春は花 夏ほととぎす

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1968年に川端康成がノーベル文学賞を受賞したときの記念講演は道元禅師の有名な歌の引用から始まります。

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて冷しかりけり

Nobel Lecture by Yasunari Kawabata (short excerpt in Japanese) – Media Player at Nobelprize.org

もしこの歌を英語に訳すとしたら、どのような出だしになるでしょう?

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冒頭の「春は花」からして、いったいどのように英訳したらよいのか思い浮かびません。

川端康成の「雪国」を始め、数々の日本文学を英訳したことで知られるエドワード・G・サイデンステッカーはこの歌を次のように訳しました。

In the spring, cherry blossoms; in the summer, the cuckoo.
In the autumn, the moon; in the winter, snow, clear, cold.

代案もないのにこんなことを言うのは恐縮ですが、苦心して何とか英語に置き換えたという感じがひしひしと伝わってきます。

俳句や短歌に見られるように日本語というのは簡潔な表現で余韻を持たせるのが得意。

この感覚を翻訳で再現するのはなかなか難しいのかなと思います。

もしかしたらこういった世界に魅せられて日本語を始める人も多いのかもしれません。