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休日に夢中になって読めるアメリカの現代小説7冊

年を重ねるごとに、純粋に読書に夢中になるという経験は少なくなっているような気がします。

時間がたっぷりあった学生時代と比べて、社会人になると、まる一日を読書に当てたりはできなくなりますし、選ぶ本も実用書やビジネス書のようなものに偏りがち。

しかしたまの休みには学生時代のように目の前の一冊に没頭する一日があってもいいですよね。

そんな訳で、今回は休日に夢中になって読める!アメリカの現代小説をいくつか紹介してみたいと思います。

英語を本格的に勉強している人なら、原書に挑戦してみるというのもありでしょう。

以下、刊行された年代順に紹介していきます。

 

『フラニーとズーイ』(J・D・サリンジャー)[1961]

サリンジャーは『ナイン・ストーリーズ』や『キャッチャー・イン・ザ・ライ』も好きですが、一番愛着があるのはこの作品。

フラニーとズーイという二人の主人公がとても魅力的で、共感度が高いです。

いわゆる「自意識」の問題とそこから広がる世界をユーモアで包み込んだ傑作だと思います。

フラニーとズーイ (新潮文庫)
サリンジャー
新潮社 (2014-02-28)
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『カウガール・ブルース』(トム・ロビンズ)[1976]

主人公のヒロインは全米最強のヒッチハイカーという設定。ちょっと風変わりな小説ですが、旅と人生にまつわる豊かな思索がたくさん詰まっています。

1993年にガス・ヴァン・サントが監督した映画作品の方で知っている人もいるかもしれません。個人的にはもっとも影響を受けた本の一つです。

*Amazon では古本も含めて翻訳書の扱いがないようです。手元には一冊あるのですが。。。残念!

Even Cowgirls Get the Blues
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Bantam (2003-06-17)

 

『カメレオンのための音楽』(トルーマン・カポーティ)[1980]

フィクションとノンフィクションの両方を収めたカポーティ晩年の短編集。

カポーティとマリリン・モンローが埠頭を歩きながら、お互いを語り合う「A Beautiful Child」という作品が印象に残っています。

当時、翻訳が絶版になっていて、原書でひーひー言いながら読んだのも今となってはいい思い出です。

カメレオンのための音楽 (ハヤカワepi文庫)
トルーマン カポーティ
早川書房
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『ホテル・ニューハンプシャー』(ジョン・アーヴィング)[1981]

アーヴィングの作品は『ガープの世界』→『ホテル・ニューハンプシャー』→「その他の作品」と原書で読みました。

彼の作品から伝わってくるのは、どんな人生も悲劇であり、同時に喜劇でもあるというメッセージ。

どの作品もプロットが面白く「次はどうなるんだろう?」と気になってぐいぐい読んでしまうので、原書を一冊読み通したい!と思っている人にはおすすめの作家です。

ホテル・ニューハンプシャー〈上〉 (新潮文庫)
ジョン・アーヴィング
新潮社
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新潮社
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『愛について語るときに我々の語ること』(レイモンド・カーヴァー)[1981]

短編小説の名手であるカーヴァーの作品は、文体がシンプルなので原書で読むのもおすすめ。

ただし書いてあることの何倍もの世界が行間に広がっているような、奥行きのある小説だと思います。

一日一編読み進めて、その裏側にあるものに思いを馳せるというような贅沢な時間をまた持ちたいものです。

愛について語るときに我々の語ること (村上春樹翻訳ライブラリー)
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中央公論新社
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『パルプ』(チャールズ・ブコウスキー)[1994]

思い返してみると、学生の頃はブコウスキーブームで、多くの作品が翻訳出版されていました。

まずぱっと思い浮かぶのは『町でいちばんの美女』『ありきたりな狂気の物語』の二冊の短編集。

それから遺作となった探偵小説の『パルプ』もお気に入り。探偵小説なのに宇宙人が出てくるなど、何でもありのぶっとんだ世界です。

パルプ (新潮文庫)
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チャールズ ブコウスキー
新潮社
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『世界のすべての七月』(ティム・オブライエン)[2002]

大学卒業以来、30年ぶりの同窓会に集まった50代の人々が主人公の青春小説。

年を重ねてみると、子どもの頃に思い描いた「大人」の像とは全く違う自分になっていることに愕然とすることはありませんか?

