『学問のすゝめ』の「ゝ」は何と呼ぶ?
天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず
『学問のすゝめ』
福沢諭吉の『学問のすゝめ』は、明治維新直後の時代に300万冊以上が読まれたという当時の大ベストセラー。
当時の人口が3,000万人だったそうなので、10人に1人が読んだことになります。
さて、今回のエントリーは、そんな『学問のすゝめ』のおしまいから二文字目にある「ゝ」の文字について。
この文字はいったい何なのだろう?と気になったので調べてみました。
今ではすっかり使わなくなってしまったこの「ゝ」は、一の字点(いちのじてん)と呼ばれる踊り字の一種なのだとか。
おどりじ【踊り字】
同一の漢字または仮名を重ねることをあらわす符号。「〻」(二の字点)・「々」(同の字点)・「ゝ」(一の字点)・「〵〳」(くの字点)など。おくり字。かさね字。畳字。繰返し符号。
『広辞苑』
何だかいろいろと出てきました。
この中で一番馴染みがあるのは、やはり「々」の字でしょう。(同の字点という名前は知りませんでしたが。)
佐々木などの人名から、代々木などの地名まで、現在でも幅広く使われています。
同の字点「々」は漢字の繰り返しに使われるのに対して、一の字点「ゝ」はかなの繰り返しに使われます。
踊り字 | 例 | ||
ひらがな | 清音 | ゝ | 学問のすゝめ |
ひらがな | 濁音 | ゞ | いすゞ自動車 |
カタカナ | 清音 | ヽ | ? |
カタカナ | 濁音 | ヾ | ? |
*Wikipedia「踊り字」より
このほか、広辞苑の語義に出てきた二の字点「〻」、くの字点「〳〵」は縦書きの文章で用いる繰り返し符号。
そういえば、以前うちの祖母が使っているのを見たことがあります。
今ではあまり使われなくなってしまった繰返し符号ですが、こうして見返してみると味わいがあって、捨て去るには惜しいような気がします。
せめていくつかの固有名詞の中で生き続けてほしいですね。