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「かわいい」を表す英単語

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かわいい

〔形〕(カワユイの転。「可愛い」は当て字)

①いたわしい。ふびんだ。かわいそうだ。

②愛すべきである。深い愛情を感じる。

③小さくて美しい

「広辞苑」より

日本語の「かわいい」に当たる英単語にはどのようなものがあるでしょうか?

今回のエントリーでは、意味が近いと思われる単語をいくつか紹介してみたいと思います。

*語義は OALD(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)から引用しました。

 

cute

1. pretty and attractive

2. (informal, especially AmE) sexually attractive

Google Translate で「かわいい」を日→英翻訳したら、cute になりました。

たしかにかわいいと聞いて、真っ先に連想する単語はこれかもしれませんね。

ただし2の「セクシャルな魅力がある」というニュアンスは、日本語のかわいいには含まれていないような気がします。

 

pretty

 (especially of a woman, or a girl) attractive without being very beautiful

「あまり美しすぎることなく魅力的」という定義はおもしろいですね。あまりにも美しいと pretty ではないのでしょうか?

 

sweet

1. (especially BrE) (especially of children or small things) attractive

2. having or showing a kind character

sweet には様々な意味がありますが、人に用いれば「魅力的な/親切な」という意味になります。

1の「特に子供たちや小さいものを指して」というところを見ると、日本語のかわいいと共通する感覚もあるのではないでしょうか。

 

charming

very pleasant or attractive

語義に pleasant が出てきました。charming な人というのは、何よりもいっしょにいて楽しい人なのでしょう。

 

darling

(informal) much loved; very attractive, special, etc.

語義に much, very が付いているところを見ると、かなり強い表現なのだと思います。「かわいい」というより「めちゃくちゃかわいい」といった感じでしょうか?

 

lovely

1. beautiful; attractive

2. (informal) very enjoyable and pleasant; wonderful

日本語でラブリーというとかわいいという意味を思い浮かべがちですが、もともとの意味は beautiful に近いです。

名詞として使うと、lovely 一語で beautiful woman の意味に。

また見た目だけではなく、相手の人間性など内面を褒めるのに使うこともできます。

 

dinky

1. (BrE, approving) small and neat in an attractive way

2. (AmE, disapproving) too small

イギリスでは「小さくてかわいい」と良い意味になるのに、アメリカでは逆に「小さすぎる」と悪い意味になってしまいます。

あまりにもわかりやすい価値観の対比がおもしろいです。Too American!

 

kawaii

Cute, especially in the context of Japanese culture.

(from Wiktionary)

kimono, sushi, tsunami など英語になった日本語は数多くありますが、今や kawaii もその仲間入りをしています。

日本のマンガ、アニメ、ファッションなどを語る文脈では、kawaii という単語が固有の価値観を表しているようです。

なお Wiktionary によると、比較級は more kawaii、最上級は most kawaii になるとのこと。

 

まとめ

以上、日本語の「かわいい」を表す英単語を見てきました。

  • cute
  • pretty
  • sweet
  • charming
  • darling
  • lovely
  • dinky
  • kawaii

似ているようでちょっと違う、意味のグラデーションがおもしろいですね。

なおこれらはもちろん褒め言葉ですので、人に言われたら嬉しいはず。一番嬉しいのはどの言葉でしょうか?

フィンランド語学習記 vol.75 − kpt/子音階程交替

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フィンランド語教室では、とうとう動詞の本格的な勉強が始まりました。

その前に動詞の人称変化に欠かせない kpt 交替のルールをまとめておきましょう。

 

kpt 交替とは?

kpt 交替(子音階程交替)とは、フィンランド語の格変化や人称変化に伴う、語幹の子音変化のこと。

百聞は一見に如かずということで、実際の例を見てみましょう。

1)Tämä on kirkko.(これは教会です。)
2)Minä olen kirkossa.(私は教会にいます。)

教会はフィンランド語で kirkko と言います。

1の文では、そのままの形で使われていますね。

一方、2の文では「〜の中に」という意味を表す格語尾[-ssa]が末尾に付いて、kirkossa という形になっています。

[単数主格]kirkko(教会は)
[単数内格]kirkossa(教会の中に)

今回のポイントは、それぞれの語幹部分。よくよく見ると、kirkko → kirko と[k]が一つ落ちているのがわかります。

これにより、発音も「キルッコ → キルコ」と促音のない音になります。

フィンランド語の場合、このような変化が子音の[k, p, t]について起こるため、このルールを kpt 交替または子音階程交替と呼んでいます。

いかがでしょう?