それでもなんとか生きていく、、、そんな惑える大人たちを愛情深く描いた素敵な小説です。

世界のすべての七月 (文春文庫)
ティム オブライエン
文藝春秋
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まとめ

以上、今回はアメリカの現代小説を7冊紹介してみました。

  • 【中編】『フラニーとズーイ』(J・D・サリンジャー)[1961]
  • 【長編】『カウガール・ブルース』(トム・ロビンズ)[1976]
  • 【短編】『カメレオンのための音楽』(トルーマン・カポーティ)[1980]
  • 【長編】『ホテル・ニューハンプシャー』(ジョン・アーヴィング)[1981]
  • 【短編】『愛について語るときに我々の語ること』(レイモンド・カーヴァー)[1981]
  • 【長編】『パルプ』(チャールズ・ブコウスキー)[1994]
  • 【長編】『世界のすべての七月』(ティム・オブライエン)[2002]

こうして並べてみると、自分は「アメリカの現代小説」というジャンルに多大な影響を受けているなということに改めて気付かされます。

今年はもっと新しい作品も開拓してみたいと思います。

『世界 ポエマ・ナイヴネ』

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2015年最後の一冊としてポーランドの詩人チェスワフ・ミウォシュ(Czesław Miłosz)の『世界 ポエマ・ナイヴネ』という詩集を読みました。

原題は『Świat − poema naiwne』となっています。

世界 ポエマ・ナイヴネ

たまたま書店で手に取った一冊だったので、まずはこの詩人についての予備知識はなにもない状態で読み始めました。

春の情景と学校帰りの子どもたちを描いた「道」から、世界の根源に触れる「太陽」まで、20編の美しい世界が広がっています。

愛は 見知らぬものごとを見るように

自分自身を見つめること なぜなら

自身もまた数あるものごとのうちの一つにすぎないのだから

「愛」より

巻末には、解説や訳者あとがきという形でミウォシュという詩人についての説明が付されています。

それによるとこの詩集は1943年、ミウォシュが31歳のときにナチス占領下のポーランド・ワルシャワで書かれたのだとか。

そのように聞くと当時の世相を反映したレジスタンス的な内容を想像してしまいますが、ここで展開されている世界は思いのほか明るいもの。

一読しただけでは、戦争という背景に思いが及ぶことはないかもしれません。

しかし二回目・三回目と読んでみると、詩人が「世界」へ向けた祈りのようなものを各編の隅々から感じることができます。

一年のしめくくりにふさわしい素敵な一冊でした。

それではみなさん良いお年をお迎えください。

 

世界 ポエマ・ナイヴネ
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チェスワフ・ミウォシュ
港の人 (2015-09-07)
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『きょうの花活け』

photo credit: Forget me not via photopin (license)

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もともと花というものとは全く無縁の生活を過ごしていて、チューリップやバラのような誰でも知っている花以外は名前も知らないくらいでした。

ただここ数年、花屋さんがあるとふらっと立ち寄ったり、お寺などで季節の花を楽しんだり、花を見る楽しみというものが少しずつわかってきたような気がします。

特に今年の春、鎌倉に引っ越してきてからは、その傾向が顕著になって、花を意識しながら過ごす時間がさらに増えてきました。

そして先日、鎌倉駅西口のたらば書房という本屋さんに行ったときに、この『きょうの花活け』という本が目立つ棚に平積みになっていて、手に取ってパラパラとめくっていたらじっくりと読みたくなり購入してしまいました。

