英文速読の技術 − スキミングとスキャニング
ノンネイティブである私たちが短時間に大量の英文を読もうとするとき、そこには何らかの戦略が必要になってきます。
もちろん愚直に一文ずつ文章を読みすすめていくことが悪い訳ではありません。
しかしおそらく、それだけではどこかの段階で壁にぶつかってしまうことになるでしょう。
例えば、海外の大学に留学した場合、1週間に数百ページもの課題を読んだり、それに基づいてレポートを書いたりすることになります。
よほど語学の才能に恵まれている人は別として、頑張りだけではどうにもならない段階というのがいつか訪れます。
そこまで大きな話でなくても、例えば TOEIC や英検などの試験でいつも時間が足りなくなってしまうという人もいるでしょう。
そんな時に役立つのが速読の技術です。
今回はその中からスキミングとスキャニングという技術を紹介してみたいと思います。
スキミング(skimming)
スキミングは、文章の要点をすくい取り、全体の大意を理解するための技術です。
要点だけを押さえながら読んでいくことになるので、当然読解のスピードはあがります。
それではどこが要点なのかは、どのように判断すればよいのでしょう?
これは一概には言えませんが、一つ確かなことは、英文の各段落の一文目(topic sentence)はその段落の要点である可能性が高いということでしょう。
1〜2時間で数百ページの資料に目を通さなければならないというほど切羽詰まった時には、最終手段として各段落の一文目だけを読んでいくという方法もあります。
もちろん理解度は下がりますが、愚直に全文を読んで結局数十ページしか読めなかったという結果に終わるよりは、よほど全体の理解はすすみます。
TOEIC のリーディングでは、全体の大意よりも細目に関する質問が多いのですが、それでもまず見出しや各段落の一文目をざっと押さえ、その文章の目的(宣伝広告、依頼等)を把握した上で、細目に関する質問に答えた方が効果的だと思います。
スキャニング(scanning)
スキャニングは、大量の文章から特定の情報を探し出すための技術です。
といっても、そんなに難しい話ではなく、私たちは日常生活においてこの技術をよく使っています。
例えば、家のエアコンが急に動かなくなったとしましょう。おそらく多くの人は、マニュアルを引っ張りだして、トラブル対応のページを探そうとするのではないでしょうか。
その際、マニュアルの1ページ目から一字一句読んでいく必要はもちろんありません。
意識的であれ、無意識的であれ、「トラブル」とか「困ったときは」などという文字を探しながら、パラパラとページをめくっていくことになるでしょう。
この技術は英文読解にも応用可能です。例えば、TOEIC のリーディングセクションで、
Who is Ms. Green?
という質問があったら、漠然と冒頭から読みすすめるよりも、Ms. Green のプロフィールを探すつもりで読みすすめた方が効率的なのは間違いないでしょう。
以上、今回はスキミングとスキャニングという英文速読の技術を紹介してみました。
ある意味、楽しむための読書とは対極にある技術ですが、試験対策等いざというときのために知っておいても損はない技術だと思います。