すでにブラウザのタブの×を押されてしまっているかもしれませんが、めげずに kpt 交替のパターン一覧を見ていきたいと思います。

 

kpt 交替のパターン一覧

① 単語の最後の音節に[kk, pp, tt]がある場合

[kk, pp, tt]は、縮まって[k, p, t]になります。

kk k kirkko kirko 教会
pp p kauppa kaupa
tt t matto mato マット

 
これはまあわかりやすいですね。

 

② 単語の最後の音節に[k, p, t]がある場合

単独の[k]は音が消えてしまいます。また[p, t]は、それぞれ[v, d]になります。

k × Turku Turu トゥルク
p v kylpy kylvy 浴槽
t d katu kadu 通り

 
[p, t]→[v, d]の変化は音が濁る感じです。正確ではないものの、カタカナで書いてみると感覚をつかみやすいかもしれません。

[プ → ブ][トゥ → ドゥ]・・・こんな感じです。

 

③ その他いろいろ

[k, p, t]の前後に特定の文字が来ると、前述の②とは異なる特別な変化をすることがあります。これはもう、わっせわっせと覚えてしまいましょう。

nk ng kaupunki kaupungi 都市
uku uvu luku luvu
yky yvy kyky kyvy 能力
lke lje kulkea kulje 歩く
rke rje rkeä rje 壊す
hke hje ? ?
mp mm kampa kamma くし
nt nn Islanti Islanni アイスランド
lt ll ilta illa 夕方、晩
rt rr kertoa kerro 説明する

 

④ 変化しないケース

[k, p, t]の前後に特定の文字が来ると、変化を伴わないというケースもあります。こちらも、わっせわっせと覚えてしまいましょう!

[k, p, t]の前後に[s]があるときは、変化なし。

ts ts metsä metsä

 
[tk]の組み合わせは、変化なし。

tk tk matka matka

 

まとめ

なかなか複雑なルールではありますが、幸いにしてパターンが限定されているので、時間をかければ何とか覚えられるでしょう。

これをマスターしておかないと、次の課題である動詞の人称変化に進むことができません。

コツコツ取り組んでいきましょう。

[おまけ]英語の文法書を見ていたら、この文法項目は Consonant Gradation と名付けられていました。なかなかイメージのつかみやすい名前だと思います。

sofa と couch の違いとは?

タイトルは忘れてしまったものの、昔読んだ言語学の本にこんなニュアンスのことが書いてあったのを覚えています。

二つの異なる語が全く同じ意味を持つことはありえない。しかし sofa と couch の違いはまだ発見されていない。

今考えてみるとジョークだったのかもしれませんが、ふとこのことを思い出したので、真剣に sofa と couch の違いを調べてみることにしました。

まずは辞書の定義から。使用したのは OALD(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)です。

sofa

a long comfortable seat with a back and arms, for two or more people to sit on.

couch

a long comfortable seat for two or more people to sit on.

両者の違いは太字部分のみ。それぞれの定義を表にまとめると、以下のようになります。

sofa couch
形状 長い 長い
背もたれ あり なし
肘掛け あり なし
定員 2人以上 2人以上

 

こうして比較してみると、背もたれと肘掛けの有無が唯一の違いなのでしょうか?

しかしカウチにも背もたれはあるような気がするし。。。そもそも一人がけのソファーもあるし。。。と腑に落ちない点も多いので、別の方法でも調べてみましょう。

ビジュアルでこのような違いを調べたいときには、Google 画像検索が便利です。

まずは sofa から。

sofa!(←クリック)

確かに背もたれと肘掛けがありますね。続いて couch へ。

couch!(←クリック)

こちらも背もたれと肘掛けがありますね! 振り出しに戻ってしまいました。

次に定番の Wikipedia を参照してみましょう。

A couch or sofa is a piece of furniture for seating two or more persons in the form of a bench, with or without armrests

(カウチあるいはソファーは、肘掛けありまたは肘掛けなしの、二人以上が座るための椅子型の家具である。)

Wikipedia「couch」より

やはり、肘掛けの有無は問題ではないようです。

ここでも「二人以上」と出てくるところを見ると、海外では一人がけのソファーというのは一般的ではないのかもしれません。

続きをもう少し読んでいくと、sofa と couch の違いについて触れている箇所を発見!

The term ‘couch’ is used in North America, Australia, New Zealand, whilst the term ‘sofa’ is generally used in the United Kingdom and Ireland.

(「カウチ」という用語は北米、オーストラリア、ニュージーランドで用いられるのに対して、「ソファー」という用語はイギリスとアイルランドで一般的に用いられる。)

カウチはアメリカ英語で、ソファーはイギリス英語なんですね。

続いて Wiktionary を参照し、語源を調べてみました。

sofa

Derived from Arabic صفة (súffa, “sofa, long seat made of stone or brick”)

couch

From Old French couche.

