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フィンランド語教室40週目のレポート。
今期もいよいよ最終回。
以前のエントリーでまとめたタイプ1の動詞の活用に続いて、他のタイプの動詞の活用を学習しました。
タイプ1 |
2つの母音で終わる動詞 |
タイプ2 |
[dA]で終わる動詞 |
タイプ3 |
[lA, nA, rA, stA]で終わる動詞 |
タイプ4 |
[AtA, OtA, utA]で終わる動詞 |
タイプ5 |
[itA]で終わる動詞 |
タイプ6 |
[etA]で終わる動詞 |
今回はタイプ2〜4の動詞の活用をまとめてみたいと思います。
タイプ2の動詞
タイプ2は語末が[-da/-dä]で終わる動詞です。
ここでは saada(得る)という動詞を例に活用形の作り方を見てみましょう。
2−1)語末の[-da/-dä]を外す
まずは語末の[-da/-dä]を外します。
saada → saa
2−2)kpt 交替のチェック
語幹末尾の子音変化(kpt交替)をチェックします。。。が、タイプ2の場合、変化は起こらないので考慮しなくてよいとのこと。
これはラッキー!
2−3)人称ごとの活用語尾を付ける
タイプ2の動詞の活用形は、次のような語尾を付けることによって作ります。
|
単数 |
複数 |
一人称 |
-n |
-mme |
二人称 |
-t |
-tte |
三人称 |
なし |
-vat/-vät |
ここにさきほどの saa を入れてみましょう。
|
単数 |
複数 |
一人称 |
saan |
saamme |
二人称 |
saat |
saatte |
三人称 |
saa |
saavat |
これでできあがり。簡単!
2−4)タイプ2の例外
[-da/-dä]で終わる動詞の中で、下記の2つは例外的な活用をするとのこと。
tehdä(つくる)
もともとは tekeä という綴りだったので、2つの母音で終わる動詞=タイプ1の動詞として活用形を作ります。
途中過程は省略しますが、次のような形に。
|
単数 |
複数 |
一人称 |
teen |
teemme |
二人称 |
teet |
teette |
三人称 |
tekee |
tekevät |
nähdä(見る)
もともとは näkeä という綴りだったので、2つの母音で終わる動詞=タイプ1の動詞として活用形を作ります。
|
単数 |
複数 |
一人称 |
näen |
näemme |
二人称 |
näet |
näette |
三人称 |
näkee |
näkevät |
タイプ3の動詞
タイプ3は語末が[-la/-lä][-na/-nä][-ra/-rä][-sta/-stä]で終わる動詞です。
ここでは ajatella(考える)、mennä(行く)、purra(かじる)、nousta(上がる)という動詞の活用を見ていきましょう。
3−1)語末の[-la/-lä][-na/-nä][-ra/-rä][-ta/-tä]を外す
ajatella → ajatel
mennä → men
purra → pur
nousta → nous
[-sta/-stä]で終わる動詞は[-sta/-stä]ではなく[-ta/-tä]を外すので注意。
3−2)語末に[-e]を添える
ajatel → ajatele
men → mene
pur → pure
nous → nouse
3−3)kpt 交替のチェック
語幹末尾の子音変化(kpt交替)をチェックします。まずは変化表を見てみましょう。
kk |
←→ |
k |
k |
←→ |
× |
uku |
←→ |
uvu |
yky |
←→ |
yvy |
nk |
←→ |
ng |
lke |
←→ |
lje |
rke |
←→ |
rje |
hke |
←→ |
hje |
pp |
←→ |
p |
p |
←→ |
v |
mp |
←→ |
mm |
tt |
←→ |
t |
t |
←→ |
d |
nt |
←→ |
nn |
lt |
←→ |
ll |
rt |
←→ |
rr |
タイプ1の動詞では左から右へ子音が変化しましたが、それ以外のタイプでは逆に右から左へ子音が変化するとのこと。
つまりタイプ1の動詞の活用を考えるときは、語幹末尾の音節に[k, p, t]が含まれていたら、子音の変化が起こる可能性があると覚えていましたが、タイプ3の動詞ではその他の文字から[k, p, t]に変化するケースも考慮しなければなりません。
ここでは ajatele, mene, pure, nouse を表に当てはめてみましょう。
すると下から5番目に[tt ← t]という変化があるので、
ajattele ← ajatele
となります。その他の動詞に子音の変化はありません。
3−4)人称ごとの活用語尾を付ける
タイプ3の動詞の活用形は、次のような語尾を付けることによって作ります。
|
単数 |
複数 |
一人称 |
-n |
-mme |
二人称 |
-t |
-tte |
三人称 |
母音を重ねる |
-vat/-vät |
ここにさきほどの ajattele, mene, pure, nouse を入れてみましょう。
