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インクとケーキの違いとは?

先日このブログの文章を書いているとき、コンテクストという単語を使おうとして、あれ「コンテキスト」だったかな?それとも「コンテクスト」だったかな?と表記に迷ったことがありました。

些末なことではありますが、どうもすっきりしません。そのときは、とりあえず「コンテクスト」としておきました。

その後『たのしい日本語学入門』という本をパラパラと読んでいたら、偶然この「キ・ク」のテーマが出ており、なるほど!と思ったので紹介してみたいと思います。

漢語の発音が音読みでも中国音からずれ、日本語にあてた訓読みまで誕生したように、外来語も日本語に合わせたさまざまな変形が起こり、多かれ少なかれ原語から離れていく。

(中略)

母音の補い方が時代によって違う場合もある。inkは古くは「インキ」と書いていたのを、それではあまりに陰気なせいでもあるまいが、今は「インク」と書く。一般に「キ」が「ク」に変わる傾向があるが、「キリスト・ケーキ」はキのままだ。「テキスト・テクスト」のようにほぼ同じ意味で共存している例もある。

P.156

英語の発音[k]をカナ書きにする際、一昔前は「キ」を当てることが多かったものの、今は「ク」を当てることが多くなったということなのですね。これは納得。

ただし「インキ」は古めかしく感じますが、「ケーキ」や「ステーキ」は古く感じませんし、「ケーク」や「ステーク」と言うこともありません。この違いはなぜ生まれるのでしょう?

また「テキスト・テクスト」はたしかに共存していますが、なんとなくニュアンスが異なるような気がします。

テキストというとまずは教科書(textbook)や文字データを連想しますが、テクストというとテクスト論など文芸批評のイメージが強くなるのは自分だけでしょうか。

そういう意味では共存しつつ、異なる意味が生まれつつあるという珍しい例なのかもしれません。

 

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フィンランド語学習記 vol.46 − 桜の季節

東京では桜が満開になりました。

ずいぶん早いなと思って調べてみると、昨年より15日、平年よりも12日早いのだとか。

大学生になって、上京し初めて住んだ町が桜並木の多いところだったこともあり、この時期は学生時代のことをよく思い出します。

そんなこともあり、春は時間の流れの速さを感じる季節でもあります。

閑話休題。

さて、フィンランド語で「桜」は kirsikkapuu と言います。

kirsikkapuu の puu は「木」の意味ですね。

桜と言えば、アキ・カウリスマキ監督の『ル・アーブルの靴みがき』のラストシーンには、希望の象徴のような桜が映し出されていました。

『ル・アーブル〜』はフランスが舞台の映画ですが、監督はフィンランドの人なので、もしかして桜はフィンランドでも人気があるのかもしれません。

なお調べてみたところ、フィンランドの国花はスズラン(kielo)のようです。フィンランドでは初夏の6月に咲くんですね。

それではフィンランド語で季節を表す単語をまとめてみましょう。

vuodenaika 季節
kevät
kesä
syksy
talvi

 
vuodenaika の vuoden は「年」を表す単語 vuosi の変化形、そして aika は「時」の意味です。

「季節=一年の中を流れる時」という感覚でしょうか。

また春の訪れとともに悩まされることになるのが heinänuha。

日本ではすっかり国民病になってしまった感のある「花粉症」は、フィンランドにもあるようです。ただし日本のようにスギやヒノキではなく、白樺やブタクサが原因なのだとか。

花粉が舞っていても、やはりこの季節は高揚感があり、気持ちも上向きになります。小旅行にでも行きたいなと思う今日この頃です。

ことばの理解を深めるということ − enjoy の場合

昨日紹介した金出武雄先生の著書『独創はひらめかない ー「素人発想、玄人実行」の法則』より、もう一つ特に印象に残った箇所があったので紹介してみます。

ほめて伸ばすというのは、世界に共通する良薬だそうである。

アメリカ人のほめ上手には感心してしまう。例えば、テニスコーチが教えているのを見ていると、「おお、ナイスショット!」「ビューティフル」とすぐにほめる。横から見ていると、「あれがナイスショットかね」と思うのだが、平気で連発する。