きょうの花活け: 花あしらい101の見本帖。花と鎌倉とウーロンと。

考えてみると、花の本なんて買ったのは人生で初めてのことかもしれません。

本書『きょうの花活け』は鎌倉在住のフラワーアーティスト CHAJIN さんによる花活けの写真集。

もちろんフラワーアレンジメントの類には全く詳しくないのですが、写真を眺めているだけで何だか癒される気がします。

またフラワーアレンジメントというと、たくさんの花をバランス良く組み合わせて。。。とかなり難しい印象があったのですが、本書に出てくる花活けはとてもシンプル。

最初の章などは「1種類で活ける」となっていて、冒頭には赤い椿の花をたった一本、赤い器に活けた写真がのっています。

そのたたずまいがとても美しく、そうかこんなシンプルでもいいんだ、と新しい価値観に出会ったような気がしました。

また個人的には青い花が好きなので、繰り返し登場するアジサイやワスレナグサあたりの写真を見ながらほっこりとしています。

花好きな人、あるいはこれから花好きになる人も、きっとお気に入りの花活けに出会うことができる素敵な一冊だと思います。

 

きょうの花活け: 花あしらい101の見本帖。花と鎌倉とウーロンと。
CHAJIN
誠文堂新光社
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『はじめてのマインドフルネス − 26枚の名画に学ぶ幸せに生きる方法』

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『はじめてのマインドフルネス − 26枚の名画に学ぶ幸せに生きる方法』という本を読みました。

はじめてのマインドフルネス ――26枚の名画に学ぶ幸せに生きる方法

著者はクリストフ ・アンドレというフランスの精神科医の方。

本の帯には「ストレスに強い心をつくる」「人生に息切れしないために」という文言が並んでいます。

先日、銀座のブックファーストに行った際に、たまたま面陳されていた本書の表紙の雰囲気に惹かれて購入。とても素晴らしい本だったので、紹介したいと思います。

それにしても、最近本屋さんに行くとマインドフルネスに関する本をたくさん見かけるようになりました。

マインドフルネスというのは、一言で言えば、過去や未来ではなく「今」に注意と意識を向けることによって、心の安定を目指すためのトレーニング。

もともとは仏教の瞑想に由来するそうなので、日本人にとって馴染みのある考え方も多く取り入れられています。

例えば、私たちの心というのは、普段休むことなく「思考」を生み出しています。

「何も考えないようにしよう」と決めて静かに座っていたとしても、ついやり残した仕事のこと、友人に言われた一言、将来の不安など、さまざまな想念が心に浮かんでは消えていきます。

心のおしゃべりはとりとめがない。だが、自分の呼吸を感じ、鼓動を感じているうちに、それもゆっくりと静まってくる。時折、心はまたおしゃべりをする。でも、彼はそのおしゃべりを、落ち葉を見ているように、ただ眺める。ちょっと距離をとって観察する。

P.68 第5章「思考を観察する」より

マインドフルネスの一つの方法に、このように思考をただ静かに観察するというものがあります。

ただ実践してみるとわかりますが、これが案外難しい。最初は客観的に思考を眺めているつもりでも、いつのまにか思考の渦に捉われていることがよくあります。

また本書の最大の特徴はこのマインドフルネスの解説を26枚の絵画を使って行うということ。

古今の名画の中から、人の様々な思考様式や在り方を読み取り、それをマインドフルネスの実践に結びつけていくのです。

このアプローチがとても新鮮で、一章一章味わうように読み進めることができました。

これからマインドフルネスを始めてみようという人にも、すでに実践しているという人にも、おすすめできる一冊だと思います。

 

はじめてのマインドフルネス ――26枚の名画に学ぶ幸せに生きる方法
クリストフ アンドレ
紀伊國屋書店
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俳句の本を読んでみる

15112101

この頃、折に触れて読んでいるのが俳句の本。

俳句なんて中学や高校の国語の教科書にのっているものに接して以来、とんとご無沙汰だったのですが、久しぶりに接してみるととても新鮮。

これは自分には絶対に真似できない!と思えるような世界の切り取り方を、五七五のたった十七文字の中に垣間見ることができる、とても素敵な世界です。

今回はそんな俳句の本を三冊紹介してみたいと思います。

 

