先生と後生
「先生」の対義語は何でしょう?
と聞かれたら、おそらく普通の答えは「生徒」でしょう。
しかしちょっとひねって答えると「後生(こうせい)」という言葉もあります。
先生というのは、もともと読んで字の如く「先に生まれた人」の意味。そこから派生して「教師」の意味になりました。
一方の後生というのは「後に生まれた人」の意味。
日常会話で使うことはなかなかありませんが、論語の有名な一節に次のようなものがあります。
後生畏るべし。焉んぞ来者の今に如かざるを知らんや。
【原文】後生可畏也、焉知來者之不如今也
【一般的な和訳】 後輩はおそれるべきだ。将来の彼らが今の私に及ばないなどと、どうしてわかるものか。
【意訳】 全員が同意しただけで、それが真実だということにはならない。
Don’t make light of younger coworkers. They may get ahead of you sooner or later.
『英語で論語』より
考えてみると、この言葉の本当の意味が分かるようになってきたのはここ数年のことかもしれません。
後輩を見ていて「いつかはこの人に追い抜かれるのだろう」という感覚。
いや全然そんな気持ちになったことはない、という人はまだまだ若いのだと思います。
逆にしみじみとそれを感じるようなら、いつの間にか人生のステージを一つ上がったということなのかもしれません。