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日本語 /
日本語にはいわゆる文法上の数は存在しないということになっています。
例えば、りんごが目の前に二つ置いてあるとき、英語では apples になりますが、日本語ではりんごのまま。(もちろん二つのりんごと言うことはできますが。)
ただそんな日本語にも複数を表す接辞は存在します。
たち
ーたち[(▽達)](接尾)
〔人間・動物などの〕複数をしめすことば。
「あなたー・母ー・少年ー・白鳥ー」
「三省堂国語辞典 第七版」
人間・動物などの「など」という部分が気になりますが、基本的には生きているものに使う接尾辞と考えて間違いないでしょう。
昔「ふぞろいの林檎たち」というドラマがありましたが、これは人をりんごになぞらえているから「林檎たち」と言える訳で、りんごそのものをりんごたちと呼ぶ訳ではありません。
ども
ーども[(共)](接尾)
〔けんそんして/ぞんざいに〕多数の人をあらわす。
「てまえーでは・野郎ー!」
「三省堂国語辞典 第七版」
こちらも生きているものにしか使えない接尾辞。
もし将来りんごが人間に攻撃を仕掛けてくるようなことがあれば「この、りんごども!」と言えるのかもしれませんが、当面はその心配もなさそうです。
ら
ーら[(▽等)](接尾)
①ふたり以上であることをあらわす。
「ぼくーのたからもの・わたしー〔『わたしたち』よりも方言的〕・君ーはまだまだだな・あいつー、ぶんなぐってやる・おさない子ー〔『子どもたち』よりも文章語的〕・選手ー〔文〕」
〔自分のがわや、同等・目下の人に使う〕
②〔文〕おもだった人(の名)をあげて、ほかの人を略すときに使う。
「専務ー五人・丸山氏ー」
③〔「これ」 「それ」 「あれ」に付いて〕すぐ前に述べた複数の人やものごとをさす。
「これーの人々・それーの批判」
「三省堂国語辞典 第七版」
③の用法では「これら、それら、あれら」と言えるので、生きているもの以外にも適用できそうなのはこの接尾辞。
ただそれでも「りんごら」と言うのはやや不自然です。詩的な表現ならあるいは「朝露に濡れた林檎らが、、、」などと言うこともあるでしょうか。
々
どうのじてん[同の字点](名)
すぐ前と同じ漢字であることをしめす符号。例、人々の「々」。
「三省堂国語辞典 第七版」
こちらは接辞ではありませんが、々の文字を後置することによって人間や動物以外の複数も表すことができます。
ただ何にでも使える訳ではなく、使えるのは慣用的な表現のみ。ぱっと思いつくのは「家々、木々、山々」などでしょうか。「りんごの木々」と言うことはできても「林檎々々」と言うことはできません。
まとめ
調べた範囲では、日本語でりんごが複数であることを示す適切な接辞は存在しないようです。
いやこんな表現がありますよ!とご存知の方がいましたら、ぜひ情報提供をお願いいたします。
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カテゴリ: 辞書/辞典/その他, 教育
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