英語の再帰代名詞のうち himself だけが「目的格+self」になっている理由とは?
英語のいわゆる再帰代名詞[-self]を並べてみると、
- myself
- yourself
- himself
- herself
himself だけが「目的格+self」の形になっています。
主格 | 所有格 | 目的格 | 独立所有格 |
---|---|---|---|
I | my | me | mine |
you | your | you | yours |
he | his | him | his |
she | her | her | hers |
これはなぜなのでしょう?
この疑問を解明するため英語史を紐解いてみると、もともとは himself のような「目的格+self」の方が標準だったということがわかります。
中英語(Middle English)の時代には、一人称も meself のように「目的格+self」の形でした。
そこから現在のような所有格が発生した理由としては、
1)me の発音がいつのまにか my に変化した。
2)[-self]が一種の名詞と解され、「所有格+self」の形ができた。
などの説があるようです。
2)[-self]が一種の名詞と解され、「所有格+self」の形ができた。
her の所有格と目的格が同じ形であるということも、この問題を紛らわしくした一因なのかもしれません。歴史的に見れば、herself は「所有格+self」ではなく「目的格+self」と考えるべきなのでしょう。
なお複数の場合は、
- ourselves
- yourselves
- themselves
となり、単数と同じく三人称のみが「目的格+self」となっています。つまり単数・複数の間の整合性はあるものの、人称間の矛盾は単数も複数も同じように存在しているということ。
以上、ちょっと不思議な英語の再帰代名詞のお話でした。