6月 28, 2014
whitebear /
フィンランド語 /
このところフィンランド語の勉強をするときに手元に置いているのが『Finnish: An Essential Grammar』という文法書。
これは表題のとおり、英語で書かれたフィンランド語の文法書。
以前から同書のキンドル版は持っていたのですが、やはりキンドルでリファレンス的な使い方をするのは大変。
ということで結局、紙の本も購入してしまいました。
紙だと何か調べたいことがあるとき、目次から該当するページをすぐに探すことができます。そのため利用頻度がずいぶん高くなりました。
この本の素晴らしい点は、
スモールステップで解説してくれる
例が豊富
以上の2点ではないかと思います。
1)スモールステップで解説してくれる
『Finnish: An Essential Grammar』では「◯◯の場合は△△になる」というように一つ一つ丁寧に場合分けをしながら各文法項目を解説してくれます。
例えばフィンランド語の分格を作る際には、
語末に[-a/-ä]を付ける
語末に[-ta/-tä]を付ける
語末に[-tta/-ttä]を付ける
以上3つのパターンがあります。本書ではその3つのパターンを次のように場合分けしています。
The ending -a 〜 -ä occurs when the inflectional stem ends in a consonant by a short vowel (which is not an -e that may be dropped).
語末に[-a/-ä]を付けるのは、語幹が「子音+短母音」で終わるときである。(ただし落ちる可能性のある[-e]は除く。)
『Finnish: An Essential Grammar』P.123
例えば、Suomi(フィンランド)、kaupunki(都市)の分格は次のようになります。
辞書形
語幹
分格
Suomi
Suome
Suomea
kaupunki
kaupungi
kaupunkia
The ending -ta 〜 -tä occurs after
(a) a basic form ending in a long vowel or a diphthong;
(b) an inflectional stem ending in a consonant + -e which has then been dropped;
(c) a basic form ending in a consonant;
(d) a monosyllabic pronoun stem.
語末に[-ta/-tä]を付けるのは、
(a) 辞書形が長母音か二重母音で終わるとき
(b) 語幹が「子音+-e」で終わるとき(その場合[-e]は落ちる。)
(c) 辞書形が子音で終わるとき
(d) 単音節の代名詞語幹
『Finnish: An Essential Grammar』P.124
例えば、maa(国)、kieli(言語)、kysymys(質問)、tämä(これ)の分格は次のようになります。
辞書形
語幹
分格
a
maa
maa
maata
b
kieli
kiele
kieltä
c
kysymys
kysymykse
kysymystä
d
tämä
tämä
tätä
The ending -tta 〜 ttä is attached to basic form ending in -e
語末に[-tta/-ttä]を付けるのは、辞書形が[-e]で終わるときである。
『Finnish: An Essential Grammar』P.126
例えば、kirje(手紙)の分格は次のようになります。
辞書形
語幹
分格
kirje
kirjee
kirjettä
このようにスモールステップで見ていくと、分格の作り方もわかりやすくなりますね。
2)例が豊富
本書のもう一つの特徴は掲載されている用例が豊富だということ。
さきほど紹介した分格についても、多くのスペースを割いてさまざまな単語の変化形を掲載しています。
この「量」が何と言っても本書の強みなのではないかと思います。
まとめ
以上、今回のエントリーでは英語で書かれたフィンランド語の文法書『Finnish: An Essential Grammar』を紹介してみました。
英語がある程度読める人なら、手元に一冊置いておきたい良書だと思います。
リファレンスとして何かを調べるだけでなく、何となくパラパラとめくってみるのも思いがけない発見があって楽しいですよ。
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