君に目があり見開かれ

柚子の花君に目があり見開かれ  佐藤文香

柚子の花ってどんな花なのか、考えてみるとわからないのですが、柚子の花を見ている「君」を見ている人の心の内はありありと伝わってくるような。

先月のかまくらブックフェスタでこの佐藤文香さんの句集を買ったのが、俳句の世界に引き込まれて行くきっかけになりました。とても素敵な一冊です。

 

漱石俳句集 (岩波文庫)

仏性は白き桔梗にこそあらめ  夏目漱石

写真で見る白い桔梗の花には、何とも言えない品があって、その中に仏の姿を見たという漱石の心持ちが伝わってくるようです。

漱石が参禅していた北鎌倉の円覚寺、帰源院にこの句の句碑があります。

 

十七音の海 俳句という詩にめぐり逢う

葉ざくらの中の無数の空さわぐ  篠原梵

最後にこんな風に空を見上げたのはいったいいつのことだっただろう、と思わず考えてしまいました。たしかにそこにはたくさんの空があって、その向こうはどこまでも広がっているのでしょう。

本書は俳人の堀本裕樹さんによる俳句の鑑賞本。古今のさまざまな句に堀本さんの丁寧な解説が添えられていて、俳句に興味をもったときの最初の一冊によいかもしれません。

 

以上、最近読んだ俳句の本を三冊紹介してみました。

これまであまり触れてこなかった世界ですが、これから少しずつ開拓してみようと思います!

 

君に目があり見開かれ
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佐藤文香
港の人
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漱石俳句集 (岩波文庫)
漱石俳句集 (岩波文庫)

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夏目 漱石
岩波書店
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十七音の海 俳句という詩にめぐり逢う
堀本裕樹
カンゼン
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椎名誠著『アイスランド 絶景と幸福の国へ』

photo credit: Skógafoss via photopin (license)

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椎名誠さんの『アイスランド 絶景と幸福の国へ』という本を読みました。

アイスランド 絶景と幸福の国へ

椎名さんの本は、昔から家の書棚の一角にコーナーができるくらい読んでいるので、「アイスランド」などというタイトルの本が出ていればついつい手に取ってしまいます。

本書は椎名さんによる3週間のアイスランド旅行記。日経ナショナル ジオグラフィック社から出ているということもあり、写真にも大変力が入っています。

アイスランドは北大西洋の北極圏近くに位置する人口わずか30万人の小国。同じ北欧でも、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマークなどと比べると、少しマイナーなイメージがあるかもしれません。

ただ近年は観光にも力を入れており、日本からの観光客もかなり増えているのだとか。

また音楽好きの人にとっては、ビョーク(Björk)、シガー・ロス(Sigur Rós)、ムーム(múm)といったミュージシャンを生み出した国としても知られているかもしれません。

そんなアイスランドに関する本を読みながら、脳裏に浮かんで来た一つの問いがあります。それは、

なぜ自分は北欧に惹き付けられるのだろう?

ということ。

その答えを探して自分の中を深堀していくと、根っこのところに「シンプルに暮らしたい」という思いがあって、そのためのヒントを探しているからなのかもしれないという結論のようなものに至りました。

実際、本書に描かれているアイスランドの田舎の風景や人々の暮らしはとても魅力的で、一度は訪れてみたいと思わせるものでした。

また本書の一つのテーマとして、OECD(経済協力開発機構)の幸福度ランキングで世界第9位に入ったというアイスランドの人々の幸福度をめぐる考察があります。

もちろんアイスランドの人々が、(例えば日本の人々と比べて)幸福なのかどうか、それは結論の出る問題ではないでしょう。

ただ本書に出てくる人々の生活を通して、自分の身の回りを振り返って本当に必要なものは何かということについて、少し思いを巡らせることができました。

北欧やアイスランドというキーワードだけではなく、シンプルライフやミニマリズムに興味のある人にもおすすめの一冊です。

 

アイスランド 絶景と幸福の国へ
椎名 誠
日経ナショナルジオグラフィック社
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