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その他の言語

「名前」という語の起源について

フィンランド語で「名前」は nimi といいます。

テキストに出てきたこの単語の綴りを見て、昔、インドネシアの友人にインドネシア語の自己紹介を教えてもらったときのことを思い出しました。

Nama saya 〜.(私の名前は〜です)
*nama(名前)、saya(私の)

これを見たとき、インドネシア語の nama という単語は、日本語の namae 、英語の name に綴りが似ているなあ、と思ったことを覚えています。

インドネシア語云々以前に、そもそも日本語と英語が似ているのですが、インドネシア語を挟んで3つの言語を比較したときに初めてその類似性に気付いたという訳です。

その後「名前」の語源を調べてみたところ、この類似性はあくまで偶然であるという結論に行き当たりました。

[参考]名前(なまえ) – 語源由来辞典

しかしそこへフィンランド語の nimi も加わると、実は何かつながりがあるのではないかと考えてみたくなります。

nimi は母音こそ他の言語と異なるものの、[n-m-]という子音の配列は全く同じです。

もう一度、それぞれの綴りをまとめてみましょう。

日本語 namae
英語 name
インドネシア語 nama
フィンランド語 nimi

 
ヨーロッパ系の言語同士とか、比較的「近い」言語内での類似なら話はわかるのですが、全く縁もゆかりもなさそうな言語同士で、これほど似た単語があるのは本当に単なる偶然でしょうか?

もし世界祖語というようなものがあったとしたら、そこには namae に近い音声の語があったのかもしれないなどと思わず空想してしまいます。

いずれにしても非常におもしろい現象ですね。

小笠原語の世界

先日、池袋の LIBRO で『日本語の隣人たち Ⅱ』という本をぱらぱらとめくっていたところ、非常に面白かったので、勢いで購入してしまいました。

この本ではタイトルのとおり、日本の周辺で使われているあまりメジャーではない言語を紹介しています。そのラインアップは以下のとおり。

  • 樺太アイヌ語
  • アリュートル語
  • オイラトモンゴル語
  • シベ語
  • ゾンカ語
  • リス語
  • ブヌン語
  • 小笠原語

アイヌ語以外は、名前すら聞いたことがありません。

しかし、この中の「小笠原語」というのが何だか気になります。小笠原はいつか行ってみたいと思っていた場所でもあるので、真っ先にそのページを読んでみました。

 

小笠原語の成立過程

小笠原諸島には、19世紀、日本人より先に欧米人が入植していました。その後、小笠原は日本領となり、八丈島などからの移民が増えてきます。すると在来の欧米人は日本に帰化し日本語も話すようになります。

その後、第二次世界大戦の後には、小笠原は米軍の施政下に入り、島民は英語教育を受けることになりました。

その結果、英語と日本語の混合言語を母語とする島民が現れ、その言語を小笠原語と呼ぶようになったそうです。

 

小笠原語の世界を覗いてみる

本書には、小笠原語の実際の会話例がいくつかのっています。

I refuse to learn the 丁寧 way.

me はちゃんとしないと。

混合言語というのは、こういう表現のことなのですね。ところで上記の文の me に関する解説が面白かったので抜粋してみます。

me「私」:欧米系島民に小笠原ことばの典型的な特徴を聞くと、まず出てくるのはここに見られる1人称代名詞の me です。主語でも目的格でも me です。所有格も my や mine ではなく「meの」となります。これに当たる複数形は us や we でもなく、ワレワレやワタシタチでもなく、「meら」です。

P.159

これらは単に英語と日本語を混ぜて話しているのではなく、独自の文法規範を持った固有の言語であるというのが、筆者のダニエル・ロング先生の主張です。本書ではその根拠も挙げられていますので、興味のある方はぜひご覧になってみてください。

なお小笠原語は Wikipedia にも項目があり、そこではこんな文例がのっていました。

現在では使われていないが、本土復帰直後の日本人教師と生徒との会話例を一部示す。ニュアンスは後に日本の俳優であるルー大柴が発する「ルー語」に近い。

「ユーは何のティーチャーかい?」

「東京ベイは、グアムアイランドよりも大きいかい?」

「『メス』って、メイルかい?それともフィメイルかい?」

最初に小笠原語の文例を見たときに感じた既視感・親近感は、もしかしてルー語に近いためだったのかな?と思ったり、思わなかったり。

いずれにしても、日本の辺境にこんな言葉があったとは、全然知りませんでした。まだ知らない日本のことばもたくさんあるのでしょう。

 

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Tanacross Learners’ Dictionary − タナクロス語の世界を覗いてみれば

20代のころ、アラスカの文化や言語に興味があって、関連する本を読んだり、アラスカ大学のホームページを読んだりしていた時期がありました。

何となくその頃のことを思い出して、久しぶりに Alaska Native Language Center のホームページを見ていたら、なんとタナクロス語の辞書が iPhone アプリで出ているとのお知らせを発見。

これはおもしろそうだ!と思い、さっそく試してみました。

タナクロス語というのは、おもに北アメリカで話されているアサバスカ諸語(Athabaskan Languages)の中の一言語です。

日本版の Wikipedia には項目がないので、英語版の Wikipedia から引用してみましょう。

Tanacross (also Transitional Tanana) is an endangered Athabaskan language spoken by fewer than 60 persons in eastern Interior Alaska.

話者数60人以下ということですので、かなり差し迫った消滅の危機にある言語と言えるでしょう。

またアサバスカ語というのは、アメリカの著名な人類学者エドワード・サピアが、私信の中で the son-of-a-bitchiest language と呼んだくらい、文法的に複雑きわまりない言語として有名です。

Alaska Native Language Center ホームページの説明によると、この辞書アプリには2,000の英語見出し語と4,500のタナクロス語、そして3,800の音声ファイルが収録されているとのこと。音声が聞けるというのは素晴らしいですね。

それでは、いよいよ辞書の中身を見てみましょう。

この画面から単語を検索します。なおこの辞書は、英語からタナクロス語を調べる、いわゆる「英・タナクロス辞書」となっています。通常の学習者用辞書のように「タナクロス・英辞書」にしてしまうと、使いこなせる人は相当限定されてしまいそうなので、無理もないでしょう。

ここでは人称代名詞の I と you を検索してみました。

I と me は同じ一語(shih)で表すのですね。また語法の説明によれば、文の「主体」は動詞の中で示されるため、人称代名詞の shih は省略されることも多いようです。これはタナクロス語に限らず、アサバスカ諸語に共通の特徴なのだとか。

例えば、アプリに付属している解説によると tâatihdaał という一語で、I’ll go back home. の意味になるのだそうです。その際のタナクロス語の形態素と英単語の対応関係は以下のとおり。

tá- home
na- back
t- future
ih- I
d- back
haa go
ł future

 
それにしても話者数60人以下の言語で、これだけの辞書アプリを出してしまうというのは、すごいことだと思います。

調べた訳ではないので確かなことは言えませんが、もしかすると「辞書アプリを持っている世界最少話者数の言語」である可能性はないでしょうか?

 
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