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フィンランド語学習記 vol.237 − 感情使役文

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前回のエントリーで、

Minua väsyttää.(疲れたー)
*minua(私を)、väsyttää(疲れさせる)

というおもしろい形の文を紹介しました。

フィンランド語学習記 vol.236 − 疲れる/疲れさせる | Fragments

その後『フィンランド語文法ハンドブック』を調べてみると、このようなタイプの文に感情使役文という名前が付いていることがわかりました。

フィンランド語では感情や感覚に関わる話をする際に、人間を分格の目的語において表現することがしばしばあります。

Minua jännittää.(私はどきどきする。)

(中略)

Sinua hermostuttaa.(あなたは緊張している。いらいらしている。)

Häntä huolestuttaa.(彼は心配する。)

『フィンランド語文法ハンドブック』P.244-245

それぞれ直訳をすれば、

‘Minua jännittää.’ は「私をどきどきさせる」

‘Sinua hermostuttaa.’ は「あなたを緊張させる」

‘Häntä huolestuttaa.’ は「彼を心配させる」

という構造の文になっています。

それにしても感情使役文という命名はなかなか言い得て妙。

使役文というと、英語をやっていた人なら、let や make などの使役動詞を使った文を思い浮かべる人もいるでしょう。

My sister made me clean the room.(姉は私に部屋の掃除をさせた。)

このように使役文には時に強制的な色合いがあります。(もちろんそうではない文もありますが。)

そのため感情使役文という名前は、私たちが何らかの感情を感じているとき、自分が主体的にその感情を味わっているのではなく、感情の操り人形になっていることもあるということを思い出させてくれます。

なかなか深みのある命名だなあと思いました。
 

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白い白あるいはホワイトアルバム

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ビートルズ(The Beatles)の1968年のアルバム『The Beatles』は、白一色のジャケットから通称「ホワイト・アルバム」と呼ばれています。

自分も中学・高校時代にずいぶん聞き込みました。

ところでこのアルバム(album)という英単語の語源を調べてみると、面白いことがわかります。

album (n.)

1650s, from Latin album “white color, whiteness,” neuter of albus “white” (see alb)…

『Online Etymology Dictionary』

album というのは、もともと「白」を意味するラテン語。

そこから英語に入って、写真を貼ったり、音楽を入れたりする album になりました。

アルバムという単語には、まっさらな白いキャンパスに、一つ一つ作品を飾り付けていくようなイメージがあるんですね。

つまり「ホワイト・アルバム」というのは、英語の「白」とラテン語の「白」の組み合わせ。

日本語に直せば「白い白」です。

偶然とはいえ、面白い重なりですね。

イディッシュ由来のちょっとかわいそうな人たち

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辞書を眺めてみれば、英語にはさまざまな言語の語彙が入り込んでいることがわかります。

その一つがイディッシュ(Yiddish)。

イディッシュというのは、もともとヨーロッパでユダヤ人が話していたドイツ語の方言。

やがてヨーロッパでの迫害を逃れるため、アメリカ合衆国に移り住んだユダヤ人たちが、英語にその文化を持ち込みました。

そんなイディッシュには、ちょっとかわいそうな人を表わす単語が充実しているようで、その中には英語化しているものもあります。いくつか拾ってみましょう。

klutz

someone who often drops things or has accidents

『Macmillan Dictionary』

英和辞書の訳は「ぶきっちょ」など。

語義の「ものを落としてしまう人」というのは、何だか微笑ましいですね。

まあまあいいじゃないですか、皿の一枚や二枚割ったって。。。

nebbish

a nervous person who is not confident or brave

『Macmillan Dictionary』

英和辞書の訳は「気の弱い人、自信なさそうな人」など。

この単語を知って「あ、自分は nebbish かも」って思う人は多いのではないでしょうか。

はい、私もその一人です。

schlemiel

someone who is not very intelligent or lucky and who makes a lot of mistakes

『Macmillan Dictionary』

英和辞書の訳は「どじ、まぬけ」など。

真剣にやっているのに、いつも失敗ばかり。まわりは困っているのに、本人は笑顔。

もしかしたらそんなポジションも悪くはないのかもしれません。

以上、イディッシュ由来の英単語から、ちょっとかわいそうな人たちを表わす単語を拾ってみました。

どの単語もキャラクターがありありと想像できるようで、もしこれらの単語を生み出した人がいるなら、人間観察に優れた人だったんだろうなあと思います。

フィンランド語学習記 vol.236 − 疲れる/疲れさせる

photo credit: Julia Manzerova via photopin cc

photo credit: Julia Manzerova via photopin cc

フィンランド語教室80週目のレポート。

いよいよ今学期も最終日となりました!

