フィンランド語学習記 vol.23 − 外国語と外来語
フィンランド語教室12週目のレポート。
この日は特に寒かった。残雪を踏みしめながら教室へ向かいます。
ひととおり単語の復習をした後、先生から一言。
外国語と外来語の違いを知っていますか?
ええと、外国語が日本語に取り入れられて外来語になるということでしょうから、例えば「サウナ」は外来語で、Hyvää päivää. は外国語ですよね?
ここまではよし。
しかしフィンランド語では、ある名詞が外来語か外国語かによって、格変化のしかたが変わってしまうそうです。
例えば「私はニューヨークにいます」と言いたいとき。
olen(〜にいる)
New York(ニューヨーク)
これらの単語を並べて文をつくってみましょう。
まずは New York を格変化させて、「ニューヨークの中に」の形にしなければなりません。
「〜の中に」を表す格語尾は[-ssa]なので、そのまま New Yorkssa としたいところですが、子音で終わっている外国語(外来語)に格語尾を付ける際は、間につなぎの[i]を挟んで、New Yorkissa とします。すなわち、
となります。
さて「私はアイスランドにいます」と言いたいときはどうでしょうか。
olen(〜にいる)
Islanti(アイスランド)
ここでも Islanti を格変化させて、「アイスランドの中に」の形にする必要があります。
[-ssa]を付けて、そのまま Islantissaとしたいところですが、ここであのルールが登場。
語幹の最後の音節に[k, p, t]の文字が含まれるときは、語幹が変化する。
[参考]フィンランド語学習記 vol.15 − 格変化のある文を作ってみる | Fragments
Islanti の最後の音節には[t]が含まれています。そこで手元の語幹変化表を見てみると[nt ⇒ nn]というパターンを見つけることができました。すなわち、
Islanni + ssa = Islannissa
という形になります。さきほどのニューヨークの文と並べてみましょう。
Minä olen Islannissa.(私はアイスランドにいます)
あれ? New Yorkもよくみると[k, p, t]の[k]が入っているんだけど。。。と気付いた人はするどい。この[k]は変化しないのでしょうか?
ここでようやく冒頭のテーマ、外国語と外来語の違いにつながります。
- 外国語・・・[k, p, t]の変化はしない。
- 外来語・・・[k, p, t]の変化はする。
以上の違いがあるとのこと。
このあたりのことを「フィンランド語文法ハンドブック」で調べていたら、下記の記述がありました。
kpt 交替が起こるのは「1つの母音で終わる音」です。たとえば lukio「高校」のように語の最後に2つの母音が並ぶ語では kpt 交替は起こりません。
P53
ということは、そもそも子音で終わる語には kpt の変化はないということでしょうか? そう言い切ってよいのかどうかは、まだよくわかりません。
また外国語と外来語の違いに関して、ニューヨークとアイスランドの例はまだわかりやすい方で、アイスランド(Islanti)は外来語なのに、その首都レイキャビク(Reykjavik)は外国語であるなどと言われてしまうといっぺんに難しくなってしまいます。
また一つ奥深い(?)問題に直面することになってしまいました。