フォスフォレッスセンス

15090901

太宰治の「フォスフォレッスセンス」という短編小説を読みました。

 

 

物語の主人公は夢と現実の世界を行き来する男。

男は夢の中で出会った憧れの女性とこんな会話を交わします。

「あたし、花束を戴いたの。」

「百合でしょう。」

「いいえ。」

そうして私のわからない、フォスフォなんとかいう長ったらしいむずかしい花の名を言った。私は、自分の語学の貧しさを恥かしく思った。

物語の最後、男は雑誌の編集者といっしょにその女性の家を訪ねます。女性は不在でしたが、亡くなったご主人と思われる写真の下に花束が飾られていました。

「綺麗な花だなあ。」

と若い編輯者はその写真の下の机に飾られてある一束の花を見て、そう言った。

「なんて花でしょう。」

と彼にたずねられて、私はすらすらと答えた。

「Phosphorescence」

物語はこの「Phosphorescence」の行でぷつんと終わってしまいます。

突然、アルファベット表記になったこの Phosphorescence というのはいったいどんな花なんだろう?と思って調べてみました。

phosphorescence

  1. 燐光(りんこう)性:光を当てたあと、光を取り去っても発光する性質
  2. 青光り
  3. 燐光:ある物質から光を出させていた刺激を除いてもまだ出ている光

「ランダムハウス英和大辞典 第2版」

調べた限り、この Phosphorescence というのはどうも花の名前ではないよう。

もしかしたらどこかにそういう花があるのかもしれませんが、そんな花は実在しないという方が、この小説には似つかわしいような気もします。

実際はどうなのでしょう?

 
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カテゴリ: 辞書/辞典/その他, 教育
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