空のけしきもうらうらと

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いよいよ、2015年が始まりました。

とはいえ、今日のところはのんびりとお正月を過ごしている人がほとんどでしょう。

新年を祝う正月という行事がいつ頃から始まったのかはわかりませんが、今から約1,000年前に書かれた清少納言の『枕草子』には元日についての記述があります。

正月一日は、まいて空のけしきもうらうらと、めづらしう霞みこめたるに、世にありとある人は皆、姿、かたち、心異につくろひ、君をも我をも祝ひなどしたる、様異に、をかし。

「空のけしきもうらうらと」というのは、お正月らしいほのぼのした表現ですね。

この短い一文に、現代のお正月と変わらない祝祭の気配を感じることができます。

そんな『枕草子』は『The Pillow Book』というタイトルで英訳もされています。

さきほどの件は、いったいどのように英訳されているのでしょう?

On the first day of the year, the sky is gloriously fresh and spring mists hang in the air. It’s quite special and delightful the way people everywhere have taken particular care over their clothing and makeup, and go about exchanging New Year felicitations.

*felicitation(祝辞、乾杯)

『The Pillow Book』translated by Meredith McKinney

「空のけしきもうらうらと」の部分は、英訳では ‘the sky is gloriously fresh’ となっています。

ここだけを見ると、ちょっとニュアンスが違うかな?と思うところもありますが、文全体を読むと、お正月の華やいだ空気がきちんと伝わっているような気もします。

考えてみると、1,000年の時を超えて、言葉の壁を越えて、一人の女性の気持ちに共感できるというのは驚くべきことではないでしょうか。

そんな不思議な力を持つ「言葉」に関するちょっとした話題を、今年もこのブログでは取り上げていきたいと思いますので、お付き合いいただければ幸いです。

それでは、2015年がみなさまにとって素晴らしい年になりますように。

 

The Pillow Book (Penguin Classics)
Penguin (2006-11-30)