|
単数 |
複数 |
一人称 |
ajattelen |
ajattelemme |
二人称 |
ajattelet |
ajattelette |
三人称 |
ajattelee |
ajattelevat |
タイプ1の動詞では、三人称の活用に kpt 交替が反映されないというルールがありましたが、タイプ3にはそのルールはないそうです。
よって、ajattelee、ajattelevat と[t]は重ねたままでOK。
その他の動詞は以下のようになります。
|
単数 |
複数 |
一人称 |
menen |
menemme |
二人称 |
menet |
menette |
三人称 |
menee |
menevät |
|
単数 |
複数 |
一人称 |
puren |
puremme |
二人称 |
puret |
purette |
三人称 |
puree |
purevat |
|
単数 |
複数 |
一人称 |
nousen |
nousemme |
二人称 |
nouset |
nousette |
三人称 |
nousee |
nousevat |
タイプ4の動詞
タイプ4は語末が[-ata/-atä][-ota/-otä][-uta/-utä]で終わる動詞です。
ここでは tykätä(〜が好き)、pudota(落ちる)、haluta(〜が欲しい)という動詞の活用を見ていきましょう。
4−1)語末の[t]を外す
tykätä → tykää
pudota → pudoa
haluta → halua
4−2)kpt 交替のチェック
語幹末尾の子音変化(kpt交替)をチェックします。ふたたび変化表を見てみましょう。
kk |
←→ |
k |
k |
←→ |
× |
uku |
←→ |
uvu |
yky |
←→ |
yvy |
nk |
←→ |
ng |
lke |
←→ |
lje |
rke |
←→ |
rje |
hke |
←→ |
hje |
pp |
←→ |
p |
p |
←→ |
v |
mp |
←→ |
mm |
tt |
←→ |
t |
t |
←→ |
d |
nt |
←→ |
nn |
lt |
←→ |
ll |
rt |
←→ |
rr |
このタイプでも、子音は右から左へ変化します。
一番上に[kk ← k]、下から4番目に[t ← d]という変化があるので、
tykkää ← tykää
putoa ← pudoa
となります。
[k, p, t]にのみ気を配っていると[t ← d]の変化を見逃してしまいます。これは要注意。
4−3)人称ごとの活用語尾を付ける
タイプ4の動詞の活用形は、次のような語尾を付けることによって作ります。
|
単数 |
複数 |
一人称 |
-n |
-mme |
二人称 |
-t |
-tte |
三人称 |
母音を重ねる |
-vat/-vät |
ここにさきほどの tykkää、putoa、halua を入れてみましょう。
|
単数 |
複数 |
一人称 |
tykkään |
tykkäämme |
二人称 |
tykkäät |
tykkäätte |
三人称 |
tykkää |
tykkäävat |
三人称単数形で母音を重ねていないのは、フィンランド語では三重母音が禁止されているというルールによるもの。よって tykkäää とはなりません。
またタイプ3と同様、三人称における kpt 交替なしというルールはありません。よって tykkää と[k]を重ねたままにしておきましょう。
その他の動詞は以下のようになります。
|
単数 |
複数 |
一人称 |
putoan |
putoamme |
二人称 |
putoat |
putoatte |
三人称 |
putoaa |
putoavat |
ついさきほど三重母音は禁止!と言ったばかりなのに、三人称単数形が putoaa となっています。この場合は[o/aa]と音節が切れるからOKなのだとか。これは複雑。
|
単数 |
複数 |
一人称 |
haluan |
haluamme |
二人称 |
haluat |
haluatte |
三人称 |
haluaa |
haluavat |
ここでも三人称単数形が haluaa となっていますが、[u/aa]と音節が切れるためOK。
まとめ
以上、フィンランド語のタイプ2〜4の動詞の活用をまとめてみました。
タイプ1 |
2つの母音で終わる動詞 |
タイプ2 |
[dA]で終わる動詞 |
タイプ3 |
[lA, nA, rA, stA]で終わる動詞 |
タイプ4 |
[AtA, OtA, utA]で終わる動詞 |
タイプ5 |
[itA]で終わる動詞 |
タイプ6 |
[etA]で終わる動詞 |
フィンランド語の動詞の80%はタイプ1に含まれるため、タイプ2〜6の動詞の数はそれほど多くないようです。とはいえ、日常よく使う基本動詞も含まれているため、スキップする訳にもいきません。
こういった活用形の作り方を考えるのは、パズルのようで楽しいのですが、会話で瞬間的に出てくるようにするのはなかなか大変そうです。コツコツと練習してきましょう!