フィンランド語学習記 vol.283 − 様格の使い方
前回のフィンランド語教室では「様格」の使い方を習いました。
この様格は以前にも少しだけ出てきたことがあります。
そのときに扱ったのは、次のような曜日の定型表現でした。
Menen suomen kielen kurssille keskiviikkona.(私は水曜日にフィンランド語のクラスに行く。)
[主格]keskiviikko(水曜日)
[様格]keskiviikkona(水曜日に)
しかしこれだけでは、そもそも様格がなぜ様格という名前なのかよくわかりません。
[様格]keskiviikkona(水曜日に)
今回の授業では、もう少し踏み込んだ表現を習いました。
様格[-nA]はそもそも「〜として、〜の状態で」という意味を表します。
Olen Suomessa turistina.(私は観光客としてフィンランドにいる。)
*turisti(観光客)
*turisti(観光客)
turistina は「観光客」を意味する名詞 turisti の様格の形。
[主格]turisti(観光客)
[様格]turistina(観光客として)
もう一例、見てみましょう。
[様格]turistina(観光客として)
Liisa juo kahvin mustana.(リーサはコーヒーをブラックで飲む。)
*musta(黒い)
*musta(黒い)
mustana は「黒い」を意味する形容詞 musta の様格の形。
[主格]musta(黒い)
[様格]mustana(黒い状態で)
[様格]mustana(黒い状態で)
つまりリーサはコーヒーを黒い状態で(=ブラックで)飲むという意味になります。
mustana の一語で「ブラックで」を表すこの感覚は日本語に似ているようにも思います。
ただ日本語に似ているからすらすらと言えるかというと、それはまた別問題。
このあたりは語学の一筋縄ではいかないところです。