フィンランド語学習記 vol.773 − veljestä

『パスポート初級フィンランド語辞典』の romaani の項にこんな例文が出ていました。

“Seitsemän veljestä” on Aleksis Kiven kirjoittama romaani.

『七人兄弟』はアレクシス・キビの書いた小説だ。

「パスポート初級フィンランド語辞典」

アレクシス・キビという作家の名前と『七人兄弟』という小説の名前は聞いたことがあります。

それはさておき、ここで気になったのは veljestä という単語の形。

veljästä は「兄弟」を意味する名詞 veli の単数出格。

単数 複数
主格 veli veljet
分格 veljeä veljiä
出格 veljästä veljistä

*veli の語幹は velje となります。

ただどうしてここで出格を使うのかがわかりません。seitsemän という数詞の後ろですから分格を使うべきではないでしょうか?

。。。などと考えていたのですが、改めて調べてみると veljästä は「兄弟」を意味するもう一つの名詞 veljes の単数分格であることがわかりました。

単数 複数
主格 veljes veljekset
分格 veljestä veljeksiä
出格 veljeksestä veljeksistä

 

『パスポート初級フィンランド語辞典』では veli と veljes に次のような訳語が与えられています。

veli=兄、弟
veljes=⦅ふつう複で⦆兄弟(同士)

ただ veli には複数形の veljet がありますし、veljes にも複数形の veljekset がある訳ですから、単純に「veli=単数、veljes=複数」という訳ではなさそう。

どうしてこのような二種類の単語があるのか謎は深まります。

 

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