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英語

死をめぐる表現 − Euphemisms for Death

フランスの美術家マルセル・デュシャンの墓碑銘には「死ぬのはいつも他人ばかり」と刻まれているそうです。

今を生きている人間にとって、死というのは基本的に他人事であり、自分自身の死について思いを馳せる機会は滅多にありません。

別の言い方をすれば死というのは一つのタブーであり、私たちの日常からは徹底的に隠蔽されています。

そのことは、逆に死についての言語表現を豊かにしてきました。

英語で「死ぬ」という動詞は die ですが、それ以外に pass away などの婉曲表現(euphemism)もよく用いられます。

また Concise Oxford Thesaurus で die の類義語を調べてみると、以下のような長いリストが掲載されていました。

  • pass on
  • lose one’s life
  • expire
  • breathe one’s last
  • meet one’s end
  • meet one’s death
  • lay down one’s life
  • perish
  • go the way of all fresh
  • go to one’s last resting place
  • go to meet one’s maker
  • cross the great divide
  • give up the ghost
  • kick the bucket
  • croak
  • buy it
  • turn up one’s toes
  • cash in one’s chips
  • shuffle off this mortal coil
  • snuff it
  • peg out
  • pop one’s clogs
  • bite the big one
  • buy the farm
  • decease
  • depart this life

フォーマルなものからインフォーマルなもの、直接的なものから婉曲的なもの、荘厳なものから不謹慎にも笑ってしまうものなど、様々なレンジの表現が並んでいます。

よく知られているところでは、kick the bucket でしょうか。

語源については、首つり自殺をする際にロープを首にかけ、足下のバケツを蹴りとばすところから来ているという説や、他にも諸説あるようです。

私のお気に入りは bite the big one で、無理に訳せば「でかいのを噛んじゃったよ!」みたいな感じでしょうか。これは北米のスラングですね。

同じく北米のスラングである buy the farm については、Wiktionary に語源がのっていました。

US slang, from the WWII era (first printed record in the US Air Force in the 1950’s). Similar expressions like buy the plot and buy the lot also existed, although buy the farm is the only one to have survived. Probably related to older British slang buy it, buy one or buy the packet, both seemingly ironic references to something that one does not want to buy. May come from the common reflection that once someone had finished his service he would go home and buy a farm to settle on.

第二次世界大戦の時代から使われている米国のスラング(最初の印刷記録は1950年代の米空軍記録)。buy the plot、buy the lot などの類似表現も存在したが、buy the farm がただ一つ生き残った表現である。おそらくイギリスの古いスラング buy it、buy one、buy the packet に関係しており、それらは「買いたくないもの(=死)」を買ったことへの皮肉な言及のようにも思える。また退役した軍人が、故郷へと帰り、そこで暮らすために農場を買ったという、ありふれた連想に由来しているのかもしれない。

Wiktionary「buy the farm」より <筆者一部意訳>

すなわち「戦死した」ことを、「退役した=故郷で農場を買った」という婉曲表現で伝えているのだと思います。こうして語源を見てみると、なかなか奥深いものがありますね。

たった一つの万国共通の現象について、これだけの表現を与える人間の想像力はすごいと改めて思います。

ニュージーランドで禁止された71の名前とは?

photo credit: Chris Gin via photopin cc

ニュージーランドで子どもの名前として申請されたものの、却下された名前のリストが米CNNのサイトで紹介されています。

New Zealand releases list of banned names – CNN.com

却下された名前は、2001年以降の12年間で71種類にもなるそうです。そのリストはご覧のとおり。

  • Justice
  • King
  • Princess
  • Prince
  • Royal
  • Duke
  • Major
  • Bishop
  • Majesty
  • J
  • Lucifer
  • using brackets around middle names
  • Knight
  • Lady
  • using back slash between names
  • Judge
  • Royale
  • Messiah
  • T
  • I
  • Queen
  • II
  • Sir
  • III
  • Jr
  • E
  • V
  • Justus
  • Master
  • Constable
  • Queen Victoria
  • Regal
  • Emperor
  • Christ
  • Juztice
  • 3rd
  • C J
  • G
  • Roman numerals III
  • General
  • Saint
  • Lord
  • . (full stop)
  • 89
  • Eminence
  • M
  • VI
  • Mafia No Fear
  • 2nd
  • Majesti
  • Rogue
  • 4real
  • * (star symbol)
  • 5th
  • S P
  • C
  • Sargent
  • Honour
  • D
  • Minister
  • MJ
  • Chief
  • Mr
  • V8
  • President
  • MC
  • Anal
  • A.J
  • Baron
  • L B
  • H-Q
  • Queen V

「Lucifer」はキリスト教における堕天使(悪魔)の名前です。以前、日本でも「悪魔くん」の命名騒動がありましたね。

「J, T, I, E, V, G, M, C, D」などアルファベット1文字の名前や「CJ, SP, MJ, MC, AJ」などイニシャル系の名前は却下されているようです。

