at the eleventh hour(ぎりぎりのところで)

photo credit: Gavin Langille – Magic Winery Bus 2012 Wolfville-10 via photopin (license)
英語には数字を使ったイディオムがたくさんあります。例えばこんな表現。
at the eleventh hour
ぎりぎりのところで、土壇場[瀬戸際]で
『ウィズダム英和辞典 第3版』
なぜ11番目の時間が「ぎりぎり」という意味になるのでしょう?
これには諸説あるようですが、有力なのは新約聖書の「マタイによる福音書」に由来するというもの。
まず古代イスラエルでは、日の出から日の入りまでの時間を12分割していました。イメージとしてはこんな感じ。
at the eleventh hour というイディオムのもとになったと言われているのは「ぶどう園の労働者の寓話(Parable of the Workers in the Vineyard)」と呼ばれている一節。
曰く、ある家の主人が、自分のぶどう園で働いてくれる労働者を探していました。
彼は夜明け(1st hour)に出かけ、労働者と1日1デナリオンで契約し、農場へと送りました。
続いて朝(3rd hour)に出かけてみると、広場にぼーっと立っている人がいたので、彼らとも1日1デナリオンで契約し、農場へと送りました。
さらに 6th hour、9th hour にも同じことをして、最後に夕方(11th hour)に出かけてみると、またまた広場にぼーっと立っている人がいたので「なぜ、何もしないで立っているのか?」と聞いてみると「誰も雇ってくれないから」との返事。
そこで彼は、彼らとも1日1デナリオンで契約し、農場へと送りました。
一日の終わり、早くから働いていた労働者たちは不満を漏らします。
「なぜ1時間しか働いていない人が、自分たちと同額をもらうことができるのか?」と。
主人が答えて言うには「友よ、私は悪いことはしていない。1日1デナリオンの約束をしたのだから、それを受け取って帰りなさい。」
このたとえ話からイエスは「神の国に入るのに遅すぎるということはない」というメッセージを伝えているのだそう。
自分自身はクリスチャンではありませんが、この話には何とも言えない余韻があって、最初に知ったときから深く心に残っています。
読んだ人の数だけ解釈が生まれそうな、そんな寓話ではないでしょうか。