フィンランド語学習記 vol.308 − tarttua
前回のエントリーでは、動詞 tutustua の用法を取り上げました。
…tutustua(知り合う)という動詞には、目的語が入格の形になるという特徴があります。
Hauska tutustua sinuun.(あなたと知り合えて嬉しいです。)
目的語が入格の形になる動詞は、この tutustua 以外にもたくさんあって、その一つに tarttua(くっつく)という動詞があります。
フィンランド語の語法書『Tarkista Tästä』には、次のような例文がのっています。
TARTTUA(verbi, intransit)
tarttua + N ill Virus tarttuu herkästi lapsiin ja vanhuksiin.
Tupakansavu tarttuu vaatteisiin.
Tartu tilaisuuteen!
『Tarkista Tästä』P.133
例文を自分なりに訳してみると、こんな感じに。
Virus tarttuu herkästi lapsiin ja vanhuksiin.(ウィルスは子どもとお年寄りにたやすく伝染する。)
Tupakansavu tarttuu vaatteisiin.(タバコの煙は服にしみつく。)
Tartu tilaisuuteen!(チャンスをつかめ!)
Tupakansavu tarttuu vaatteisiin.(タバコの煙は服にしみつく。)
Tartu tilaisuuteen!(チャンスをつかめ!)
「伝染する」や「しみつく」という語義は、その後の入格のイメージとよくマッチしているので、「tarttua+入格」という組み合わせはかなりしっくりくる感じ。
チャンスをつかめ!の「つかむ」も、今、目の前にある機会に飛び込め!と解釈すれば、なぜ入格を使うのかわからないことはありません。
フィンランド語の肝は格変化だとは思いますが、入格なら入格という形を覚えるだけではなく、語法の知識と組み合わせることで使える表現を少しずつ増やしていきたいものです。