フィンランド語学習記 vol.255 − 語法の重要性について

photo credit: jptoivon via photopin cc

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以前にフィンランド語の頻出動詞をまとめて暗記したことがありました。

フィンランド語学習記 vol.135 − 動詞を157語暗記する | Fragments

しかしそれらの動詞を使って文を組み立てようとしても、なかなか思ったように組み立てることができません。

その動詞に続く単語がどのような形になるのかという「語法」に関する知識がないと、ただ動詞だけを覚えても全く実用的ではないのです。

例えば、フィンランド語で「忘れる」は unohtaa(ウノフター)。

この動詞を使って「電車にバッグを置き忘れた」と言いたいとします。

しかし電車(=juna)という単語を知っていても、電車「に」ってどうやって表すんだっけ? とさっそくつまづいてしまいます。

そこで調べてみると、実際の文ではこんな形になっていました。

Unohdin laukun junaan.(私は電車にバッグを置き忘れた。)
*laukku(バッグ)、juna(電車)

この文で「電車」を意味する juna は「〜の中へ」を意味する入格の形になっています。

主格 juna 電車
入格 junaan 電車の中へ

 

言われてみれば納得!

でも、とっさには出てこない!

それでは「テーブルに財布を置き忘れた」と言いたいときはどうでしょう?

この場合はさきほどのように入格にはなりません。

Unohdin lompakon pöydälle.(私はテーブルに財布を置き忘れた。)
*lompakko(財布)、pöytä(テーブル)

この文で「テーブル」を意味する pöytä は「〜の上へ」を意味する向格の形になっています。

主格 pöytä テーブル
向格 pöydälle テーブルの上へ

 

こちらも言われてみれば納得!

でも、とっさには出てこない!!

うーむ。。。

もう一度、整理しておきましょう。

さきほどの例文において、電車に置き忘れる場合は「電車の中に」置き忘れるので内部格、机に置き忘れる場合は「机の上に」置き忘れるので外部格を使いました。

内部格 内格 -ssA 〜の中に
出格 -stA 〜の中から
入格 〜の中へ
外部格 接格 -llA 〜の上に
離格 -ltA 〜の上から
向格 -lle 〜の上へ

 

じっくりと理屈で考えれば、このような使い分けになることはわかります。

しかし問題はとっさにこれらの形が出てこないということ。

そこでおそらく大切なのは、unohtaa(忘れる)という動詞を覚えるときに、動詞単独で覚えるのではなく、

  • unohtaa + 目的語 + 入格
  • unohtaa + 目的語 + 向格

という形をしっかり押さえておくということになるのでしょう。

考えてみると、英語でもアウトプットの際にはこのような動詞を中心とした語法の知識は欠かせません。

ただ複雑な格変化を伴うフィンランド語の場合には、英語以上に語法の知識が重要であり、それなしでは暗闇の中で一歩も前に進めなくなってしまうこともしばしば。

これからは単に動詞を覚えるだけでなく、語法の知識もきっちり押さえていこう!と改めて思ったので、忘れないようここに書き記しておきます。