彼らは、何事であれ、「Enjoy」とよく言う。この言葉は、日本語の「楽しむ」以上に、いいことも悪いことも全部をひっくるめた体験を「味わう」というような意味があるようだ。

P.165

「enjoy = いいことも悪いことも全部をひっくるめた体験を味わう」という解釈は、実際にその言葉が使われる世界に身を置いて初めて得られる洞察なのだと思います。

そのような点にまで踏み込んで、enjoy を記述している英和辞書はあるだろうか?と思い、手持ちの辞書とオンライン辞書をいくつか調べてみたものの、ほとんどの辞書は「enjoy = 楽しむ」というレベルの解説に留まっていました。

その中で『ウィズダム英和辞典』の語釈が、少し目を引きました。

日本語の「楽しむ」よりも意味の幅が広く、趣味(の道具)・仕事・時間・人生・人(との交際)・料理など幅広い目的語を取りうる

あることばを「知る」ということは、一義的な意味を知るだけでなく、そのことばが使われている世界(コンテクスト)を通して理解を深めていくということでもあります。

そうだとすれば、語学に終わりがないように、ことばを知るということにも明確な終わりはないと言えるでしょう。

自分がよく知っていると思っていた人(ことば)の意外な面を見つけるということは、日常においても語学においても案外よくあることなのかもしれません。

 

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スピーキング上達の秘訣 − 心の速度制限を外してみよう

カーネギーメロン大学教授の金出武雄先生の著書『独創はひらめかない ー「素人発想、玄人実行」の法則』を読んでいたら、その中に「英会話上達の秘訣」という章がありました。

そこで、紹介されている方法の一つが、速くしゃべる練習をすること。

英語に限らず外国語の発音の上達には秘訣がある。早口で、大きな声でしゃべる練習をすることである。

しゃべるということは、相手に自分の意思や感情、考えを伝達することを目的とする。そのためには、速くコミュニケーションするというのが重要だから、どんな言語でも、速くしゃべるように作られているのである。例えば、日本語でも、「に・ほ・ん・ご・で・は」と、音を区切って言う日本人はいない。「にほんごでは」と、速く言う。つまり、速く言えば言うほど自然になる。

P.180

外国語の学習において、速読や速記について言及されることはありますが、速喋(?)というのはあまり聞いたことがありません。

しかしそう言われて考えてみると、ネイティブスピーカーとのコミュニケーションにおいて、相手に自分の言いたいことを理解してもらうためには、ある程度のスピードで話すことが必要です。

一語一語を丁寧に発音するよりも、ひとまとまりのチャンクとしてリズムとイントネーションに注意して話す方が、圧倒的に伝わりやすいというのは自分の経験から振り返ってみても確かなことだと思います。

ただしこれを実行するためには、

  • 間違いを恐れない
  • 周りの日本人の目を気にしない

という、一種の開き直りが必要でしょう。

日本人の場合、周りの日本人の目を気にして、必要以上にたどたどしく話してしまうというのはよくあることです。

スピーキングのトレーニングとしては、この「心の速度制限」を外して、一度限界に挑戦してみることも必要ではないでしょうか。

これはスピーキングの上達を考える上で大切なポイントだと思いますので、備忘録としてここにメモしておきたいと思います。

 

なお、本書「独創はひらめかない ー「素人発想、玄人実行」の法則」は、日本からアメリカへ渡り、ロボット工学の世界的権威となった著者が、その発想の源について語ったエッセイ集です。

そのメッセージは力強く、明日からの仕事に前向きになるためのエネルギーをもらうことができます。またアメリカと日本の一種の比較文化論にもなっており、研究に携わる人でなくても十分に楽しめ、そして役に立つ一冊だと思います。

 

