フィンランド語学習記 vol.149 − 夕食をめぐって
フィンランド語で「朝食」は aamiainen(アーミアイネン)、「昼食」は lounas(ロウナス)。
そして「夕食」は päivällinen(パイヴァッリネン)または illallinen(イッラッリネン)。
夕食が二つあるのはなぜ?というのが本日のテーマ。
この二つの単語、Google 翻訳で「フィン→日」変換をすると、どちらも夕食という日本語になります。
しかしよくよく定義を見てみると、
- päivällinen は「夕方の16-19時頃の食事」
- illallinen は「夜の20時以降の食事」
を指すとのこと。
päivällinen に「主な食事」や「正餐」という訳語を当てている辞書もあるので、
illallinen = supper
という関係が成り立つのではないかと推測しました。
英語の supper は「軽い夕食」という意味。OALDの定義も見ておきましょう。
supper
the last meal of the day, either a main meal, usually smaller and less formal than dinner, or a snack eaten before you go to bed
『Oxford Advanced Learner’s Dictionary』
supper というのは昼に dinner を食べた後の夕食であり、夜に dinner を食べた後の夜食でもあります。
実際、Google 翻訳で「フィン→英」変換をすると、
illallinen → supper
となりました。
そこでさきほどの「フィン→日」変換と合わせてみると、次のようになります。
フィン | 英 | 日 |
---|---|---|
aamiainen | breakfast | 朝食 |
lounas | lunch | 昼食 |
päivällinen | dinner | 夕食 |
illallinen | supper | 夕食 |
しかし念のため、Google 画像検索でそれぞれの単語を調べてみました。
すると、どう見ても illallinen の方が豪華な感じ。いや豪華というよりはフォーマルな感じでしょうか。少なくとも supper のような「軽い夕食」というイメージはありません。
日本語にするなら「晩餐」という言葉がしっくりくるような気がします。
いずれにしても「朝食・昼食・夕食」という日本語の枠組みには収まり切らない文化の違いがあることは間違いないでしょう。
またそもそも一日三食というのは、どの程度万国共通なのでしょうか?
日本でも江戸時代の初期までは一日二食だったそうですし、もし一日二食や四食がスタンダードという言語文化圏があるなら、その食事をいったいどのように翻訳するのか気になります。
食べる時間にもよりますが、もし四食なら「朝食・昼食・夕食」+「夜食」になるのかもしれません。
と書いていて、フィンランド語で「夜食」は何と言うのかな?と思ったので調べてみると yöpala(ウオパラ)という単語を見つけました。
フィン | 英 | 日 |
---|---|---|
yöpala | night meal | 夜食 |
yö は「夜」の意味。Google 翻訳では「夜のスナック」と変換されます。夜食に遠からずといったところでしょう。
以上、今回は何だかまとまりのないエントリーになってしまいましたが、いろいろ調べてみて「夕食」という単純な単語ひとつを取ってみても、言葉の壁を越えて理解するのは大変だということがよくわかりました。
このギャップを時には深く掘り下げつつ、時には軽やかに飛び越えて、異文化とのコミュニケーションを図っていく必要があるのでしょう。