地面はなぜ「ぢめん」ではなく「じめん」なのか?
PCで日本語を入力していると「じ・ず」と「ぢ・づ」の使い分けで迷うことはありませんか?
例えば「じめん」。
この前、何となく「ぢめん」と入力して漢字変換しようとしたら、変換されません。
この場合は「じめん」が唯一の正解のよう。
「じめん」と入力したら、きちんと「地面」に変換されました。
ただし地面の「地」はもともと「ち」と読む訳なので、地面は「ぢめん」が正しいのでは?という疑問も感じます。
せっかくなので「じ・ず」と「ぢ・づ」の使い分けについて、きちんと確認してみることにしました。
調べたところ、昭和61年に出された内閣告示において「現代仮名遣い」が定められています。
そこでは「じ・ず」の使用を標準としつつ、以下のような場合には「ぢ・づ」の使用も認めるという形で用例が紹介されていました。
さっそく内容を見ていきましょう。
5 次のような語は、「ぢ」「づ」を用いて書く。
(1)同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」
例 ちぢみ(縮)・・・
つづみ(鼓)・・・
たしかに「ちじみ」や「つずみ」という文字の並びには違和感がありますね。
(2)二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」
例 はなぢ(鼻血)・・・
みかづき(三日月)・・・
鼻血は「はな(鼻)+ち(血)=はなぢ(鼻血)」という成り立ち。
だとすると、「ち(地)+めん(面)=ぢめん(地面)」という等式も成り立ちそうに思いますが、なぜダメなのでしょう?
なお、次のような語については、現代語の意識では一般に二語に分解しにくいもの等として、それぞれ「じ」「ず」を用いて書くことを本則とし、「せかいぢゅう」「いなづま」のように「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする。
例 せかいじゅう(世界中)・・・
いなずま(稲妻)・・・
「じ・ず」と「ぢ・づ」の両方が使えることばもあるんですね。
たしかにさきほどの二語の連合という視点で見ると、「せかい(世界)+ちゅう(中)=せかいぢゅう(世界中)」となりますが、「せかいじゅう」の方が馴染みがよい気がします。
〔注意〕 次のような語の中の「じ」「ず」は、漢字の音読みでもともと濁っているものであって、上記(1)、(2)のいずれにもあたらず、「じ」「ず」を用いて書く。
例 じめん(地面) ぬのじ(布地)・・・
ここで地面が登場!
しかし「じめん」の「じ」がもともと濁っているとはどういうことでしょう?
この説明だけではややわかりにくいですね。
調べてみると「地」という漢字には、もともと「ち」と「じ」という二つの音読みがあったのだとか。
つまり地面の「地」は「面」とくっついて「ち→ぢ」と濁ったのではなく、もともと「じ」の音だったということのよう。
これは文字の成り立ちに関わるなかなか難しい話。
100%晴れ晴れと納得!という訳にはいかないのですが、そういうものですかと思っておくよりほかなさそうです。