二重内陸国のはなし
世界には、海岸線を持たず、国境の全てが陸上にある、いわゆる内陸国がいくつか存在します。
例えばスイス。
スイスと国境を接している国はオーストリア、リヒテンシュタイン、イタリア、フランス、ドイツの5つ。
海水浴に行くのに国境を越えなければならないというのは、なかなか大変そう。(そういう問題ではない?)
しかし世界には海水浴に行くのに国境を二回越えなければならない、いわゆる二重内陸国(Doubly Landlocked Country)も存在します。
今回は、世界にわずか二つだけという、そんな二重内陸国を見ていきましょう。
リヒテンシュタイン公国(Fürstentum Liechtenstein)
ヨーロッパの小国リヒテンシュタインはスイスとオーストリアに囲まれています。
スイスとオーストリアはいずれも内陸国のため、リヒテンシュタインはヨーロッパでただ一つの二重内陸国になっています。
このリヒテンシュタインは、小国ながら一人当たりのGDPでは世界トップとも言われる裕福な国。タックス・ヘイブン(租税回避地)として、世界中のペーパーカンパニーを集めていることがその一因とも言われています。
ウズベキスタン共和国(Oʻzbekiston Respublikasi)
中央アジアの真ん中の国ウズベキスタンはカザフスタン、トルクメニスタン、アフガニスタン、タジキスタン、キルギスに囲まれています。
これらのカザフスタン、トルクメニスタン、アフガニスタン、タジキスタン、キルギスはいずれも内陸国。見事にぐるりと囲まれてしまいました。
地図を見るとウズベキスタンの北西にはアラル海(*名称は海ですが湖に分類される)があります。しかし最近のニュースによると、このアラル海は灌漑や気候の変動によって、すっかり干上がってしまったのだとか。
そして周囲では急速な環境破壊や汚染が広まっているとのこと。
琵琶湖の100倍もあった湖が人災によって消失というのは、恐ろしくも悲しい出来事です。
もしかしたら内陸国に住むということは、島国日本に住む私たちには想像もできないような大変さがあるのかもしれません。
世界地図を眺めながら、そんな人たちの暮らしに思いを馳せてみました。