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自転車を運転する

フィンランド語教室のテキスト「suomen mestari 1」にこんな文が出てきました。

Hän ajaa kouluun pyörällä.(彼女は自転車で学校へ行く。)
フィン
ajaa drive 運転する
koulu school 学校
pyörä
(polkupyörä)
bicycle 自転車

 

ajaa は「運転する」を意味する動詞。

ただ「自転車を運転する」という日本語には何となく違和感があり、先ほどの例文では「自転車で行く」と訳しました。

英語でも一般的には、

ride a bicycle
drive a car

のように自転車と車で動詞を使い分けます。

しかしフィンランド語では車の運転に使われる ajaa という動詞を自転車にも使うことができるんですね。

一方、日本語の「乗る」という動詞は自転車と車の両方に使えますが、「運転する」という動詞は車にのみ使うのが普通。

◯ 自転車に乗る ◯ 車に乗る
△ 自転車を運転する ◯ 車を運転する

 

ただ「自転車を運転する」という表現には違和感を覚えるものの、間違いとまでは言い切れないような気がします。

念のため、辞書も確認してみましょう。

うんてん[運転]

一(名・他サ)

①乗り物・機械などを動かすこと。

「列車のー士・バスのー手」

②(おかねを)回すこと。運用。

「ー資金」

「三省堂国語辞典 第七版」

三国によると、運転とは乗り物・機械などを動かすこと。

自転車はもちろん乗り物なのでこの定義からは外れていません。

実際の用例はどうなのかなと思い、インターネットで「自転車、運転」というキーワードで検索をしてみると「自転車運転者講習制度」についてのページが複数見つかりました。

自転車運転者講習制度 警視庁

少なくともここでは自転車と運転という単語が普通に結びついています。

ということはやはり「自転車を運転する」という表現は一般的なのか、それとも道路交通法で便宜的に使われているだけなのか。

どうも確信が持てないというのが正直なところ。みなさんはどのように感じますか?

幽霊の日

今日7月26日は幽霊の日。

なぜ幽霊?と思って調べてみると、今から200年近く前の1825年7月26日に歌舞伎の『東海道四谷怪談』が初演されたことから、7月26日が幽霊の日ということになったようです。

ゆうれい[幽霊](名)

①〔文〕死んだ人のたましい。亡霊。

②死んだ人間などの霊が生前の姿になってあらわれるというもの。

③実際はないのに、あるように見せかけたもの。

「三省堂国語辞典 第七版」

幽霊という言葉から連想するのは、頭に白い三角頭巾をした日本風の幽霊の姿。

おそらく日本には日本の、他の国には他の国なりの典型的な幽霊のイメージというものがあるのでしょう。

今回は『13か国語でわかる 新・ネーミング辞典』で他言語の「幽霊」を意味する単語を調べてみました。

ゴースト ghost
ファントーム fantôme
ゲシュペンスト Gespenst
ファンタズマ fantasma
西 ファンタスマ fantasma
ファンターズマ fantasma
ヘーストゥ geest
レムレース lemures
プネヴマ πνευμα
プリヴィヂェーニイ привидение
ヨウリン 幽灵
ユリョン 유령
ハヤール خيال

 

英語の ghost には「幽霊」以外に「幻影、面影」などの意味もあります。

ghost

  1. 幽霊、亡霊;幽霊のような(やつれきった)人
  2. (単数形で)〈…の〉幻影,影[幻]のようなもの,面影,かすかなもの[気配];微量、わずか〈of〉
  3. 代作者,ゴーストライター(ghostwriter)
  4. 〖放送〗ゴースト⦅テレビの二重画像のはっきりとしない方の像⦆
  5. (米)幽霊人口[社員];架空の会社
  6. (古)魂;霊

「オーレックス英和辞典 第2版」

おそらくは ghost 以外の単語もこのように様々な意味のある言葉なのでしょう。

上記の単語のうち、フランス語の fantôme は宇多田ヒカルさんのアルバムのタイトルになっていますし、イタリア語・スペイン語・ポルトガル語の fantasma は(ちょいと昔の話ですが)コーネリアスのアルバムのタイトルになっています。

そういう意味では何となくどこかで見たことがあるような単語が並んでいるような気もします。

猛暑が続くこの頃、少しでも涼しくなるのなら幽霊でも何でも出て来てもらいたいですね。

 
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熱について

うだるように暑い日が続いています。

あまりに暑く、体がだるいと、もしかして熱があるのかな?と思うことがあります。

ねつ[熱](名)

①熱さを感じさせるもの。

②病気などのための、ふつうより高い体温。

③熱心さ。

④熱中(した状態)。

「三省堂国語辞典 第七版」

ただ大抵はエアコンの効いた部屋に入るとおさまるので、体調には問題なかったことがわかります。

②の熱かと思ったら、①の熱だったという訳ですね。

あまりに暑いと、こんな風に自分の中の熱と周囲の熱が区別できなくなることってないでしょうか?

ちなみに英語ではこの①と②の熱を異なる単語で表します。

heat

  1. [uncountable, singular] the quality of being hot
  2. [uncountable, countable, usually singular] the level of temperature
  3. [uncountable] hot weather; the hot conditions in a building/​vehicle, etc.

