国名から「ヴ」が消える
ここ数日ニュースで話題になっている国名の「ヴ」について。
外務省の外国名の表記で使ってきたカタカナの「ウ」に濁点を付ける「ヴ」を4月から使わないよう改める改正在外公館名称位置給与法が29日の参院本会議で可決、成立した。カリブ海の「セントクリストファー・ネーヴィス」を「セントクリストファー・ネービス」、アフリカ北西の島国「カーボヴェルデ」を「カーボベルデ」にそれぞれ改める。外務省の文書で「ヴ」は使わなくなる。
このニュースにそれほど違和感を覚えないのは、おそらく「セントクリストファー・ネービス、カーボベルデ」という国の名前にあまり馴染みがないからでしょう。
これがもし「ルイ・ヴィトン」を「ルイ・ビトン」にするというニュースだったら、様々な議論が起こることは間違いありません。
調べてみると、現在英語表記においてアルファベットの v で始まる国は次の4か国。
- Vanuatu
- Vatican City
- Venezuela
- Vietnam
いずれも「バヌアツ、バチカン市国、ベネズエラ、ベトナム」のようにバビブベボ表記の方がしっくりくるというのが個人的な印象。
ただ国名以外の地名に視野を広げてみると「ヴェネツィア(ベネチア)」のようにヴ表記の方がしっくりくるケースもあります。
一方ではカナダの「ヴァンクーヴァー(バンクーバー)」のように一時はヴを使おうという動きがありながら定着しなかった例も。
結局「ヴァ・ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォ」と「バ・ビ・ブ・ベ・ボ」のどちらを使うのかという問題に明快な基準を示すことは難しく、しばらく使っているうちに何となくしっくりくる方を選んでいるだけなのかもしれません。
しかし今回の外務省の決定によって少なくとも国名レベルでは「バ・ビ・ブ・ベ・ボ」が主流であるという公の方針を示すことになりました。今後「ヴァ・ヴィ・ヴ・ヴェ・ヴォ」の巻き返しはあるのでしょうか?