「King, Princess, Prince, Royal, Majesty, Queen」など王室の称号も多いですね。どさくさに紛れて「Queen Victoria」などと名前が付いているものまであります。

その他、神、貴族の称号(Duke=公爵)、公職の名前(Justice=裁判官)など、どういったジャンルをNGとしているのか、このリストを見るとよくわかります。

「3rd, 2nd, 5th」などの序数は日本語の「太郎、次郎、三郎」と同じ感覚でしょうか。せめてアラビア数字ではなく、third のような文字表記にできなかったのかと思います。(それでも却下かもしれませんが。)

それから、ピリオド[.]やアステリスク[*]といった記号の名前もあります。こうなるともはや何と呼んだらよいのかわかりません。The Artist Formerly Known As Prince のように、せめて前名でもあればよいのですが。

以上、おもしろいトピックでありながら、笑うに笑えない名前の話でした。

世界は幸福へ向かっているか? − 幸福測定計『Hedonometer』

21世紀に突入し、人類全体の幸福度は上がっているのでしょうか? それとも下がっているのでしょうか?

米バーモント大学の研究チームが、そんな答えようのない質問に示唆を与えてくれる幸福測定計『Hedonometer』をウェブ上に公開しています。

Hedonometer

幸福度を測定する装置としての hedonometer という用語自体は19世紀に作られたとのこと。

現在公開されている21世紀の『Hedonometer』はツイッターのメッセージに含まれる単語を分析することで、幸福度を算出しています。

その算出方法が面白いので、以下に紹介してみます。

1)Google Books、New York Times、音楽の歌詞、ツイッターメッセージの4媒体をデータベースとして、それぞれ使用頻度の高い5,000語を抽出する。(5,000語×4媒体=20,000語)

2)重なる単語を除き、約10,000語の単語リストを作る。

3)Amazon の Mechanical Turk service(ウェブ上での内職システムのようなもの)を使い、参加者にそれぞれの単語の印象をもっとも悲しい(1)からもっとも幸福(9)まで9段階で評価してもらう。

4)採点者の平均点を取って、各単語の幸福度を決定。

5)世界のツイッターメッセージの10%程度をサンプリングし、1日ごとに上記の単語が含まれる割合を測定。

例えば、2013年5月11日に世界で発信されたツイートを分析し、悲しい単語が多く含まれていればその日は悲しい日、幸せな単語が多く含まれていればその日は幸せな日ということになります。

これを経年で見ていくと、幸福度の増減がわかるという具合。

現在、公開されているのは、2008年以降のデータで、こちらがそのスクリーンショット。ゆるやかに右肩下がりになっているのが、やや気になりますね。

3/11 や最近ではボストンでの爆破事件など、特筆すべき出来事があった日には幸福度がぐんと下がっています。

ところで実際に分析の対象になっている単語にはどのようなものがあるのでしょうか?

『Hedonometer』のウェブ上には単語の幸福度印象ランキングも掲載されていますので、順位が高いものと低いものをそれぞれ見てみましょう。

順位 単語
1 laughter
2 happiness
3 love
4 happy
5 laughed
6 laugh
7 laughing
8 excellent
9 laughs
10 joy
11 successful
12 win
13 rainbow
14 smile
15 won
16 pleasure
17 smiled
18 rainbows
19 winning
20 celebration
10216 cancer
10217 death
10218 murder
10219 terrorism
10220 rape
10221 suicide
10222 terrorist

 
上位は laugh の派生語が多いですね。笑う門には福来たるということでしょうか。一方、下位は。。。ノーコメントにしておきましょう。

幸福というのは、あくまで主観的なものだと思いますが、それだけにこうして客観的なデータを示されると説得力があるような気がします。

みなさんは右肩下がりのグラフをどう解釈されるでしょうか?

宮川幸久編著/山岸和夫・西世古柳平著『中学英語Q&A実用指導事典』

ゴールデンウィークに帰省した折、本棚を物色していると『中学英語Q&A実用指導事典』(教育出版)という本が出てきました。

その名の通り、中学生に英語を教える先生のためのQ&A集です。パラパラとめくっていたら、以前英語を教えていたときのことを思い出しました。

少し中身を紹介してみましょう。

英語はなぜつづりどおりに発音しないのか

Q 英語の勉強を始めて間もない中学1年生などは、haveを「ハベ」、someを「ソメ」などと発音してしまいます。英語ではなぜつづりと発音が一致しないのかを、わかりやすく説明するにはどうしたらよいでしょうか。

A つづりと発音のずれを説明するには英語の歴史をさかのぼるしかありません。そんな説明より、まず some, home, come などの基本語の発音をしっかり覚えさせることが大切です。

P.125

この突き放しっぷりが素晴らしいですね。しかし、これに続く解説では、きちんと英語史についての補足説明もありますので、ただ突き放している訳ではありません。

実際に英語を教えていると、クラスに1人くらいは言葉に非常に敏感な生徒がいて、鋭い質問を投げかけてくることがあります。

即答できないものは「次回の授業までに調べてくるね」と言って保留にする訳ですが、調べた結果妥当な答えが見つかっても、どこまで生徒に説明するかというのはなかなか難しい問題です。

