日本語の身に付ける動詞と wear の関係について
帽子はかぶる、シャツは着る、靴は履く、
という使い分けは、日本語ネイティブならまず間違えることはないでしょう。
しかし外国語として日本語を学んでいる英語話者にとっては、この使い分けが案外難しいのではないかと想像します。
というのも、私たちが当たり前のように使い分けているこれらの動詞は、英語では wear に集約されてしまうからです。(動作に焦点を当てる場合は put on)
英語の wear に対応する日本語の語彙を集めてみたら、予想以上にたくさんあってびっくりしました。
英 | 日 |
---|---|
wear a backpack | バックパックを背負っている(担いでいる) |
wear a bathrobe | バスローブをはおっている |
wear a belt | ベルトを締めている |
wear a hat | 帽子をかぶっている |
wear a ribbon | リボンを付けている |
wear a scarf | スカーフを巻いている |
wear a shirt | シャツを着ている |
wear a tie | ネクタイをしている |
wear glasses | 眼鏡をかけている |
wear gloves | 手袋をはめている |
wear pants | ズボンをはいている(穿いている) |
wear shoes | 靴をはいている(履いている) |
これらはノンネイティブの立場からすると「そんなに細かく分けてどうするの!」と突っ込みを入れたくなる世界なのではないでしょうか。
眼鏡はかけるのに、コンタクトレンズは付けるとか、
手袋ははめるのに、マフラーは巻くとか、
一つ一つの動きをロジカルに分析すれば何とかなるのかもしれませんが、何といっても数が多いですし、全部きちんと覚えるのはかなり大変な作業でしょう。
そして一つ気になるのは、身に付ける動詞をここまで細かく分類するのは日本語だけなのか?ということ。
あるいは広大な言語世界の中には、日本語以上に精緻な体系を持った言語もあるのかもしれません。
例えば、セーターを「着る」とジャケットを「着る」が違う動詞になるとか。(一応、着方は異なるので)
もしそんな言語があったら、ぜひお目にかかってみたいものです。
12月 11, 2014 @ 23:16:27
英語だと put it on も良く聞きますよね。
日本語の絵本で『どうすればいいのかな?』というのがあるんですが、内容は「シャツをはいたらどうなる?」「パンツをかぶったらどうなる?」というように、動詞と目的語の組み合わせがバラバラになっている絵本なんです。英語にも訳されているんですが、「シャツを足に着たらどうなる?」みたいになっちゃってて、表現のおもしろさがなくなっていました。
12月 14, 2014 @ 13:20:00
fugacoさん
それは面白そうな絵本ですね! 実際にシャツをはいたり、パンツをかぶったりしている絵が書いてあるのでしょうか? パンツをかぶっている姿は想像できますが、シャツはどうやってはくのでしょう? 子どもといっしょに読んだらきっと盛り上がるんでしょうね。そのアイディアを考えた人はすごいなあと思います。