なるほど。sofa はアラビア語起源、 couch はフランス語起源だということがわかりました。

さて、ここまでいろいろ調べてきましたが、肝心の意味の違いについては、どうもはっきりしたことがわかりません。

最後に英語圏のウェブサイトを調べていたところ、こちらの家具屋さんのブログに詳しい説明がのっていたので、一部を紹介してみましょう。

a couch is just an armless piece of furniture that was popularly used in the Victorian period. The couches provided a place of rest for the ladies wearing tight fitted corsets with restricted breathing abilities.

(カウチはヴィクトリア朝時代に好んで使われた肘掛けなしの家具である。カウチは、呼吸が大変なくらいきついコルセットをはめていた女性たちに休息の場所を与えた。)

またこのエントリーでは、両者の次のような違いについても触れています。

sofa couch
肘掛け 両肘掛け 片肘掛けまたは肘掛けなし
定員 4人 2〜3人

 

もちろん現代においては、sofa と couch が交換可能な意味で使われていることも多いため、この定義が当てはまらないケースもあるでしょう。

しかしソファーを扱う家具屋さんとしては、ソファーとカウチはもともとこういう違いがあるんだよ!と一言言っておきたかったに違いありません。

もちろんその気持ちはわかります。

ということで、今回は sofa と couch の違いについて調べてみました。こういう単語の組み合わせは、探せば他にもあるのかもしれませんね。

フィンランド語学習記 vol.74 − 関係代名詞(joka)

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フィンランド語教室30週目のレポート。

今回は関係代名詞 joka の使い方を習いました。

関係代名詞というのは、日本語にはない概念です。

しかしほとんどの人は、関係代名詞と聞くと、中学英語で習った関係代名詞のことを懐かしく(?)思い出すことになるのではないでしょうか。

そんな関係代名詞(joka)の使い方を以下にまとめてみたいと思います。

 

関係代名詞 joka の使い方

まずは関係代名詞 joka を使った実際の文章を見てみましょう。

Minulla on ystävä, joka asuu Suomessa.(私には、フィンランドに住んでいる友達がいます。)

これだけではわかりにくいので、左から一語ずつ順番に日本語との対応に注意しながら読んでみましょう。

Minulla on ystävä , joka asuu Suomessa .
私には います 友達が その友達は 住んでいます フィンランドに

 
何となく、文の流れがつかめたでしょうか?

次にもう一度、前半と後半に分けて見てみます。

[前半]Minulla on ystävä

「私には友達がいます」と友達を紹介しています。

[後半], joka asuu Suomessa.

どんな友達なのかと言うと、「その友達はフィンランドに住んでいるんです」と友達の説明をしています

こんな風に、先行する人やものを詳しく説明するのが、関係代名詞の働きであると言えるでしょう。

 

やはり格変化が待っている

次にこちらの文をご覧ください。

Minulla on kissa, jonka nimi on Mirri.(私は、ミッリという名前の猫を飼っています。)

さきほどの joka が、ここでは jonka という形になっています。ここでも左から一語ずつ順番に読んでみましょう。

Minulla on kissa , jonka nimi on Mirri .
私には います 猫が その猫の 名前は です ミッリ

 
関係代名詞 joka は、フィンランド語の他の代名詞と同じく格変化をします。

最初の文では「その友達」と「〜は」の働きをしていたので主格(joka)、次の文では「その猫」と「〜の」の働きをしているので属格(jonka)の形になっています。

joka の格変化はご覧のとおり。

単数 複数
主格 〜は joka jotka
属格 〜の jonka joiden
joitten
分格 〜を jota joita
内格 〜の中に jossa joissa
出格 〜の中から josta joista
入格 〜の中へ johon joihin
接格 〜の表面で jolla joilla
奪格 〜の表面から jolta joilta
向格 〜の表面へ jolle joille
様格 〜として jona joina
変格 〜に(なる) joksi joiksi

[参考]フィンランド語文法ハンドブック

相変わらず盛りだくさんです。とはいえ、それぞれの格語尾の形はおおむね基本ルールを踏襲しているので、覚えるのはそれほど大変ではありません。

 

英語との違いは?

