそらくこのあたりで撮影されたのではないでしょうか。
それはさておき、
出発10分前にホームに向かうと、何と二階建ての電車がホームに鎮座しています。
しかも日本の二階建て新幹線(max)と比べると二階部分がずいぶん高い印象。
座席は全席指定で、自分は一階の方でした。新幹線のようにゆったりとしていて、快適な電車の旅になりそうです。
ほどなく電車はヘルシンキを出発。次第にフィンランドの農村風景の中に入って行きます。
またまたカウリスマキ監督の映画『白い花びら』を思い出しました。
すぐ後ろの席でお父さんと女の子がずーっと会話をしているので、何とか解読しようと試みたのですが、残念ながら単語の断片しかわからず。
しかし1時間以上の移動の最中、切れ目なく会話が続くなんて、本当に仲のよい親子ですね!
途中いくつかの駅に止まり、電車はお昼過ぎにハメーンリンナの駅に到着。
ヘルシンキと比べると小さな駅舎。
地図を見る限り、ハメーンリンナの中心街は小さな範囲にまとまっています。
歩いて行くと、ほどなく湖が見えてきました。これぞフィンランド!という感じ。
15分ほど歩いて中心部に到着。
ここにもヘルシンキ同様マーケット広場があります。
コーヒーをいただいてから、すぐ近くにある作曲家ジャン・シベリウスの生家(Sibeliuksen Syntymäkoti)へ。
外観が地味過ぎて、最初は通り過ぎてしまいました。
好き嫌いはさておき、シベリウスはフィンランドに興味がない人にも広く知られたフィンランド人の一人でしょう。
個人的には舘野泉さんのCDに収録されている「樹の組曲」というピアノ曲が好きです。
建物の中には、19世紀の暮らしぶりを想像できるよう、当時の家具や調度品を残してあります。
12歳のときのシベリウスの写真が残っているのですが、ものすごく利発そうな印象。
その後、マーケット広場へ戻り、屋台でハンバーガーをいただきました。
ハンバーガーを食べていると、車いすのおじいさんが、
と話しかけてきたので、ちょっとだけフィンランド語の会話をすることができました。
いつの時代も旅行者の相手をしてくれるのは、お年寄りと子供なんですよね。
お昼の休憩をした後、ハメーンリンナの名所であるハメ城(Hämeenlinna)へ。
「ハメーンリンナ」という街の名前も「ハメ城」も、フィンランド語で表記すれば同じ Hämeenlinna。ハメーンリンナというのはハメ人の城という意味なんですね。
お城がある一帯は公園になっていて、子供たちがわいわいと遊んでいました。
お城が見えてきて、
近づくとこんな感じ。
三階建てのお城には、何十という部屋があり、全体はまるで迷宮のよう。
すごく細い廊下の先にまた別の部屋があったりして、探検をしているような気分になります。
*この時点でデジカメのバッテリーが切れたので、以降は iPhone のカメラで撮った写真になります。あー。
お城を見学した後は、近くにある監獄博物館(Vankilamuseo)へ。
監獄博物館というのは、昔、監獄だった建物をそのまま博物館にしたもの。(ということは行ってから知ったのですが。。。)
入ってみると、リアルな監獄の世界がそこにあります。
再現された独房を覗いていたら、何だか気持ち悪くなってきました。
外へ出て一休みし、懲りずにさらに隣の軍事博物館(Museo Militaria)へ。
ここではフィンランドの過去の戦争に関する歴史を紹介するとともに、さまざまな兵器を陳列しています。
こんな大砲や、
こんな大砲がずらっと。
見学を終えて、フィンランドがロシアと国境を接しているということの重みをずっしりと感じました。この地続きの感覚というのは、日本人にはなかなか想像できないんですよね。
さてこのあたりで、ハメーンリンナの観光を終え、ヘルシンキへ戻ることに。
帰りの切符を購入したら、今度はインターシティではなく鈍行列車になりました。
一本遅らせてインターシティにすることもできたのですが、せっかくなので鈍行にも乗ってみることにしました。
鈍行とは言っても所要時間は20分増えるくらいのもの。
行きのインターシティと比べると、車内はかなり混み合っており、地元の人がたくさん乗っていました。
がやがやとフィンランド語が飛び交う雰囲気は、インターシティとはまた違いますね。
電車は18時頃にヘルシンキに到着。
今日もたくさん歩いたので、心地よい疲労感。ホテルに戻って、ビールを飲むことにしましょう。
そして翌日、
ついに今回の旅行も最終日になりました。
この日はもともと買い物をするための日として予定を開けていました。
ただホテルのチェックアウト時間を調べたところ、何と12時だったので、荷物をホテルに置いたままここへ行ってみることにしました。
ここです!
