しんしんと更ける夜
しんしん【深深】
- (夜が更けたり雪が降ったりして)あたりが静まりかえる様子。「ーと夜が更ける」
- 寒さが身にしみ通るように感じられる様子。「夜になるとーと冷え込んでくる」
『新明解国語辞典 第七版』
世界の言語の数は3,000とも6,000とも言われていますが、その中に「しんしん」のような静寂のオノマトペを持った言語は果たしていくつくらいあるのでしょう?
音がないところに「しんしん」という言葉を当てるこのセンス。
そして日本人なら、そこからある種の情景や感傷のようなものを共有できてしまうイメージの喚起力。
言葉の力というものをありありと感じられる単語の一つだと思います。
ところで、もしあなたが日本語を勉強している外国人に「しんしんってどういう意味ですか?」と聞かれたら、何と説明しますか?
(ここでは相手の人は英語のネイティブスピーカーだということにしましょう。)
試しに辞書を引いてみると、こんな例文がのっていました。
夜がしんしんと更けていく
The night advances silently and[but]steadily.
『ウィズダム英和辞典 第3版』
夜はしんしんとふけていった
The night was getting far advanced.
『新英和中辞典 第5版』
ウィズダムの方は頑張って説明しようとするのに対して、新英和の方は相手の想像力に委ねてしまう感じ。
いずれにしても日本語のノンネイティヴに「しんしん」の意味を伝えるのは骨の折れる作業に違いありません。
日本語教師の人はいったいどのように説明しているのでしょうか? 何だか気になります。