さきほど紹介した joka/jonka の関係は、英語の who/whose の関係と同じと言えます。

ここでは英語との違いをまとめてみました。

英語 フィンランド語
格変化 主格/所有格/目的格の3種類のみ たくさん!
先行詞との関係 先行詞が人なら who
もの・動物なら which
などの使い分けあり
使い分けなし
コンマ 制限用法=コンマなし
非制限用法ーコンマあり
常にコンマあり

*制限用法と非制限用法の違いについては、また別の機会に。

英語の方が簡単な点とフィンランド語の方が簡単な点があるようです。この勝負は引き分けといったところでしょう。

 

まとめ

今回は関係代名詞 joka の用法をまとめてみました。理解するだけなら、それほど難しい文法項目ではなさそうです。

あとは使いこなせるように練習あるのみ。頑張りましょう。

『外国語上達法』読書ノート⑤ − 文法

『外国語上達法』読書ノートの第五回目です。

この連載では、岩波新書より出ている千野栄一先生の『外国語上達法』を読み、感じたこと、考えたことを一章ごとにまとめていきます。

目次はこちら。

1 はじめに
2 目的と目標
3 必要なもの
4 語彙
5 文法(←本稿)
6 学習書
7 教師
8 辞書
9 発音
10 会話
11 レアリア
12 まとめ

 

文法 − “愛される文法”のために

ある程度一つの外国語をきちんと身につけた人であれば、文法の必要性を疑うことはないでしょう。

文法なしに外国語学習を行うというのは、海図もなしに大海原に出航するようなものです。

文法というのは、ある意味、先人が残してくれた効率的な学習のための知恵であり、それを利用しない手はありません。

アンチ文法派の意見もよくよく聞けば、知識のための文法や、過剰な文法学習に反対しているのであって、文法そのものが不要だと言っている訳ではありません。

特に語学の初歩においては、語彙と文法をバランスよく身に付けていくことが大切だと思います。

ただし日本人の場合はやや文法偏重になりがちなので、語彙をきちんと固めること、覚えた文法を使うこと(アウトプット)を意識すると上手くバランスが取れるかもしれません。

 

文法のたのしみ

語学が好きな人には、文法が好きな人が多いのではないでしょうか。私もその一人です。

その理由を著者はこんな風に説明します。

世界の言語を見渡したとき、それぞれの言語に違いがあるが、文法のあり方はそれぞれがどうしてこんなに違うのかと思うくらい絢爛豪華に異なっている。そこに、文法の面白さの一つの理由がある。

P.70

外国語に接したとき、母語(この本を読んで下さる人の大部分にとっては日本語)と外国語ではどこが違うかに細かく気を配れる人にとっては、文法はとても面白い分野である。文法に書かれたことを鵜のみにし、やみくもに外国語を理解しようとする人にとっては文法は退屈である。

P.75

この件を読んだときは深く納得しました。

外国語を通して、母語を再発見するという経験は、おそらく外国語学習が与えてくれる最良のものの一つです。

私の場合、正直に言って英語を勉強していたときにはこのことをそれほど深く実感していた訳ではありません。

しかしフィンランド語を始めてからは、フィンランド語を通して、日本語と英語を再発見するという経験が多くなりました。

このブログのフィンランド語学習記でも、そういった内容をよく取り上げています。

[参考]フィンランド語学習記 vol.59 − ふたたび属格と日本語の「の」の話 | Fragments

 

覚えるべき文法のレベルとは

文法の項目を覚えるときも、語彙を覚えるときと同じように、もっとも重要なものから覚えていかなければならない。

P.80

ある言語の文法を完全に網羅することは、語彙を完全に網羅するのと同じくらい、不可能なことだと思います。

まずはその言語を運用するための最低限の文法を学びましょう。

英語の場合なら、中学英語の文法さえ身に付ければ、それなりには使いこなすことができるはずです。

(もちろん知っていることと、使うことができることの間には深い溝があるのですが。)

分厚い文法書は、手元に置いてリファレンスとして使えば十分でしょう。

他の言語なら、薄い入門書(例えば、白水社のニューエクスプレスシリーズのようなもの)を一冊、きちんとこなすところから始めてみてはどうでしょうか。

教室に通うのなら、まずはそこで与えられた教科書を徹底的に固めましょう。

また著者は、文法の基礎的知識を固めることと合わせて、学習の初期に単語の変化表を徹底的に覚えることをすすめています。

フィンランド語のような格変化のある言語を学んでいると、このことの重要性はよくわかります。

単語の原形(辞書形)を覚えていても、文章の中にそのままの形で出てくることが少ないため、基本語彙を覚えることとその格変化を覚えることは表裏一体の関係となっているのですね。

 

本章のまとめ

文法を学ぶことによって、

  • 外国語を効率的に学ぶことができる
  • 母語についてよりよく知ることができる

まずは薄めの入門書から初めてみましょう。

 