「Oxford Advanced Learner’s Dictionary」

fever

[countable, uncountable] a medical condition in which a person has a temperature that is higher than normal

「Oxford Advanced Learner’s Dictionary」

人間は言葉によって世界をそして自分自身を認識するのだとすれば、英語のネイティブスピーカーは、うだるような暑さの中でも、自分の中の熱(fever)と周囲の熱(heat)を明確に区別できるのでしょうか?

それとも単に「うだるー」と感じているだけなのか。

そんなことがふと気になりました。

 
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一二三輪車

英語で「自転車」は bicycle。

では「一輪車、三輪車」はいったい何というのでしょう?

調べてみると、次のような単語が見つかりました。

unicycle

(also monocycle)

a vehicle that is similar to a bicycle but that has only one wheel

「Oxford Advanced Learner’s Dictionary」

tricycle

(informal trike)

a vehicle similar to a bicycle, but with one wheel at the front and two at the back

「Oxford Advanced Learner’s Dictionary」

「一輪車」は unicycle、「三輪車」は tricycle。

unicycle, bicycle, tricycle と並べてみると、 bicycle の[bi-]は「二つ」を意味する接頭辞の[bi-]であるということがよくわかります。

unicycle 一輪車
bicycle 自転車(二輪車)
tricycle 三輪車

 

ただ日本語では bicycle のことを「二輪車」ではなく「自転車」と呼ぶのが慣例。

じてんしゃ[自転車](名)

乗った人がペダルをふんで車輪を回しながら走るしかけの二輪車。じでんしゃ〔話〕。

「三省堂国語辞典 第七版」

もちろん「二輪車」という日本語もありますが、どちらかというと自動二輪の意味で使われることが多いような気がします。

にりんしゃ[二輪車](名)

①自転車。

②オートバイ。スクーター。単車。〔自動二輪車とも言う〕(↔三輪車・四輪車)

「三省堂国語辞典 第七版」

日本語を外国語として学んでいる人にとっては、この使い分けはかなりトリッキーなのではないかと想像します。

「一輪車、二輪車、三輪車」とシンプルに覚えられたら楽なんですけどね。

 
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世界に降る雨

18062501

以前のエントリーで各国語の6月を紹介したことがあります。

世界のさまざまな6月

ヨーロッパの言語の6月はどれも英語の June によく似ているというのがそのときの印象。

そうではなくて、言語ごとに全く違う音になるような単語はないのだろうか?と思って、『13か国語でわかるネーミング辞典』をめくっていたら目に付いたのがこの言葉でした。

レイン rain
プリュイ pluie
レーゲン Regen
ピョッジャ pioggia
西 ジュビア lluvia
シューヴァ chuva
マイ mei
レーヘン regen
ヒューエトス υετος
ドーシチ дождь
ユィ
マタル مطر

 

ドイツ語とラテン語、スペイン語とポルトガル語は似ているものの、それぞれの単語が比較的オリジナルな音を持っています。

高名な言語学者が言ったとおり、言語の音と意味の結びつきというのは恣意的なもの。

空から降ってくる水滴は、あめ(雨)であっても、レイン(rain)であっても、ドンガラガッシャンであっても特に問題はありません。

それでもこうして並べてみると、例えばオランダ語のマイ(mei)とギリシア語のヒューエトス(υετος)が同じ意味を持っているというのは不思議な感じ。

何となくマイは生ぬるいような、ヒューエトスは冷たいような。そんな勝手なイメージを抱いてしまいます。

日本語の「雨」は外国の人にはどんな風に聞こえるのでしょうか?

 

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ブラジルとブラジリア

18062201

南米一の大国ブラジル。そしてその首都ブラジリア。

今日はこのブラジルとブラジリアが、世界のいくつかの言語で微妙に綴りを変えていく様子を楽しんでみたいと思います。 (マニアックですみません。)

 

ポルトガル語の場合

ブラジル ブラジリア
Brasil Brasília

 

「ブラジル」は Brasil、「ブラジリア」は Brasília。

Brasília の[í]に付いているナナメの点はアクセント記号の一種です。

 

英語の場合

ブラジル ブラジリア
Brasil Brasília
Brazil Brasília

 

「ブラジル」は Brazil、「ブラジリア」は Brasília。

Brazil は[z]になるのに Brasilia は[s]のままなのはなぜでしょう?

 

フィンランド語の場合

ブラジル ブラジリア
Brazil Brasília
Brasil Brasília
フィン Brasilia Brasília

 

「ブラジル」は Brasilia、「ブラジリア」は Brasília。

書いていて混乱してしまいますが、アクセント記号のあるなしによって両者を区別できます。

 

アイスランド語の場合

ブラジル ブラジリア
Brazil Brasília
Brasil Brasília
フィン Brasilia Brasília
アイス Brasilía Brasilía

 

「ブラジル」は Brasilía、「ブラジリア」は Brasilía。

ここに至って両者とも同じになってしまいました。そしてよく見ると点の位置が後ろにずれています。

以上、今回は英語・ポルトガル語・フィンランド語・アイスランド語におけるブラジルとブラジリアの綴りの違いを検証してみました。

各国語における微妙な違いを楽しんでいただけたでしょうか?

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