映画『かもめ食堂』のロケに使われたこのお店は、実際には Kahvila Suomi というフィンランド料理を提供するカフェなのだとか。
でもまだ『かもめ食堂』のロゴが残っているんですね。映画のポスターも貼ってありました。
しかし残念ながらこの日は土曜日のためお休み。
名残惜しくヘルシンキの街を散歩した後、二泊お世話になった Glo Hotel Art をチェックアウト。
中心街であれこれ買い物をして荷物が膨らんだところで、適当なオープンテラスのバーに入って、旅の打ち上げをすることにしました。
ビールの銘柄がいろいろあって迷いますが、夏(kesä)という単語が入っている Kesähessu というビールを選択。夏の締めくくりの一杯です。
さきほどアカデミア書店で買った本を読みながら、ビールを飲んでいたら酔いがぐるぐると回って、空に吸い込まれそうな気分になってきました。
そろそろ日本に帰りましょう。それでは、Nähdään!
9月 16, 2014 @ 12:05:20
フィンランド旅行記、楽しく拝見しました。
ハメリンナやシベリウスの生家は、まだ行ったことがなかったので先を越されちゃいましたね(笑)。
観光はもちろんですが、カフェや公園でのんびりという何もしない時間を持てるのが旅の贅沢だと思います。うらやましいです。
ところで、最後のビールの写真にびっくり。泡が立っている!しかもしっかりと。実は、何度か私がフィンランドで注文したビール(瓶ではなくhanaolut)は、泡が全然無くて、グラスに書かれた0.6Lの線まできっちり注がれていましたから、泡を立てないのがフィンランド流だと勝手に思っていました。(参考までに、beerfest.fiのkuvagalleriaを見てみましょう。泡のあるのもありますが、少ないです。)
う~ん、変なこだわりですが、確かめに行きたくなりました。こうして、リピーターになっていくのでした(笑)。
9月 18, 2014 @ 11:41:32
Juokseva Nipsuさん
お読みいただき、ありがとうございます!
ハメーンリンナは、とてものんびりした雰囲気があって、何もしないで過ごすには最高の街かもしれません。湖畔にベンチがたくさんあって、実際にぼーっとしている人もたくさん見ました。
ビールの泡の件は気になりますね。実はフィンランド滞在中、タップで飲んだビールはあの一杯だけだったので、他がどうなっているのかはわかりません。
仮説ですが、あのお店はヘルシンキの中心街(鉄道駅近く)にあったので観光客向けになっていて、もっとローカルなところでは泡を立てないとか?
検証のため、ぜひフィンランドへ!
9月 27, 2015 @ 14:59:34
遅まきながら、昨日村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読んでいたら、ハメーンリンナが出てきたので、ついNetで調べてみて見つけ、拝読させていただきました。本で出てきた湖畔のイメージが、写真で見れて、とてもよかったです。 ゆっくり時間をかけて観光してみたい所ですね。 フィンランドは、ドイツに行った帰りに乗り換えで空港だけ行っただけですが、いつか時間をかけてゆったり味わいたいと思いました。
10月 05, 2015 @ 00:29:25
kazu_dreamerさん
ハメーンリンナはとても綺麗な町でした。見所はコンパクトにまとまっているので、ひととおり観光を終えた後は湖畔や公園でぼーっとするのもよいですよ。ヘルシンキからは比較的行きやすいので、フィンランド訪問の際にはぜひ!
4月 11, 2017 @ 08:03:34
来月ハメ―ンリナ経由でパロラ戦車博物館へ行くので大変参考になりました。
4月 11, 2017 @ 22:52:04
それはよかったです。よい旅を!