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フィンランド語 /
フィンランド語教室57週目のレポート。
。。。を書きたいところでしたが、この回は仕事のためお休み。
教科書を自力で読みすすめることにしました。
先生が作成している独習用のウェブサイトを参考にしながら、ひとり読みすすめていきます。
今回読んだ範囲では「退屈する男」のスキットがおもしろかったので、紹介してみたいと思います。
(本当は男女はわからないのですが、勝手に「退屈する男」にしてしまいました。)
男:Minä olen huonolla tuulella.(気分が乗らないなあ。)
女:Niinkö? Miksi?(そう? なんで?)
*huono(悪い)、tuuli(風)、miksi(なぜ)
1行目末尾の tuulella は tuuli が格変化した形。
[主格]tuuli(風)
[接格]tuulella(風の上に)
フィンランド語の接格[-lla/-llä]は「〜の上に」の意味を付け足します。
またよく見ると一語前の huono も huonolla と接格の形に。
フィンランド語には次のようなルールがありました。
ある名詞が格変化すると、その名詞を修飾する形容詞も合わせて格変化する。
よって、この文は次のようになっています。
主格 |
|
|
huono
(悪い) |
tuuli
(風) |
|
|
|
↓ |
↓ |
接格 |
Minä |
olen |
huonolla
(悪いの上に) |
tuulella
(風の上に) |
すなわち、ことばの上では「悪いの上に/風の上に」という形を作らなければなりません。
なお「悪い風の上に」というのは、気分が乗らないという意味の慣用句なのだとか。これはおもしろい表現ですね!
それではスキットの続きを見てみましょう。
男:Minä olen huonolla tuulella.(気分が乗らないなあ。)
女:Niinkö? Miksi?(そう? なんで?)
男:En tiedä. Kaikki on niin tylsää!(知らないよ。すべてが退屈なんだ!)
女:Eikä ole! Minä tiedän monta mukavaa asiaa.(そんなことない! 私は素敵なこともたくさん知っているわ。)
*tietää(知っている)、kaikki(すべて)、tylsä(退屈な)、monta(たくさんの)、mukava(快適な)、asia(もの、こと)
激論になっています。
「退屈な」を意味する tylsä はここでは分格の形に。
[主格]tylsä
[分格]tylsää
Kaikki on (niin) tylsää は、英語のbe動詞の文のように「A=B」の形。
このような「A=B」の文において、フィンランド語には次のようなルールがありました。
主語が一つ、二つと数えられるときには、補語に当たる形容詞は主格。数えられないときには分格。
次の二つの文を比べてみてください。
Tämä kissa on musta.(この猫は黒い。)
Kahvi on mustaa(コーヒーは黒い。)
*kissa(猫)、musta(黒い)、kahvi(コーヒー)
上の文の musta が、下の文では mustaa になっています。
[主格]musta
[分格]mustaa
主格の方は「ムスタ」、分格の方は「ムスター」と伸ばして発音します。
さらにスキットの続きを見てみましょう。
男:Minä olen huonolla tuulella.(気分が乗らないなあ。)
女:Niinkö? Miksi?(そう? なんで?)
男:En tiedä. Kaikki on niin tylsää!(知らないよ。すべてが退屈なんだ!)
女:Eikä ole! Minä tiedän monta mukavaa asiaa.(そんなことない! 私は素敵なこともたくさん知っているわ。)
男:No mikä esimerkiksi ei ole tylsää?(じゃあ、例えば何が退屈じゃないって言うの?)
女:Musiikki. Millaisesta musiikista sinä pidät?(音楽よ。あなたはどんな音楽が好きなの?)
no(じゃあ)、mikä(何が)、esimerkiksi(例えば)、musiikki(音楽)、millainen(どんな)、pitää(好き)
冒頭の no は「じゃあ」くらいの意味。「いいえ」ではありません!
二行目の musiikki は「音楽」の意味。しかし二つ目の文では musiikista という形になっています。
[主格]musiikki(音楽は)
[出格]musiikista(音楽から)
なぜ出格の形になっているのでしょう? そこで次のルール。
「好き」を意味する動詞 pitää は出格の目的語を従える。
目的語というとよく使われるのは分格の形。しかしここでは出格の形に。無理に訳せば、次のような感じに。
× |
分格 |
Pidän sinua. |
あなたを好きです。 |
○ |
出格 |
Pidän sinusta. |
あなたから好きです。 |
もちろんこんな日本語はありませんが、ことばの上では「あなたから」という形を作らなければなりません。
なおさきほどの文では、millainen musiikki(どんな音楽)の部分が pitää の目的語になることによって、出格の形に変化しています。
主格 |
Millainen
(どんな) |
musiikki
(音楽) |
|
|
|
↓ |
↓ |
|
|
出格 |
Millaisesta
(どんなから) |
musiikista
(音楽から) |
sinä |
pidät? |
それではスキットの最後を見てみましょう。
男:Minä olen huonolla tuulella.(気分が乗らないなあ。)
女:Niinkö? Miksi?(そう? なんで?)
男:En tiedä. Kaikki on niin tylsää!(知らないよ。すべてが退屈なんだ!)
女:Eikä ole! Minä tiedän monta mukavaa asiaa.(そんなことない! 私は素敵なこともたくさん知っているわ。)
男:No mikä esimerkiksi ei ole tylsää?(じゃあ、例えば何が退屈じゃないって言うの?)
女:Musiikki. Millaisesta musiikista sinä pidät?(音楽よ。あなたはどんな音楽が好きなの?)
男:Minä en pidä musiikista.(僕は音楽は好きじゃないよ。)
女:No mistä sinä pidät?(じゃあ、あなたは何が好きなの?)
男:En mistään.(何も好きじゃない。)
とうとう告白してしまいました。
ここでもさきほどの文と同じく mikä(何)が出格の形に。
主格 |
|
mikä
(何) |
|
|
|
|
↓ |
|
|
出格 |
No |
mistä
(何から) |
sinä |
pidät? |
以上「退屈する男」のお話でした。
この教科書には本当にネガティブな人がよく登場してきます。この人にはいったい何と声をかけたらよいのでしょう?