雨も降るわ風も吹くわ

思いがけない悪天候の日には、

「雨も降るわ風も吹くわ。。。」

と嘆くこともあるでしょう。

ところで、このときの表記は下記のどちらが正しいのでしょう?

1)雨も降るわ風も吹くわ
2)雨も降るは風も吹くは

第一感では(1)の表記が正しいように思えるものの、理屈で考えると、これは助詞の「は」なのだから(2)の表記が正しいのでは?という考えも浮かんできます。

このあたりのルールはいったいどのようになっているのでしょうか?

実はこの「雨も降るわ風も吹くわ」という表現については、現代仮名遣いの基本ルールを定めた昭和61年の内閣告示第一号「現代仮名遣い」に次のような記述があります。

2 助詞の「は」は、「は」と書く。

例 今日は日曜です 山では雪が降りました

(中略)

〔注意〕 次のようなものは、この例にあたらないものとする。

いまわの際 すわ一大事

雨も降るわ風も吹くわ 来るわ来るわ きれいだわ

ここでは「雨も降るわ風も吹くわ」という表現は現代仮名遣いの例外的なルールと書かれています。

とはいえ、気になるのはその理由。さきほどの引用には、例外とする理由については全く触れられていません。

そこで新明解で助詞の「わ」を引いてみると、次のような語義がのっていました。

〔副助詞「は」からの変化〕

一〔女性語〕

A 自分の主張(判断)などを相手に納得させたり自分で確認したりする気持ちを表わす。「知らないー/存じませんー」

B 感動や驚きの気持ちを表わす。「まあ、きれいだー/とてもおいしいー」

二〔多く男性が〕感動したり驚きあきれたりする気持ちを表わす。「居るー、居るー、黒山の人だ/電車は込むー台風にあうーで、散々な旅行だった/世の中には変わった奴(ヤツ)がいるもんだー」

「新明解国語辞典 第七版」

この分類に沿って考えれば「雨も降るわ風も吹くわ」は二番目の「感動したり驚きあきれたりする気持ち」に当たるのでしょう。

後付けなのかもしれませんが、助詞の「は」にはない意味が付与されています。

また一つ面白いなと思ったのは〔多く男性が〕との補足が付いていること。

私個人の感覚だと、女性が使ってもあまり違和感はないのですが、そこは年代や性別によって感じ方も違うのかもしれません。他の人の意見も聞いてみたいところです。

 
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