本書はそういった先生の悩みに答えてくれる一冊と言えます。それからもう一つ気に入っているのが、こちらの質問と答え。

なぜ I だけが大文字か

Q 教室で生徒に「代名詞の中で、なぜ I だけがいつも大文字なんですか」と質問されました。いちおう、「小文字だとかっこう悪いからだ」と答えておきましたが、これでよいのでしょうか。

A そのとおりです。読みやすくするために、習慣上「私は」という代名詞の I はいつも大文字で書きます。

P.146

「かっこう悪いから」という理由は、何だかほほえましいですし、「そのとおりです」と言い切ってしまう著者のスタンスもまた素敵です。

なおこれに続く解説では、英語の一人称代名詞の歴史的変遷と大文字の I を使うようになった経緯についてもきちんと触れています。

この他に本書で扱っている質問の一部は下記のとおり。

  • 名詞の複数になぜ men などの例外があるのか
  • なぜ国や船などを she で受けるのか
  • 関係代名詞でなぜこんなに文を長くするのか
  • 最上級にはなぜ the が付くのか
  • must は過去形として用いられないか
  • 疑問文に do を使うのはなぜか
  • read の過去・過去分詞はなぜ[red]か
  • なぜ amn’t を使わないか

改めて聞かれてみると、なかなか答えが思い浮かばない質問が並んでいます。

初版が1986年とずいぶん古い本ではあるのですが、1テーマ1ページで非常に読みやすく、寝る前などにパラパラめくってみるのも面白い本だと思います。

 

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TEDTalks − テリー・ムーア 「X はなぜ未知数か?」

先日書いた「Xで始まる英単語」というエントリーに関連して、もう一つ X の話をご紹介。

Xで始まる英単語 | Fragments

X は単語の一部としてだけではなく、実は単独でもよく使われています。

それは「2X=6」「3X=-12」などの数式の中。

数式でよく用いられた結果、X は数式以外の文脈でも「未知の人、未知のもの」を表すようになりました。

プロジェクトX といえば、誰にも知られていない秘密の計画というイメージですし、マルコムX の X は、黒人の現在の性は奴隷所有者から与えられたものであり、それ以前の本来の性は不明であるという主張に基づいています。

しかしそもそもなぜ代数で X が未知数を表すようになったのかということは案外知られていないのではないでしょうか。

TEDTalks のプレゼンテーションでテリー・ムーアがその意外な秘密を明らかにしてくれています。ぜひご覧になってみてください。

あなたとわたし − 人称代名詞の語順のはなし

大きな栗の木の下で
あなたとわたし
なかよく遊びましょう♪

この歌詞がもし「わたしとあなた、なかよく遊びましょう♪」だったら、少し不自然な感じがしませんか。

日本語で1人称と2人称を並べるときは、やはり「2人称⇒1人称」の順に置くのがすっきりします。

これが英語の場合はどうでしょうか。『ロイヤル英文法』を見ていたらこんな説明がありました。

人称代名詞を2つ以上並べて用いる場合は、2人称(you)を最初に、1人称(特にI)は最後にするのが礼儀上よい言葉遣いとされる。3人称代名詞(または名詞)は you の後、I の前に入るのがふつう。

P.178

つまり英語で人称代名詞を並べるときは「2人称⇒3人称⇒1人称」の順に置くのが標準ということなのでしょう。

「相手を立てて、自分はへりくだる」というマナーの面から考えれば、この順には納得できますね。

ただし『ロイヤル英文法』には、I を最初に置くケースも紹介されています。

<何か悪いことを言う場合>

  • I and Bob were arrested for speeding.

<自分のほうが身分的に上であることがはっきりしているとき>

  • I and my children~
  • I and my dog~

また『ロイヤル英文法』によると、ヴィクトリア女王は I and my husband と言っていたらしいのですが、現在のエリザベス女王は My husband and I を使っているようです。

もっともこれはパーソナリティの違いというよりは、時代の違いによるものかもしれません。

そういえば昔、オーストラリアで『Me and you and everyone we know』というタイトルの映画を見たことがあります。内容はちょっと風変わりなコメディドラマでした。

この映画のタイトルは「1人称⇒2人称⇒3人称」の順番になっていますが、何か隠された意図があるのでしょうか?

なお邦題は「君とボクの虹色の世界」となっており、こちらは「2人称⇒1人称」の順番に変わっています。(3人称はどこかへ行ってしまいました)

もちろん日本語としてはこちらの方が収まりがよいのですが、原題の持つ風変わりなニュアンスが失われてしまったような気もします。

このあたりは、文法的に「正しい、正しくない」という括りでは語りきれない何かがあるのではないでしょうか。

探してみれば、この世界には「1人称⇒2人称」が標準の言語もあるのかもしれません。もしあるなら翻訳のときにどうするのかなど気になるところです。

 

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