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フィンランド語学習記 vol.45 − 今日はよい天気

初対面の人との会話において当たり障りのない話題と言えば、まず思い浮かぶのが天気の話ではないでしょうか。

先日のフィンランド語クラスではこんな表現を習いました。

Tänään on kaunis ilma.(今日はよい天気ですね)
Tänään on ruma ilma.(今日は悪い天気ですね)
*tänään(今日)、kaunis(美しい)、ilma(空気)、ruma(醜い)

個々の単語の意味を見ていただくとわかりますが、直訳すると「今日は美しい空気ですね」「今日は醜い空気ですね」という意味になるようです。

日本語では「善悪」の問題として語る天気を、フィンランド語では「美醜」の問題として語っています。おもしろい表現ですね。

続いて、天気を表す単語をまとめてみました。

aurinko 太陽 aurinkoinen 晴れの
pilvi pilvinen 曇りの
sade sateinen 雨の
räntä みぞれ räntäinen みぞれの
lumi luminen 雪の

 
晴れを太陽という単語を使って表すところは英語と同じですね。(sun ⇒ sunny)

英語では[-y]を付けて形容詞を作るところを、フィンランド語では[-nen]を付けて作ります。

lumi はこの前フィンランド語教室のクラスメイトに借りて読んだ小説 luminainen(雪の女)のタイトルに使われていました。

英語の語根[lumi]は「光」の意味を表し、luminous(光る)、illumination(照明)などの単語に含まれています。

そのこともあってか、lumi という単語を聞くと、雪が光り輝いているようなイメージが頭の中に浮かんでしまいます。いずれにしても美しい響きの言葉ですね。

それでは、Tänäänkin on kaunis ilma.

英語と母国語の不思議な関係 − from yle uutiset

フィンランドのニュース番組 yle uutiset のウェブサイトで、こんな記事を見つけました。

English-language invasion troubles Finnish academia | Yle Uutiset | yle.fi
English-language invasion troubles Finnish academia Today more and more university courses are being …

English-language invasion troubles Finnish academia

(英語の侵略がフィンランドの学界を揺るがす)

Today more and more university courses are being offered in English but not everyone’s happy about the development, which is seen as undermining Finland’s official languages.

(今日、ますます多くの大学課程が英語で行われるようになっているが、誰もがそのなりゆきに満足しているという訳ではない。フィンランドの公用語の地位を弱めると見られているからだ。)

この記事では大学教育などアカデミックな世界における英語偏重を懸念する人たちの意見を主に紹介しつつ、最後に英語推進派の「用務員さんも英語を話すべき!」という対照的な意見を取り上げています。

これはどちらかが正解という風に答えの出せる問題ではないのでしょう。

こういう記事を読むたびに思うのは、日本における日本語の地位というのは揺るぎないものだということ。

TOEICの受験者数が200万人を超えたり、社内の公用語を英語にする企業が現れたりすることはあっても、英語が今の日本語の地位に取って代わるということはまずないでしょうし、そのような心配をする議論も聞いたことがありません。

1億人の母語人口を抱えているということは、良くも悪くも日本語だけで生きていけるということでもあります。

フィンランドのような人口500万人の小国では、国際語としての英語に依拠しつつ、同時にその英語から母国語を守るという矛盾の中を生き延びていかなければならないのでしょう。

ところで、何かにつけて批判される日本人の英語力ですが、もし日本の人口が500万人に減ったとしたら、おそらく今よりも英語力は伸びるのではないでしょうか。

そのような状況下では、日本語で本を出版しても、単純換算で売り上げが20分の1になってしまいます。それならより広範な世界をマーケットにできる英語で情報発信をしようとする人が増加しても不思議ではありません。

すると、情報を受け取る側も、日本語だけでは十分な情報が得られないため、必要に駆られて英語を勉強し始めるという具合。

なお誤解のないように言い添えておきますと、そんなシナリオがよいと思っているのではありません。念のため。

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