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『外国語上達法』読書ノート④ − 語彙

『外国語上達法』読書ノートの第四回目です。

この連載では、岩波新書より出ている千野栄一先生の『外国語上達法』を読み、感じたこと、考えたことを一章ごとにまとめていきます。

目次はこちら。

1 はじめに
2 目的と目標
3 必要なもの
4 語彙(←本稿)
5 文法
6 学習書
7 教師
8 辞書
9 発音
10 会話
11 レアリア
12 まとめ

 

語彙 − 覚えるべき千の単語とは

大人になってから、英語以外の外国語を学ぼうとした場合、もっとも大変なのは基本語彙の習得でないでしょうか。

こればかりはショートカットの方法があるはずもなく、地道にコツコツ覚えて行くしか方法はありません。

語彙の習得がうまくいかない理由は、この語彙の習得が面白くないことと、語の数が多く学習に一見終りがないように見えること、どのような語彙を選択するかの自覚がないことに起因している。

P.49

これは語学に取り組んだことがある人なら、誰しも思い当たる挫折の理由ではないでしょうか。

しかし逆に考えると、

1)楽しく学習すること
2)目標を設定すること
3)語彙の選択基準を決めること

これらさえできれば、語彙の習得を軌道にのせることができるはずです。

本章では、このうち2と3についての明確な指針が与えられています。

「目標」は基本語彙の1,000語を固めること。

そして「語彙の選択基準」は使用頻度の高い単語を選ぶこと。

言語にもよりますが、使用頻度の高い基本語彙1,000語を覚えれば、その言語の60〜70%が理解でき、3,000語を覚えれば、90%が理解できるようになるそうです。

ただしこの1,000語や3,000語というのはうろ覚えではなく、いつでも取り出して使えるような状態でなければなりません。

 

英語のハードルは低い?

ここまでの内容を踏まえると、大人になってから英語を学ぶときのハードルは、他の言語に比べてかなり低いと言えるでしょう。

中学/高校時代にどんなに英語が嫌いだった人でも、犬を dog、本を book と言うことは知っているはずです。

一方、マレー語やベトナム語で犬や本を何と言うのか知っている人は少ないでしょう。

すなわち英語を学習の対象として選択した時点で、私たちは基本語彙1,000語のうち、かなりの割合をすでに知っていることになるのです。

 

ジャンルの広さと頻度数

それでは基本語彙1,000語を習得した後は、どうしたらよいのでしょうか。

本章では、新聞の語彙に関する先行研究を引用し、語彙をジャンルの広さと頻度数によって4つのカテゴリーに分類しています。

ジャンルの広さ
広い 狭い
頻度数 高い C
低い D

 

A)広いジャンルの文章に登場し、使用頻度の高い語
B)広いジャンルの文章に登場し、使用頻度の低い語
C)狭いジャンルの文章に登場し、使用頻度の高い語
D)狭いジャンルの文章に登場し、使用頻度の低い語

こうしてみると、

A=最初に覚えるべき単語
D=必要なときに辞書を引けばよい単語
ということはすぐにわかります。残りのBとCについては、筆者は次のように示唆しています。
B=Aの次に覚えるべき単語
C=自分に必要なジャンルのみ覚えるべき単語
Bは頻度は低くとも一般的な意味を持つ単語であり、Cは固有のジャンルと関係する単語であるとのこと。

よって基本語彙1,000語(A)を習得した後は、様々なジャンルの文章を読んでいった方がよいということになるのでしょう。

 

覚えた単語を記録する

英語であれ、その他の言語であれ、語彙の学習で最後に立ちはだかってくるのは「モチベーションを維持するためにはどうしたらよいのか」という壁ではないでしょうか。

もちろん単語の学習は単調で退屈な作業であると割り切ってしまうこともできます。しかし楽しく学習できるならそれに越したことはありません。

この問題に対する私なりの回答は、覚えた単語を記録することです。

私の場合は、学習中のフィンランド語において、デジタルの単語カードを作成するため、これまでに学んだ単語をcsvファイルにまとめています。

ファイルを見ると現在の語数は約500。これを iPhone の単語カードアプリにアップロードして練習すると、500語のうち何語覚えているのかすぐに知ることができます。

これによって、これまでに覚えた語数と進歩が目に見えてわかるので、日々の学習のモチベーションを維持しやすくなります。

そして、秋頃には最初の目標である1,000語に達することができるだろうという目処を立てることもできるのです。

 

本章のまとめ

語彙習得のポイントは、使用頻度の高い基本語彙1,000語を楽しく覚えること

一行ですっきりまとまりました。

 

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