この日は先日のフィンランド旅行の話をシェアしたり、雑談多めの展開。

そんな中、ユニークな形の構文を新しく習いました。

Minua väsyttää.(疲れたー。)

シンプルな文なのですが、よーく見るとちょっとおもしろい形をしています。

minua は「私は」を意味する minä の分格の形。

[主格]minä(私は)
[分格]minua(私を)

フィンランド語の分格はこのように目的語として使われることが多いです。

väsyttää は「〜を疲れさせる」という意味の他動詞。

[自動詞]väsyä(疲れる)
[他動詞]väsyttää(〜を疲れさせる)

すなわち、さきほどの ‘Minua väsyttää.’ を逐語訳すると「私を疲れさせる」という意味になります。

疲れの原因が、働き過ぎなのか、遊び過ぎなのか、はたまた他の理由があるのか、それはわかりません。

しかしとにかく「疲れたー」と。

この ‘Minua väsyttää.’ を最初見たときはずいぶん変わった形の文だなと思いました。

しかし改めて考えてみると、私たちが「疲れる」ときというのは、自分の意思で疲れを呼び寄せているのではなく、何らかの要因が私たちに疲れを与えている訳です。

だとすると、

人 疲れる

という構文より、

疲れさせる 人

という構文の方が自然なのかな?と思ったり。

ホント、言葉にはさまざまな可能性がありますね。

フィンランド語学習記 vol.235 − epä

orange moon

フィンランド語で「不確かな」は epävarma(エパヴァルマ)。

語頭の[epä-]というのは、否定の意味を付与する接頭辞。

epävarma(不確かな)←→ varma(確かな)

辞書を調べてみると、[epä-]が付く単語というのは実にたくさんあります。その一例を挙げてみましょう。

フィン フィン
epämukava 不快な ←→ mukava 快適な
epäonnistua 失敗する ←→ onnistua 栄える
epäselvä 不明瞭な ←→ selvä 明白な
epätoivo 絶望 ←→ toivo 望み

 

これらの単語は[epä-]付きの単語を見て、[epä-]を外したときの意味を想像することができますよね。

しかし中には[epä-]を外したときの意味が想像できない単語も。

例えば、

epäsikiö(怪物)

「怪物」の反対はいったい何でしょう?

怪しくない物?

普通の人?

わからないので調べてみると、

epäsikiö(怪物)←→ sikiö(胎児)

うーむ。これは謎の関係ですね。

何でこうなるのか、非常に気になってしまいます。

photo credit: bruce... via photopin cc

photo credit: bruce… via photopin cc

[v]の音をカタカナで表わすときに「ウ」に濁点を付けた「ヴ」を使うことがあります。

今では特に違和感無く使われていますが、この表記が市民権を得たのはいつ頃のことなのでしょう?

自分が子供の頃(1980年代)には、今ほど広まっていなかったように思います。

例えば、この楽器。

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Wikipedia 日本語版では「ヴァイオリン」と表記されています。

ヴァイオリン – Wikipedia

しかし Google の検索ヒット件数を調べてみると、バイオリンが若干リードしています。

  • ヴァイオリン → 1,910,000件
  • バイオリン → 2,390,000件

(2014年9月現在)

ただし「バイオリン」で検索したとき、トップに表示されるのはやはりこちらのページなのでした。

ヴァイオリン – Wikipedia

さて「ヴァイオリン」と表記するのはよいとして、その表記を見たときに実際に[v]の音で発音するという人はどれくらいいるのでしょう?

おそらく大半の日本人は[b]の音で発音しているはず。

しかし日本語の音韻というのは、この数百年さまざまに変化してきました。

(昔は「ず」と「づ」、「じ」と「ぢ」の発音の区別もありました。)

そう考えると、いずれ「ヴ」の文字を見たときに[v]の音で発音する世代が登場する可能性もあるのでは?などと夢想してしまいます。

でも「ヴェネツィア」には違和感がないのに「ヴァンクーヴァー」には違和感を感じてしまったり。。。このあたりの感覚はなかなか繊細ですね。

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