鯨構文の世界

photo credit: nob baleiando via photopin (license)

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一昔前(?)の受験英語の定番にいわゆる「鯨構文」というものがあります。

A whale is no more a fish than a horse is (a fish).

(鯨が魚でないのは馬が魚でないのと同じことである。)

「ロイヤル英文法」

A is no more B than C is D(AがBでないのはCがDでないのと同じ) という構文の例として、上記の例があまりにも有名になったため、構文自体が鯨構文と呼ばれるようになったんですね。

ただし A is no more B than C is D の用例を様々な辞書から拾ってみると、鯨以外にもさまざまなバリエーションがあって面白いのでいくつか紹介してみたいと思います。

A bat is no more a bird than a mouse (is).

(こうもりが鳥でないのはねずみが鳥でないのと同じである。)

「ジーニアス英和大辞典」

馬が魚でないというのも唐突ですが、ねずみが鳥でないというのも負けずに唐突ですね!

A watermelon is no more a fruit than a tomato is.

(トマトと同じく、スイカも果物ではありません。)

「英辞郎」

「なぜスイカは果物じゃないの?」と子どもに聞かれて、「トマトが果物じゃないのと同じことさ」と答えたら納得してくれるでしょうか?

I can no more play the piano than speak Latin.

(ラテン語が話せないのと同じで私にピアノなど弾けない。)

「ウィズダム英和辞典 第3版」

この世界には、ラテン語を話せる人よりピアノを弾ける人の方が多いんでしょうね。おそらく。。。

A home without love is no more a home than a body without a soul is a man.

(愛のない家庭が家庭でないのは、魂のない体が人間でないのと同じである。)

「ロイヤル英文法」

急に深遠な世界になりました。愛のない家庭は、魂のない体のようなものであると。

He is no more a god than we are.

(彼は我々も同様神ではない。)

「熟語本位英和中辞典」

最後に80年前の辞書「熟語本位英和中辞典」より。

最初はどういう意味?と思ったのですが、よく考えてみるとこれは励ましの言葉なんですね。

英語がペラペラの人に出会って「自分はまだまだだなあ」と思ったときにはこの文を思い出すようにしましょう。

以上、いわゆる鯨構文のさまざまなバリエーションを紹介してみました。

この構文の面白いところは、後半にどんなあり得ない例を入れても成り立つということ。

「馬は魚でない」のように唐突であればあるほど説得力が生まれる珍しい例だと言えるでしょう。

 
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