フィンランド語学習記 vol.16 − 語幹の変化について考える

前回のフィンランド語のエントリーで、格変化は覚えるのが大変ではあるものの、慣れてくればそれほど難しいことではないのかもしれないと書きました。

今回はそのことについて、少し考えてみたいと思います。

例えば、下記の語(+語尾)を使って「教会の中で」という意味の変化形を作る場合。

kirkko(教会)
-ssa(〜の中で)

単純に kirkko + ssa = kirkkossa とするのではなく、以下のルールを適用しなければなりません。

ルール① 語幹の最後の音節に[k, p, t]の文字が含まれるときは、語幹が変化する。

語幹が変化するパターンは多岐に渡りますので、変化表を参照すると[kk ⇒ k]というパターンが見つかります。すなわち、

kirkko ⇒ kirko
kirko + ssa = kirkossa

となります。

このようなルールは一通り覚えて適用するしかありませんが、一方ではなぜこのようなルールが適用されるのだろう?という疑問も残ります。

もちろん言葉は生き物なので、単一の理由でそれを説明することはできないと思います。しかし発音練習をしていて気付くのは、少なくともこの語形変化によって発音はやさしくなるということです。

つまり「キルッコ」は簡単に発音できますが、「〜ッサ」がくっついて「キルッコッサ」というのは何だか発音しにくいですよね。一方「キルコッサ」なら簡単に発音できます。

日本語で考えても「◯っ◯っ◯」という風に促音が一つ飛びに来る語はあまり思い当たりません。今、思い浮かんだのは「おっとっと」くらいなものです。

また上記のルール①で語幹の最後の音節に[t]が来る場合も考えてみましょう。

下記の語(+語尾)を使って「通りに」という意味の変化形を作る場合。

katu(通り)
-lla(〜の上に)
katu ⇒ kadu
kadu + lla = kadulla

となります。

この場合も「カトゥッラ」より「カドゥッラ」の方が発音しやすい気がするのは気のせいでしょうか。

このパターンは日本語の「ほん + たな = ほんだな」という変化にも似ています。

そんな訳で、まず格変化の種別はきちんと覚えつつ、語幹の変化は「発音しやすいように変化する」と押させておけば、音読を繰り返すうち舌に馴染んでくるのではないかなあ。。。というのは希望的観測でしょうか?

それを知るためにはまず練習!ということで、頑張っていきましょう。