布団をひいたり、油をしいたり

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【旅館にて】それではお布団をひきますねー。
【料理番組にて】まずフライパンに油をしきます。
【料理番組にて】まずフライパンに油をしきます。
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布団はひく? それともしく?
油はしく? それともひく?
似ているようで微妙に意味の異なるこの二つの動詞。
それぞれ正しいのはどちらでしょう?
しく【敷く】
下の物をおおって保護する(下の物に直接触れないようにする)ために、広がりのある物を置く。
「新明解国語辞典 第七版」
ひく【引く】
伸ばして一面に塗る。
「新明解国語辞典 第七版」
布団というのは、人の体と床が直接触れ合わないようにするために広げるものなので「しく」、油というのは、フライパンなどに塗るものなので「ひく」が正解ということになります。
布団 | ○ しく | × ひく |
---|---|---|
油 | × しく | ○ ひく |
と、理屈で考えれば「布団をひく」「油をしく」は間違いだとわかるのですが、何度か声に出してみるとそれも正しいように聴こえてくるから不思議なもの。
言葉というのは結局慣用なので、いつの日か「布団をひく」「油をしく」も市民権を得るのかもしれません。
あるいは、ベッドと特殊加工のフライパンがますます広まって「布団をしく」ことも「油をひく」こともすっかりなくなってしまうのかもしれません。
人の未来と同じく、言葉の未来も予想するのは難しいですね。
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カテゴリ: 辞書/辞典/その他, 教育
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